DGB会長、年頭記者会見で賃金政策などの方針を表明

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

シュルテ労働総同盟(DGB)会長は1月13日にデュッセルドルフの本部で恒例の年頭記者会見を行い、1998年12月7日に始まった「雇用のための同盟」の政労使トップ会談も踏まえて、労使交渉を進めて行く労働側の方針を表明した。

同会長はまず、労働組合が過去数年間適切な賃金政策で雇用の創出に貢献したとし、今後もこれを続けていくと言明した。同時に賃金問題の解決は産業部門ごとに異なる解決の仕方が可能で、例えば建設業においては1~2%の賃上げよりも年間を通した雇用の確保のほうが重要で、この条件が満たされる部門において初めて内需拡大のための相当程度の賃上げが正当化されると述べた。そして「雇用のための同盟」はこの部門ごとの考慮を要する賃金政策に関与すべきでなく、あくまで協約自治の原則が尊重されるべきであるとした。

さらに同会長は、2月25日に予定されている次回の「雇用のための同盟」の会談を見越して、若年失業者対策が今後も再優先され、全ての若年失業者に訓練職が確保されねばならず、企業に於ける割当率を現在の平均5%以下から8%程度まで高めねばならないと述べた。

問題となっている協約賃金基金については、同会長は年配労働者の早期退職によって若年労働者の雇用枠を確保すべき目的を強調しながら改めて支持を表明したが、リースター労相の構想と異なり、労働側の要求として基金への拠出には労働者だけでなく政府と使用者側の負担も必要であるとした。さらに同じ目的のために、高齢者パートタイム制度についても利用が容易になるように改革すべきだと主張した。

雇用市場全般については、ロシア等の国際的経済危機がドイツの経済成長に影響することを踏まえ、1999年度の失業者数を400万人以下に抑えるためにはさらに雇用の再配分処置を講ずる必要があるとした。同会長は、そのために超過労働を廃止すると同時にパートタイム労働を促進すべきであるとし、現在規則的に行われている超過労働の廃止によって40万人の雇用が確保されるだろうと述べた。

12月7日の「雇用のための同盟」の会談では、政労使が一体となって失業問題に取り組む姿勢が示され、個別事案ごとに8つの作業部会を設けて検討することになったが、シュルテ会長の年頭の会見を踏まえ、次回の会談の行方が注目される。

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