労組、ドイツ・モデルの導入へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

労働組合会議(TUC)は、抜本的な改革により労働組合の近代化を図る10カ年プログラムに着手した。ドイツ・モデルにならい、組合の数を減らして部門別に編成する計画だ。

同プログラムの提案はモンクス書記長が行い、3月17日に労組幹部によって承認された。提案の主眼は組合の統合を進めながら組合の新しい構造をつくりあげることである。現在、TUCには76の組合が加盟(組合員数は680万人)しているが、同書記長はこの数を減らし、理想的には公共サービス、教育、輸送、民間サービス、製造業といった基幹部門の組合をそれぞれ一本化したい意向だ。また、TUCは1999年中に導入される組合承認法制をきっかけに労組間の対立が噴出することを懸念しており、この危険性を最小限に食い止めることも改革の狙いの一つになっている。

モンクス書記長は、同プログラムは過去40年における最も徹底的な改革になると述べる一方、小規模の職種別組合も今後は大きな役割を果たすことになると強調。労働者の転職率がますます高まっている中、組合員が権利を脅かされることなく組合を変えられるよう柔軟な仕組みが必要だとした。

転職率の上昇と並んで労働者の間に個人主義が広がっていることにも、TUCは対応しなければならない。組合加入に際し「選択の自由」を求める労働者が増えているが、TUCの現行の規定ではそれに対応しきれていない。「TUCの現体制は反民主的・反自由主義的なものとして描かれやすいが、これは TUCの本意ではない」(同書記長)というわけである。

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