中高年労働者に雇用クレジット

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

ブラウン蔵相は3月9日の1999年度予算報告で、中高年労働者の労働市場への復帰を促進するため、ニューディール・プログラム「福祉から仕事へ」に、「雇用クレジット」など中高年を対象にした新しいスキームを導入することを明らかにした。

中高年層(イギリスでは50歳以上)が労働市場に占める割合はこの20年間にかなり低下しており、例えば50~64歳の男性のうち労働力に含まれない者の割合は1979年にはわずか12.6%であったのが、現在は27.4%にまではね上がっている。こうした事態を懸念した政府は、本来は若年失業者・長期失業者を対象としているニューディール・プログラムに50歳以上を対象とした以下のような新スキームを導入することにした。

ボランタリー・スキーム

50歳以上で6カ月以上失業しているか経済的に不活動な者に対し、雇用サービス庁が個々人に見合った求職に関する助言(tailor-made personal advice on how to find a job)を与える。また復職し、その後も職を維持するのに必要な資格を得るのを支援するため、最高で750ポンドの職場内訓練手当を支給する。

雇用クレジット

中高年が福祉手当から外れて復職した場合、その職から得られる収入は概して低い。平均すると失業前の4分の3ほどにしかならず、これが中高年の復職を妨げる一因となっている。「雇用クレジット」はこの問題を解決しようとするもので、50歳以上でフルタイム職に復帰した者に対し、1年間にわたって週60ポンドを支給し、最低でも週175ポンドの収入を保証する。また同年齢層で週16時間以上のパートタイム職に復帰した者に対しては、同40ポンドを支給する。

雇用クレジット制度にあてられる予算は1999年度は1億1000万ポンド。10月から一部地域で開始され、2000年中に全国に拡大される。

参考

  • THE FINANCIAL TIMES

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