政治家に転身する公務員に好待遇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

公務員組合(Korpri)の Feisal Tamin 委員長によれば、これまでの選挙では、国営企業を含めると600万人(国営企業労働者を除くと510万人)を数える各公務員は、選挙ごとに家族を含めた9人を与党ゴルカルに投票するように勧誘することが義務づけられ、推計3000万票がゴルカルに投じられていた。公務員票はゴルカルが60%から70%の得票率(1997年の最終選挙では74%)を獲得するのに大きな役割を果たした。このため、野党各党は公務員の政治的中立性を求めていた。民主主義を進めるためにも、公務員の政治的自由の確立は、試金石の一つとされる。

この問題に関し、1999年1月26日に政府規則1999年第5号が施行された。この規則では、政治活動に携わる公務員は官僚機構での勤め口が失うが、公務員としての地位を維持できるとした。閣僚の説明によれば、政党に参加する公務員は3年間の「無給停職」をするか、退職しなければならない。しかし同規則の付録には、失職の補償として基本給、定期昇給、さらに各種手当が支給されるとある。支給期間は最長1年だが、5年間まで更新できる。さらに公務員は、政党党員資格と政治活動について3カ月以内に報告することが義務づけられた。人事庁(BAKN)の Soenarko 長官によると、この規則は検察官、大学講師、裁判官を含む全ての公務員に適用される。

Tamin 委員長は、これまでもゴルカルからの政治的独立を求めており、これからの Korpri にとって重要なことは、公務員が職業訓練を通して能力を向上させ国民に奉仕することであり、一部のグループに奉仕することではないと述べている。また、今後、公務員がゴルカルに協力しないという理由で解雇されることはないと明言した。Korpri の活動方針については、2月に開催される Korpri 大会で明らかにされる予定で、どのような活動に重点が置かれるのか注目される。

ジャカルタ・ポスト紙社説は新規則を歓迎する一方で、多くの公務員がゴルカル内の重要な地位にあるという事実を指摘、公務員から転じた政治家が再び公務員に復職できるならば、以前の部下に対して影響力を持ち続ける可能性を懸念しており、それ以外にも新規則にはあいまいな点が多いとその意義に疑問を提示している。

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