1999年1月の労働市場

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

1998年第4四半期の労働力人口調査(EPA)によれば、スペイン労働市場が相変わらず好調な動きを見せていることがわかる。失業者数は1998年末時点で300万人以下にとどまっており、1992年以来の好成績である。同年始まった不況のため、1994年には失業率が25%近くに上ったこともあった。

言い換えれば、マクロ経済レベルでは1994年以降回復が続いていたにもかかわらず、失業者数が1992年並に戻るにはその後さらに4年を要したことになる。

景気の後退時に失業者数が増えるという動きは予想のつくものだが、就業者数の変動はこれと逆になっている。1991年から1994年にかけての経済活動の低下期には、労働市場における就業者数は1200万人余から1170万人ほどに減っている。しかし、就業者数の減少は景気後退期の失業者数増を上回り、また好況期における就業者数の増加も活発である。この背景には、1990年代を通じて労働力人口が大きく伸びつづけた事実がある。1990年には1500万人余りだった労働力人口は、1998年第4四半期にはほとんど1650万人に達し、実に8%の増加を示している。これに伴ない、活動指数も1990年代初めの49.1%から現在では50%になっている。

EPAの調査結果によれば、1998年を通じて42万7000の雇用が創出されたことになる。そのうち28万は男性で、男性の雇用成長率は4.3%、女性の2.7%を大きく上回っている。

年齢別では16歳~19歳の層の雇用が11%と最も大きく伸び、逆に55歳以上の層では雇用は減り続け、マイナス0.39%となっている。

失業者数は通年で32万人減っている。第4四半期の失業率は18.17%で、国際的にはまだまだ非常に高いものの、4年前の25%と比べれば大きな前進が見られたと言えよう。性別では、男性の失業率が15%減っているのに対し、女性では7%減っただけである。性別の影響もさることながら、それぞれの労働者の家庭内の地位による差はなお大きい。例えば世帯主の失業率は8.91%で、失業問題が社会に与える影響は数字から予想されるものよりははるかに緩和されていることがわかる。

しかし、失業者数が同水準だった6年前の1992年と比べ、一番大きな違いは就業者数で、1992年の1200万人余が現在では1334万人に達している。いまだに性別による格差は大きく、就業者の3人に2人が男性である。

労働時間および雇用契約形態については、EPAによると1998年に創出された雇用のほぼ全体が賃金労働雇用であり、80%以上が期限付雇用となっている。パートタイム雇用数はあまり伸びていないが、1998年末に導入されたパーは442万7700、平均年金額は8万400ペセタとなっている。これは1998年の職業間最低賃金の121.1%だが、1998年第3四半期の賃金アンケートによる平均賃金の37%にすぎない額である。

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