プランテーション部門で6万2000人の賃上げ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

マレーシア農業生産者協会(MAPA)と全国プランテーション労働者組合(NUPW)は1999年1月16日、プランテーション部門の労働者約6万2000人の賃金を14~18%引き上げる労働協約を締結した。1月1日にさかのぼって引き上げられる。経済危機のさなか、同部門、特にヤシ油産業は高需要・高価格を維持していた。

賃上げを定めた労働協約は以下の3種。

  • ゴム樹液採取者賃金協約―MAPA に加入する全国470カ所の栽培場で就労するゴム樹液採取労働者2万3644人を対象に、賃金を12~14%引き上げる。
  • 農場労働者賃金・付加給付協約・農場労働者2万8145人を対象に、賃金を18.7%引き上げる。2001年12月31日まで有効。
  • ヤシ油圧搾労働者賃金協約・1万1063人のヤシ油圧搾労働者を対象に、賃金を16.7~18.6%引き上げる。本協約は1999年12月31日の失効時点で見直される。

プランテーション部門の賃金の支払形態は日給制で、1998年5月31日に失効した前協約での額は、ゴム樹液採取者、農場労働者とも1日10.4リンギであった。同部門の賃金は国内産業の中で最も低い部類に属し、奨励金等を合わせても1カ月平均300~350リンギにしかならない。例えば1990年の1カ月平均賃金は建設労働者が734リンギ、工場労働者が657リンギだったのに対し、プランテーション労働者は353リンギであった。

前協約が失効して新しい交渉に入った当初、NUPW とこれを支援するプランテーション労働者支援委員会は折からの高需要を背景に、月給制の導入、1カ月分ボーナスの支給、最低50リンギの年間賃上げ、勤続年数1年当り1000リンギの退職手当給付などを求めた。ところが、MAPA はゴム価格は相対的に低く、ヤシ油産業がゴム産業を牽引しているにすぎないと主張、最終的に NUPW もこれを認め、次の交渉の場に改革案を再提示することになった。

なお、上記の協約には、次の特別規定が盛り込まれている。

  • NUPW 各支部の書記長によって推薦された従業員に精勤手当を支給する。額はゴム樹液採取者が230リンギ、農場・一般労働者が170リンギ、ヤシ油圧搾労働者が180リンギ。
  • 月毎に皆勤手当として32リンギ、欠勤日数が1日の場合には20リンギを支給する。
  • 結婚式休暇として2日を与える。

MAPA は今回の労働協約のために2億リンギ以上を支出するが、うち1億6500リンギは賃金引き上げのために当てられ、残りが従業員積立基金と社会保障機構への拠出に当てられる。

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