景気後退でエンジニアリング部門さらに深刻

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

エンジニアリング部門が深刻な景気後退に直面している。エンジニアリング使用者連盟(EEF)のグラアム・マッケンジー事業総長は1月15日、「相次ぐ解雇や投資計画の縮小を憂慮している」と述べ、予測されている生産量1%減の影響を最小限に食い止めるため、政府に一層の利下げと財政支援を要請したことを明らかにした。EEF には5000社以上が加入しており、全体で英国製造労働者の40%を雇用する。

EEF がロブソン・ローズ会計事務所と共同で実施した第4四半期景気動向調査によると、EEF の季節調整済産出高はこの5年間で最低。ポンド高や東南アジアなど輸出市場の不振が原因だ。同産業は1998年夏に景気後退に入り始めていた(本誌1998年9月号参照)。

EEF は、現在6.25%の基準貸出金利を、欧州中央銀行がユーロ・ゾーン11カ国を対象に設定している3%に合わせることをイングランド銀行の長期目標とすべきとしているほか、プロジェクト、研究、研修への財政援助を提供するよう政府に要請している。

同部門の支払賃金額は過去6カ月間急落しており、サービス部門の平均値との格差が1980年代後半以来最大になっている。EEF 加盟企業のうち支払賃金額を公開している企業の年間平均賃上げ率は1998年11月時点で2.2%、前年6月は3.8%であった。

1999年の自動車市場、縮小か

1998年の新車登録台数が10年前を5万台下回る225万台であったことを受け、1999年の英国自動車市場は大幅に縮小するだろうと市場関係者は予測している。数字を発表した自動車製造販売協会(SMMT)は1999年の販売台数は1998年よりも20万台ほど下回ると予想している(同年比8.8減)。その要因としてナンバープレート制度の変更、経済の減速、高い国内自動車価格などを指摘している。

輸出市場の動向も関わってくるため、今回の発表を受けて直ちに生産縮小に動く企業は出ていないが、同産業内には雇用への影響も含めた先行きについて不透明感が広がっている。

フォード、生産縮小期間を延長

フォードは1998年10月から始めていたロンドン東部ダゲナム工場の生産縮小を3月まで延長する。輸出市場、特に南欧市場の需要が落ち込んでいるためだ。同工場の産出量の45%は南欧市場に向けられている。これにより4000人の労働者は2シフト(木曜日夜間と金曜日昼間)に組み立てる自動車がなくなる。

英国日産は新モデルに向け800人新規採用

1998年の生産台数が前年比6.3%増の28万8838台を記録した日産は2月3日、イングランド北東部の工場で2000年1月に始まる新モデル生産に備えて、800人以上の採用活動を開始した。同工場は英国最大規模で、現在4200人を雇用。採用キャンペーンを3日午前に開始、昼までに問い合わせが800件以上あったという。

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