(香港特別行政区)失業率6%に達し、過去25年の記録を更新

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

特別行政区政府が3月15日に発表した統計によると、香港の失業率は6%の大台に達し、過去25年間で最高を記録した。

同統計によると、1998年12月~1999年2月の失業率は6.0%で、前期(1998年11月~1999年1月)比で0.2ポイント上昇した。失業者数は3300人増加して20万6000人を記録した。他方、不完全雇用は0.1ポイント低下して、3.0%となった。政府当局者は、特に旧正月(春節)後の建設部門と飲食業部門の失業の増大が、失業率が6%にまで達した主な原因であるとしている。

ジョゼフ・ウォン人材教育長官は、高失業率を示す数字にもかかわらず、1999年~2000年度予算が3月3日に発表されてからは、経済の好転を期待する兆候が感じられるとしている。同長官は、予算で提言されている政策には、サイバーポート計画や香港登録商船の現地船員雇用強化策など、香港労働市場で3万2000人の雇用を創出する案が含まれているほか、向こう2年間のインフラ整備策や公共事業計画を加えると、併せて12万2000人の雇用創出が予定されていると述べている。

これに対して、香港商工会議所のイアン・パーキン主席エコノミストは、予算に含まれる財政上の刺激策は失業の増大に対する緩やかな抑制にはなっても決定的な影響は与えないだろうとしている。また、民主党のアンドリュー・チャン氏は、失業率はこのままでは8~9%に達する可能性があるとし、組合選出のリー・チュク・ヤン氏は、6%という数字は予測されたもので、政府予算は労働者の困窮の改善に役立たないと批判している。

このような中で、香港科学技術大学が3月17日に発表した雇用調査結果では、大卒の雇用市場が就職・給与の両面で悪化していることが明らかになった。

この調査は1998年夏に卒業した1800人を対象としたもので、失業率は4.8%で、前年度調査の1.6%から3倍になった。フルタイムの職に就いているものは80%、パートタイムあるいは臨時の職に就いているものは3%、現地あるいは国外の研究機関で一段上の学位取得を目指しているものが12%だった。また、給与については、平均月収が1万1500香港ドルから1万香港ドルに低下している。

同大学就職相談センターのチェリル・リー氏は、大卒の失業率は香港全体の失業率よりは1%以上低いが、今後就職状況はさらに悪化する可能性があり、学生は少ない求人数や低めの給与に我慢していかねばならないとしている。

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