自動車販売、増加に転じる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

マレーシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:1999年4月

経済危機で低迷が続いていた自動車販売が1998年秋から増加に転じている。市場関係者らは経済が回復基調に入りつつあると受け止めている。

マレーシア自動車販売業協会(MMTA)の公表した統計によると、1998年末の自動車販売台数は、1998年9月が1万2883台、10月が1万4232台、11月が1万9081台と増加傾向にある。経済危機の始まった1997年8月の4万191台にはまだ及ばないものの、過去9年間で最低の月間販売台数6872台を記録した1998年2月に比べるとかなり回復している。なお、1998年上半期の販売台数は前年同期比68.1%減であった。

自動車の販売状況は一国の経済パフォーマンスを示す指標として取り上げられることが多く、市場関係者らは今回の発表を受け、過去13年間で最悪の「経済混乱」を脱し、経済は回復軌道に戻りつつあると判断している。政府の景気対策、自動車ローン規制の緩和(注1)、低い利子率などが改善の要因である。市場への信頼回復を示す他の徴候としては、1998年11、12月に7種の新モデルが登場したことも挙げられる。

EPF の貯蓄投資も好転の兆し

従業員積立基金(EPF)の加入者貯蓄投資制度を活用した証券投資額も1998年秋から増加に転じている。ファンド・マネージャーらは経済への信頼回復を示すものだと述べている。

同制度は、EPF が加入者に高い収益機会を提供する目的で1996年11月に導入したもので、条件に見合う加入者は本人の第1口座(退職年金用口座)から積立金の一部を認可された投資信託委託会社を通じて証券投資に振り替えることができる(本誌1997年9月号参照)。配当率は8~15%で、EPF の1997年配当率6.7%を上回る。

同制度導入後、振替額は徐々に伸び、1997年6月に8590万リンギの月間最高振替額を記録したが、経済危機に見舞われてからは低下の一途をたどり、1998年2月は3150万リンギにとどまった。その後微増し、同年8月に5400万リンギ、11月には7940万リンギと経済危機以前の水準まで回復している。導入から2年を経過した1998年11月までの振替総額は12億リンギである。

関連情報