EEOC、労働省に雇用差別訴訟で損害賠償を求める権限を付与

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年7月

雇用機会均等委員会(EEOC)は、連邦政府契約請負業者から性別、人種、宗教的な理由で、労働者が差別を受けた時に、労働省が連邦政府契約請負業者から懲罰的損害賠償を求める権限を与えた。EEOCと労働省との間の連携を強化し、雇用差別を行う企業に対処することが、その目的である。今後は連邦政府契約請負業者の従業員が労働省に雇用差別に関する苦情を持ち込むことが可能になる。

従来、雇用差別問題についてEEOCと労働省とが補完的な役割を果たしてきたものの、役割分担は効果的でなかった。そのため、今回の権限委譲は重要な意味を持っている。これまでの2政府機関の役割分担は次の通りであった。EEOCは連邦雇用差別禁止法を実施してきたが、苦情が提出されなければ使用者の過失を問えなかった。一方、労働省の連邦契約遵守プログラム部(OFCCP)は20万の連邦政府契約請負業者の雇用状況について一方的に調査する権限を持っていたが、雇用者の法的責任を問う権限は限られていた。

今回、労働省の権限が拡大されたことにより、雇用差別に新たな方法で対処できるようになる。労働省は、苦情を受けた後に使用者と自主的和解に到達するために交渉できることになるが、これまで労働省にこの権限はなかった。また、EEOCと労働省は使用者についての情報共有を開始する。例えば、ある使用者が雇用差別をしたとEEOCに苦情が提出されると、EEOCが労働省に当該使用者の給与、昇進政策に関する情報を請求できるようになる。使用者側は、これに反発しているが、EEOCに苦情が提出された場合にのみ、OFCCPがEEOCの代理人の役割を果たすことに、OFCCPとEEOCは同意している。

使用者側は、1999年4月12日に発効する今回の労働省への権限委譲によって、連邦政府の監督が強化され、雇用差別に関する救済申し立てが増加することを懸念している。

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