失業保険制度、シンガポールでは不要
経済危機により打撃を被ったアジア諸国は解雇者のために失業保険制度を確立すべきであるとの国際労働機構(ILO)の提案に対し、リム・ブーンヘン全国労働組合会議(NTUC)書記長(無任所相兼任)は1998年12月23日、テレビ局のインタビューで、シンガポールでは適切なセフティ・ネットがすでにあるため政府が失業保険制度を導入する必要はないと発言した。
シンガポール政府は、家賃・光熱費助成制度や医療貯蓄・保険制度などを通じて食糧、住居、衣服、保健、教育の5つの分野で、国民の基本的要求の充足と福祉を保証している。同書記長は、こうしたセフティ・ネットは西洋型の福祉制度とは異なって労働倫理を破壊することはなく、また政府が彼らに対して提供できる最高の福祉は職の提供であると、失業保険制度の導入に否定的な見解を示した。
これと関連して同書記長は、雇用政策の一環として NTUC は現在、100社を超える企業と協力して従来の賃金制度をベースアップ賃金制度へと再編成する計画を進めていることを明らかにした。このベースアップ賃金制度では企業は職務(job)の価値に基づいて賃金を支払い、同一職務の初任給と最高給の格差は1.5倍を超えてはならない。これにより中高年に対する賃金支払いが抑制される分、雇用を維持ないし拡大できると NTUC は見ている。
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