MEDEFが週35時間制に関して6つの提案

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

経営者団体フランス企業運動(MEDEF)の実行委員会は3月15日、今年中に制定される第2「オブリ」法をにらんで、「労使対話に基づく」6つの提案を採択した。MEDEFが要求しているのは、(1)新法定労働時間実施の1年延期、(2)単一最低賃金(SMIC)の維持、(3)「産業部門および企業においてすでに取り決められた規定の全面的な適用を可能とさせる」措置(法律介入の制限)などである。

提案の骨子は次の通りである。

交渉開始期間の1年延長

実績を上げている労使対話を国会が中断させないように、セリエール会長は法律制定後1年経過するまで交渉開始期間が延長されることを望んでいる。また、同会長は2001年から時短の対象になる中小企業の定義を現行の従業員20人以下から50人以下へ拡大することも求めている。すなわち、週35時間制の義務化は従業員51人以上の企業の場合2001年1月1日から、その他の企業の場合2003年1月1日からにするべきだというのがMEDEFの要求だ。しかし、オブリ雇用相はこの後、「従業員21人以上の企業に対しては2000年1月1日から週35時間制が実施される」と再確認している。

労使当事者の行動の有効化

各業種、各企業の特殊性を考慮するために、産業部門および企業で締結された協約のすべての規定を全面的に実施可能にすることが求められている。また、労使当事者は既存の最長労働時間という条件だけに基づいて労働時間調整の規則と方法を定めることが可能でなければならないという。

法的最低要件

セリエール会長は、「産業部門協約もしくは企業協約の対象とならない企業のために、法規定を現実的な枠組みに限定し、最大限の裁量の余地を残しておかなければならない」と考えている。すなわち、MEDEFは年平均週35時間に対応する1645時間に基づいて法定労働時間の年計算が可能になることを望んでいる。金属部門協約で考慮されているのは法定休暇(有給休暇5週間と5月1日)だけである。

この法的枠組みでは188時間の時間外労働割当枠(現行130時間)も定め、代償休日の義務のない週39時間の実労働時間の維持を可能にしなければならないという。また、週35時間から39時間までのあいだの時間外労働時間について、割増率5%が提案されている(週39時間を超えるものについては25%)。

いま1つ、金属産業で締結された協約に定められているように、企業が資金負担する場合であっても、職業訓練の一部もしくは全部を労働時間外で実施できるようにするべきだと提案された。

一部従業員に関する特殊規定

MEDEFは一部の従業員について、労働契約に基づき「適切な保証」をともなう請負タイプの方法を実施できるように望んでいる。対象とするのは、「行う職務のために」集団労働時間を「上回る平均労働時間」の従業員(部課の責任者、管理職、中小企業経営者の直接的協力者など)である。また、研究者、頻繁に移動する営業職など、労働時間を「測定できないか管理できない」人たちも対象としている。さらに、知的労働を時間に換算できない職業(クリエーター、企画立案者など)も対象としている。

単一 SMIC

MEDEFは唯一のSMICを新法定時間が実施されるときの時間賃金率に維持するよう提案している。その場合、政府は低資格常用労働者の所得を保障しなければならない。そうするために、構造的補助の枠組みの中で提案されている方法は、労働時間短縮以前の常用労働者の手取り年額SMICに等しい年収を保証する目的で、事業主の社会保障負担を引き下げるというものだ。MEDEFの提案責任者ゴーチェ=ソーバニャック氏によると、そのための総費用は対象となる労働者の数によって異なるが、100~120億フランだという。しかし、低賃金に対する社会保障負担減免措置や使用者負担の計算基準を見直すことによって、企業負担が増大することには経営者は反対を表明している。

パートタイム労働者

MEDEFは週労働時間が短縮されないパートタイム労働者にまで一律的に賃金補償を適用すべきでないと主張している。

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