中央積立基金の新拠出率1月より適用

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

1998年11月12日の全国賃金審議会(NWC)による改定賃金勧告を受けて(本誌1999年2月号参照)、中央積立基金(CPI)の使用者側拠出率が20%から10%へ引き下げられ、1999年1月1日より新しい拠出率が適用された。

CPF は、労働者が55歳に達した場合や労働不能になった場合に、それ以後の生活を保障するため1955年中央積立基金法に基づいて設置された国家の強制貯蓄制度である。就業者は全て一定率の掛け金を積み立て、使用者もほぼ同額を従業員のために積み立てる。つまり CPF は退職積立金ないし年金積立の意味をもっているが、公共住宅の購入に際して積立金の90%まで引き出して利用できるため、財産形成貯蓄の意味も併せ持っている。また月々の掛け金を住宅ローンの償還に充てることも可能だ。

今回の使用者側拠出率引き下げは、使用者のコスト負担を軽減する一方で、月々の掛け金を住宅ローンの償還に充てている労働者などに負の影響を与える。ストレイツ・タイムズ紙が行った調査では、10人に6人が影響を受けると考えており、特に月収1500ドル未満のブルーカラー労働者や住宅ローンを抱えている労働者がそのように感じている。

こうした従業員のために拠出率引き下げ分の補填を計画している企業もある。人材コンサルタント会社、ワトソン・ワイアットが1998年11月に主要14部門325社を対象に調査した結果、拠出率の引き下げを実施しない場合も含めて、およそ1割の会社が補填計画を持っていることがわかった。補填方法については、従業員のボーナスを割増するが37%、拠出率を据え置くが16%、月給を上げるが13%、残りは福利厚生費や訓練費を増やす、であった。

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