公務員の実労働時間は週に35~37時間

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

公務相からの要請があってから1年後の2月10日、会計検査院主任評議官ジャック・ロシェ氏は公務部門における労働時間と時間外労働の規制と実態に関する報告書を提出した。戦後初めて行われたこの種の調査により、きわめて多様な状況が明らかにされたが、労働時間は公表されている36~38時間ではなく、「35時間から37時間まで」の間にある(国民教育省と司法省を除く)というのが結論だ。

報告書では、省庁によって休暇日数が大きく異なっていても比較ができるように、年間ベースで公務員(教員を除く)の労働時間が計算された。また、週39時間、年間225日(365日から週末、9日の法定休日、27日の年次有給休暇日数が差し引かれる)働く正規公務員が基準として選ばれた。教員の場合、報告書が年間36労働週に達する学校休暇を考慮しているので、基準が異なる。

報告書は、異なる公務、職務、場合によっては同じ職務の中でも観察される労働時間の大きな格差をもとに、いくつかの特徴を引き出している。

適応していない規制環境

公務員の労働時間が前回変更されたのは、1981年9月30日の賃金協約までさかのぼらなければならない。それ以来、全体的な見直しが行われずに、一時的で多様な措置が累積し、公務員の間には待遇に関する根深い不平等感が生まれている。このために、いくつかの逸脱(補償制度や労働時間がしばしば交渉の変数として用いられてきた)のほか、時間外労働や非常勤雇用への大幅な依存が行われてきた。

対策手段の不在

週労働時間はもはや理論上の基準でしかないばかりか、変形手段も数多く見られ、異なる労働時間の比較を難しくしている。すなわち、「任務を行ういわゆる特殊性-その評価は主観的であり、見直されていない-を補うために、修正した補償制度とともに変形労働時間が利用されている」という。また、時間外労働、追加的休日、基準週労働時間の短縮などについても、事情は同じだ。国民教育省の典型的な状況によると、「学校閉鎖時期の影響、時間外労働の特殊な地位、そして教育時間以外の労働時間」のために、「特殊な労働時間へのアプローチ」が必要になる。29時間05分から39時間07分までの格差がある文化省の場合も特殊であると思われる。

全体的な見直しが行われていない

労働時間の調整に導入された柔軟性は、利用者の必要性と結びつけられているわけではなく、多くの場合は紛争の後に締結された全国協約もしくはローカル協約と結びつけられている。すなわち、年次休暇の場合、平均が6週間前後だが、大臣によって与えられた休暇日数に、局長の休暇日数、部長の休暇日数、さらにはオフィス責任者の休暇日数が積み重なっている例も珍しくない。

労働時間の調整と短縮のために、報告書は公務員全体に適用する一般的な枠組みの実施を勧告している。調整のための分散交渉はそのあとで行うべきだという。

事前的な明確化

大きさの単位として時間を、計算の枠組みとして年を用いて、3つの公務に適用できる一律的な労働時間措置の導入が、ロシェ報告書の勧告の原則だ。労働時間は年間1589時間から1603時間までに格差が広がる可能性がある。

労働時間調整手段の拡大

主として問題になっているのは、変形労働時間と電子システムによる勤務管理の一般化だ。時間貯蓄勘定の導入とパートタイムへの誘導も勧告されている。それによって、時間外労働への依存が無用になるだろう。

報告書は、幅広い議論の中で、パイロット委員会、モニター委員会、そして公務部門大規模使用者団体の設置を勧告している。使用者団体は、「職務による格差や乖離を避け、職員数、賃金総額、労働時間などを管理する」ことを目指す。

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