基礎情報:ラオス(2018年)
2. 雇用・失業対策

2018年9月25日掲載

2-1 公共職業安定制度

ラオスでは親族や友人による縁故、工場や事務所前の貼り紙による募集が一般的であり、無料の求人雑誌もよく活用されている。その他、新聞、SNSなども利用されている。公的な職業安定制度を活用しようという機運もあるが、実質的に機能している公的な制度は存在していない。特に、地方において求人、求職の情報が少ないという問題がある。また、キャリアガイダンスの機会が少なく、今後改善していく必要がある。

2-2 失業保険制度

失業保険は社会保障基金により管理されている。民間の場合、使用者と従業員は合計で給料の11.5%(使用者6%、従業員5.5%)の保険料を社会保険基金に支払い、社会保険基金はそれを医療給付、労働災害給付、老齢年金、失業給付などに使用することになっている。11.5%の保険料のうち失業給付基金に支払われるのは2.0%(使用者1%、従業員1%)であり、政府部門や個人事業主は適用除外のため失業保険料を支払っていない。給付の詳細は、5「社会保障制度」の「5-9失業給付」を参照のこと。

出所:国際労働財団編「2017年 ラオスの労働事情新しいウィンドウ」。
(2017年6月23日に国際労働財団主催により開催された講演会におけるラオス労働組合連盟(LFTU)チャンペット・マニセン広報部副部長らによる講演録。)

2-3 外国人雇用の概況

ラオス人の雇用が優先するが、使用者は十分なラオス人労働者を確保できない等、必要があるときは外国人労働者を雇用することができる。外国人労働者の雇用上限は、肉体労働において専門技能を有している者の場合は、従業員数の15%、頭脳労働において専門技能を有している者の場合は25%となっている(労働法第68条)。

ラオスでは専門技能をもつ労働者の数が限られており、専門技能を持つ労働者は外国人労働に頼らざるを得ない面がある。ラオス人とタイ人は同じタイ族に属し、ラオス語とタイ語は共通する部分が多い。したがって、タイ人はラオス人と言語および文化上の障がいが低く、製造業などの専門技能を持つ者として雇用されている。また、建設部門では生産性を上げるためには、外国人労働者を雇用せざるをえず、ベトナム人や中国人の雇用が多い。現在進行中の鉄道やダムのプロジェクトには多数の外国人労働者が必要となっていると予想される。

ラオスにおいて不法に働いている外国人労働者は多く、その数は把握できていない。労働社会福祉省は不法労働者の管理対策として、2016年に登録した不法労働者に一時的労働許可書を発行した。一時的労働許可書の発行数は、24,000であったと発表している。そのほとんどは、ベトナム人、中国人、タイ人であった。

2018年2月に発表されたラオス労働社会福祉省の公表資料によると、2017年のラオスにいる正規の外国人労働者の数は、新規17,285人(内女性2,477人)更新3,920人(内女性881人)合計21,205人(内女性3,358人)であった。

出所:労働社会福祉省からの回答。

2-4 外国で就労するラオス人

ラオス政府はタイ、日本など諸外国と労働者送出しについて協定を結んでいる。タイは隣接しており、言語障壁も低く、賃金も高いため、多くの人がタイに働きに行っている。タイへの正式な送出しの場合には人材派遣会社が数社あり、この会社を通じてタイの企業への就職を斡旋する。これが正規の労働送出しルートであるが、正規の手続きのためには費用がかかり、また時間がかかるため、多くの人が不法にタイに行って働いている。現地の英字新聞によるとタイの外国人労働者の数は150万人で、ラオス人はその1割の15万人と言われており、ラオス人が主に従事する職業は家事労働、農業、食料販売などである。タイは不法外国人労働者をとりしまる方針を打ち出している一方、単純労働者が不足している。そのため、不法滞在外国人労働者で登録をした者には一時的な労働許可書や暫定的身分証明書を発行して、その後正式な書類に切り替える方向に進めている。

労働社会福祉省の公表資料によるとラオス人で正規に海外にて就労する労働者数は、タイへの新規は40,769人(内女性22,002人)、更新8,704人(内女性4,391人)、その他の国8,617人(内女性4,408人)、合計で58,090人(内女性30,801人)となっている。比率的には女性のほうが多い。

出所:海外職業訓練協会(OVTA)(2008)「OVTA各国・地域情報(ラオス):労働者の国外送出について新しいウィンドウ」。
労働社会福祉省からの回答。

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