基礎情報:マレーシア(2004年)

基礎データ

  • 国名:マレーシア (Malaysia)
  • 人口:2,558万人 (2004年年央)
  • 経済成長率:7.1% (2004年)
  • GDP:653億ドル (2004年)
  • 労働力人口:1,040万290人 (2004年第3四半期)
  • 失業率:3.4% (2004年第3四半期)
  • 就業者数:1,005万730人(2004年第3四半期)

資料出所:外務省「各国・地域情勢」、マレーシア統計局、マレーシア人的資源省、経済企画庁、Ministry of Finance "Economic Report 2004-2005"、MTUC "Report of the General Council 2002-2004"、労働政策研究・研修機構「2003年海外労働基礎情報」

I. 2004年の動向

1. 労働市場

労働力人口(表1)は、03年に1,056万5800人であったものが04年には1,092万5200人と増加傾向。労働力は対前年比で3.4%増、1990年代半ば以降同水準で推移している。労働力率も、67.3%(03年)から68.2%(04年)に増加。情報通信技術の発展により女性の在宅労働や柔軟な労働時間による就労機会が拡大し、女性の労働力率の上昇が主な要因である。就業者数は1,054万5600人(2004年推計値)で、増加率は3.6%。産業別(表2)では、新規雇用者の36.6%(380万人)が第2次産業、49.7%(524万人)が第3次産業に吸収されており、第1次産業での雇用創出効果は小さい。1990年代以降、第1次産業における就業者数減少が、中・長期的な傾向となっている。一方、失業率は、1990年代後半から3%台で推移し、2004年は3.5%であった。なお、労働市場への新規参入者の学歴をみると、高卒が17.5%(03年)から18%(04年)に上昇。現在、労働力人口全体で、中卒が50%を超えている。

注:2004年は推計値。

資料出所:Economic Planning Unit

注:2004年は推計値。

資料出所:Economic Planning Unit

2004年1月に人的資源省は、使用者の求人登録を義務付ける職業紹介制度を導入。同制度の下、電子職業紹介システムが把握した2004年上半期の求人件数は、2万8327件。現時点では件数は少ないが、同制度の普及に伴い、件数が上昇するとの見方を政府は示している。2004年上半期求人の業種別内訳は、電機・電子部品製造を中心とする製造業(32.2%)、サービス業(15.5%)、卸売・小売業(6.1%)、教育(5.7%)、建設業(5.3%)。Jobstreet.comが発表した調査によると、労働市場における雇用確保に自信を持っている求職者の割合は、2003年7月時点で32.5%であったのが、2004年7月には43.5%に上昇している。この傾向は、人材局における登録求職者数が2004年上半期に26.4%減少していることにもあらわれている。登録求職者2万7514人の47.7%(1万3118人)が専門職カテゴリーで就職し、残りの52.3%は事務職、機械オペレーター、販売、農業、水産業その他の単純労働で就職口を確保している。

一方、2004年上半期の人員削減対象者総数は、2004年上半期に13,693人。経済の活性化と労働力需要の拡大により、企業の人員カットは減少傾向にある。業種別では、製造業(60.3%)及びサービス業(31.3%)の人員カットが大半だ。人員カットの主な理由は、製品需要削減や企業再編・合併・合理化など。

2.労使関係

(1)労働組合・使用者団体

労働組合は、職種別、職業別、職能別、事業所(企業)別、産業別に結成が可能。特定の職種、事業所(企業)、産業において既に労働組合が存在する場合、当該職種、事業所(企業)、産業において新たな労働組合の結成は認められない。原則としてその結成後1カ月以内に、労働組合登録官(人的資源省労働組合局長)に登録申請書を提出し、登録官の資格審査を経て、組合登録が義務付けられている。登録の可否に関する判断については、労働組合登録官の裁量が認められている。なお、登録後、当該労働組合が従業員労組として活動するためには、使用者の承認を得る必要がある。使用者が承認拒否を行った場合には、当該労働組合は、労働組合登録官に対し、申立てが可能となっている。

マレーシアの労働組合のナショナルセンターは、マレーシア労働組合会議(MTUC)。MTUCは、1954年に創設され、ICFTUに加盟している。創設当初からプランテーション、運輸、鉄道、教員などの各労組が中心となっており、現在でも教員労組が最大加盟組合で、製造業労組の勢力は弱い。2004年のMTUCの大きな変化は、約20年にわたって委員長の座に君臨しつづけたザイナル・ランパック氏の役員選挙での敗退。2004年12月の役員選挙の結果、サイド・シャヒル全国輸送機器・関連産業組合書記長(NUTEAIW)が47票差でザイナル氏を破り、新委員長に就任した。MTUC内部では、ザイナル委員長派とラジャセカラン書記長派が主導権争いを続けてきたが、今回の選挙では、ラジャセカラン書記長派が圧勝。

17幹部ポストをすべて掌握した。両派の争いは活動方針の違いによるものではなく、人脈の違いに根ざしたもので、過去10年以上にわたって続いてきたもの。したがって、今回の委員長交代によってMTUCの活動方針が大幅に変わることはない。

使用者団体には、1)結社法に基づいて登録された使用者団体、2)労働組合法上の登録対象となっている労使交渉団体としての使用者団体――の2種類があり、全国組織はマレーシア使用者連盟(MEF)である。業種別組合員数、組織率、MTUC加盟労組数、労働協約締結件数、適用対象労働者数などの推移は、表3表4のとおり。

*推計値

資料出所: Human Resources Ministry & MTUC Research Dept

資料出所:Industrial Relations Department, Malaysia

4.労使紛争

労使紛争は、1967年労使関係法の下、1)労使交渉、2)和解/調停(労使関係局長の判断による)、あるいは、3)労働仲裁裁判所(Industrial Court)の仲裁――によって処理される。2004年の労使紛争件数、労働調停件数、申立件数などは、表5表6表7に示すとおり。

資料出所:Industrial Relations Department

6.賃金制度

(1)最低賃金制度

マレーシアには、全労働者を対象とする最低賃金制度は存在しない。1947年賃金評議会法は、組織化が困難な業種について賃金評議会を設置し、同評議会に賃金設定権限を付与する旨定めているが、その対象業種は、1)配膳・ホテル業、2)店員、3)映画館員、、4)船荷おろし労働者――の4業種に限定で、最賃見直しもほとんど行われない。この他、政府は、サービス部門と農業部門に限り、最低賃金の導入を検討する委員会を設置しているが、取り組みは進んでいない。

(2)賃金制度改革

フォン・チャンオン人的資源相は2004年7月、自動昇給ベースの従来の賃金制度を撤廃し、5年を目途に、労働生産性の向上に連動した新賃金制度(生産性連動型賃金制度)への完全移行を図る意向を示して以来政府は、新制度の早期普及を目指し取り組みを強化している。マレーシア政府は、新賃金制度を、マレーシア経済の競争力強化、人的資源開発拡充などに不可欠なツールとして位置づけており、第8次マレーシア計画の一項目にもなっている。同計画の中間レビューでも、新賃金制度実施の一層の強化が再確認されている。

政労使三者構成による国家労働諮問委員会(NLAC)が策定した賃金改革に関するガイドラインによると、新賃金制度は、固定部分(月額その他の固定給、年間ベースアップ、及び年間その他のボーナス)及び変動賃金部分(生産性利潤分配方式に基づく昇給)から構成される。このうち、固定部分の月額その他の固定給は職務内容による決定、年間ベースアップ分は年功及び経験を土台として算出。また、変動部分については、個人、職務、企業全体の生産性及び業績をもとに、測定可能かつ透明性のある指標に従って決定する。変動部分について新制度導入を促すため、同ガイドラインは、二つの具体的モデル――「収益性モデル」及び「生産性モデル」――を示し、企業に対し、両モデルを組み合わせで採用するよう求めている。

「収益性モデル」の場合、変動部分となる業績手当ては利益分配方式によって決まる。その方式については、1)組合がある場合は労使の合意をもとに労働協約で定める事項とすること、2)未組織部門では労使協議を通じての合意を得ること――が望ましい。さらに、投資利益、資産収益、株主資本利益、過去数年の平均収益などを総合的に勘案して予め基準を設定し、それを超える利益がある場合に、能率給もしくは奨励給の支給を求めている。

一方、「生産性モデル」では、変動部分は、生産性向上に対応する年間奨励給とする。支給額は、固定部分のベースアップ分を超えない範囲とし、定期的な支給が求められる。また、生産性連動賃金の支給には、企業業績との調整も必要となるため、業績悪化の場合は不支給の措置も可能だ。奨励給の支給額決定にあたっては、生産性指標を用いることとし、企業独自の指標がない場合は、産業別、あるいは国レベルの生産性指標もしくは経済成長指標の準用を勧めている。

資料出所:Economic Report 2004-2005, Ministry of Finance, Malaysia

なお、ガイドラインは、新制度導入にあたって、1)関連情報の労使間の情報共有、2)新制度への従業員の信頼構築、3)労使間の合意に基づく公正な業績評価制度の構築及び定期的な見直し、4)モニタリングや評価に関する機密の保持、5)従業員との協議、6)新制度導入に必要な訓練の実施、7)苦情処理機関と紛争解決手段の確保、8)合理的な移行期間の措置の設定――などについて、労使の協力の必要性を強調している。

一方、公的部門の賃金についても政府は、政府関係法人・機関・企業において業績重視型の風土を促進する一連のイニシアチブを講じた。具体的には、主要業績評価指標の実施と政府関連機関に対する業績連動型賃金の導入――。マレーシア政府は、こうした公的機関の業績アップや競争力の推進を、民間企業が長期的に持続可能な成長を遂げるため鍵となると考えている。

生産性連動型賃金制度の普及にあたっては、1990年代から、国家生産性機関(NPC)が、制度の開発、普及、調査結果や賃金・生産性データの提供や企業相談などの分野で積極的な取り組みを行っており、2000年から2004年月までに、101企業が、生産性連動型賃金制度の実施に関し、NPCの助言を受けている。2004年時点の生産性連動賃金制度の導入実績は、民間部門50社、政府関連企業・組織7団体。また、01年から03年における製造業、サービス業、農林水産業における労働協約で、生産性連動型賃金制度を協約事項として盛り込んでいる割合は表8のとおり。03年時点では、労働協約367件のうち製造業部門の協約の64.2%、サービス業の労働協約の29.7%が、生産性連動型賃金の項目を盛り込んでいる。マレーシア政府は、NPCを通じて、引き続き、生産性連動型賃金制度の普及活動に努め、実施推進を目指す。政府は、同制度の定着の鍵となるのは、政労使の対話・協力であるとしている。

資料出所:Economic Report 2004-2005, Ministry of Finance, Malaysia

8.賃金動向

マレーシア経営者連盟(MEF)が2004年12月に発表した「2004年管理職・非管理職の給与・福利厚生費に関する調査」結果(製造業215社の管理職・212社の非管理職を対象)によると、多くの企業で生産性・業績連動型賃金制度が普及しつつあることが明らかになっている。マレーシアの賃金制度は、1)月給その他の固定給、2)医療給付、傷害・生命保険、従業員積立基金拠出、通勤費補助・全額支給、年間ボーナス、退職金給付などの福利厚生費――により構成されるのが一般的。このうち福利厚生費の支給は、各企業によりまちまちだ。同調査結果は以下のとおり。

製造業部門における管理職給与

製造業部門の管理職に対する平均給与(月額)は、一般管理職2608リンギ(686ドル)、上級官吏職10798リンギ(2842ドル)、最高幹部24164リンギ(6359ドル)と非常に幅が広い。2004年の管理職平均昇給率は、5.89%。このほか、回答企業の85.5%が、平均1.99カ月の変動賞与(ボーナス)を支給した。表8は、職種別平均最低給与及び最高給与を示すもの。

資料出所:Malaysian Industrial Development Authority

製造業部門における管理職に対する福利厚生給付

管理職に対する年次有給休暇日数は、管理レベル及び勤続年数に応じて、15日から24日の幅。また、全回答企業が管理職への医療給付を実施しており、57.2%の企業は、医療給付適用範囲を被扶養者へも拡大している。保険給付では、生命保険よりも個人傷害保険の給付が一般的。さらに、管理職については貸付金制度が普及しており、自動車ローン、個人ローン、コンピューターローン――などが一般的だ。

製造業部門における非管理職給与

製造業部門の非管理職の平均給与は、未熟練労働者631リンギ(166米ドル)から、半熟練労働者890リンギ(234米ドル)、熟練労働者/技能労働者1236リンギ(325米ドル)の幅に収まる。2004年には、回答企業の95.7%が、主として業績ベースの昇給を実施。平均昇給率は、5.26%であった。表9は、製造業部門における非管理職の職種別平均最低・最高給与額を示すもの。

資料出所:Malaysian Industrial Development Authority

非管理職への年次有給休暇日数は、勤続年数に対応している。回答企業の50%は、勤続2年以上の従業員について10日から14日、勤続2年以上5年以下の従業員について13日から16日の年次有給休暇を付与している。医療給付については、回答企業の97.2%が支給。このうち40%が、被扶養者への給付も行っている。また、回答企業の83.7%が従業員への個人傷害保険を付与。このほか、回答企業の大半が、日額ベースの交替勤務手当を支給している。交替勤務手当の支給額は、第1シフトについて2リンギ(0.53米ドル)、第2シフトについて2.01リンギから6リンギ(0.53米ドルから1.58米ドル)、第3シフトについて4.01リンギから8リンギ(1.06米ドルから2.10米ドル)を各々上限としている。

8.外国人労働者問題

マレーシアは、金融危機以降の順調な経済回復を果たし、工業化・企業再編により急速な経済成長を実現。完全雇用に近い状況が実現している。このため、クラン/バレーその他の大都市、ペナン、イポーなどの地域の製造業及びサービス業のみならず、農林水産業、建設業などで労働力不足が深刻化し、合法・不法に関わらず多くの外国人労働者の流入要因となっている。1980年代に13万6000人程度であった合法的外国人労働者数は2000年には110万人に急増。2004年7月時点で135万9632人に及んでおり、全就業者の12%を占めるに至っている。統計局の労働力調査によると、外国人労働者の主な送り出し国は(表)、インドネシア(66.5%)、ネパール(9.2%)、バングラデシュ(8.0%)、インド(4.5%)、ミャンマー(4.2%)。送り出し国の構成は、マレーシア政府が就労を認めている外国人国籍に対応したものである。また、男女別では、男性が66%を占めている(2001年統計)。

マレーシアで現在外国人労働者の就労が認められている産業は、プランテーション、建設業、一部のサービス業・製造業である。登録外国人労働者の2004年7月時点の産業別内訳(表11)は、製造業(30.5%)、サービス業(25%)、農業(24.7%)、建設業(19.8%)の順で、サービス業では、レストラン、ホテル、メイドとしての就労が中心だ。外国人メイドの総数は1997年に75,300人に過ぎなかったのが、2004年7月には26万1,006人にまで急増している。また、内務省下の外国人労働者専門委員会が2004年上半期に認可した外国人求職者は92,800人。産業別内訳は、建設業59%、プランテーション18%、サービス業14%、製造業9%であった。なお、外国人労働者の就学率は低く、正規の教育制度あるいは初等教育を修了していない割合が全体の67%にも及んでいる。

マレーシアでは、こうした正規外国人労働者のほか、不法就労者数が70万人に及ぶと推測されている。2004年上半期に強制送還の対象となった不法就労者数は、33,446人であった。

資料出所: Department of Immigration

表12 外国人労働者の業種別内訳
  外国人労働者総数 (年度別)
1990 1995 2001 2003 July
2004
1990 1995 2001 2003 July
2004
農業 115.8 173.0 284.1 185.9 335.2 47.9 36.1 32.9 16.5 24.7
鉱業 1.4 1.8 2.1 - - 0.6 0.4 0.2 - -
建設業 25.1 64.8 99.0 265.9 269.1 10.4 13.5 11.5 23.6 19.8
製造業 23.7 115.7 213.0 355.4 414.3 9.8 24.1 24.7 31.5 30.5
サービス業 76.0 124.0 265.6 319.6 340.9 31.3 25.9 30.7 28.4 25.0
合計 242.0 479.3 863.8 1,126.8 1,359.5 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

資料出所:Department of Statistics and Department of Immigration

一方、主に専門家や高技能労働者を中心とする海外駐在者(居住者)が外国人労働者人口に占める割合は約3%。2004年6月1日から移民局は、こうした海外駐在者(居住者)の採用プロセス簡素化を目指し、ワン・ストップ許可制度を導入。2004年5月時点で、34,519人の海外居住者がマレーシア国内で雇用された。こうした海外居住者の多くは、製造業(14,595人)、サービス業(14,139人)に従事し、主な出身国は、インド、日本、中国である。

マレーシア政府は、外国人労働者の急増に懸念を示しており、2004年4月に、今年発表となる経済総合5ヵ年計画「第9次マレーシア計画(2006-2010年)」に、外国人労働者削減策を盛り込む方針だ。基本的には、安価な外国人労働力への依存を軽減し、自国民労働者の生産性を高めることで、国際競争力強化を目指す。

この目的のため2004年にマレーシア政府は、不法就労者規制策として、1)受入国と締結した二国間協定(不法就労者政策の一環)の実現に向けたアムネスティの実施、2)1997年移民法改正、3)使用者に対する外国人労働者課徴金の一部負担の義務付け――など様々な措置を講じている。

また、流入規制策として人的資源省は、1)国家職業訓練委員会(MLVK)が認定する訓練期間での事前研修の義務化2)雇用主による直接契約の義務化(仲介業者・エージェントによる外国人労働者供給制度の廃止)、4)外国人を優遇雇用する企業に対する罰則(外国人雇用禁止)の導入(ただし、採用募集広告を週2回以上掲載してもなお自国民労働者の応募がない場合は外国人の雇用を容認)、5)肉体労働に従事するビザを申請する外国人へのマレーシアに関する基礎知識の試験(語学、文化、法律)及びMLVKが実施する研修の義務付け――などを実施。これに足並みをそろえるかたちで内務省は、1)個人情報チップ内蔵のIDカードの導入による出入国管理の厳重化、2)指紋認証を使ったデータベースの開発、3)不法就労者を助長する雇用主への罰則強化、4)滞在期間の長短にかかわらず永住権の付与を熟練労働者のみに限定――などを実施に移す方向を示した。

これら規制強化策と平行して人的資源省は8月、外国人労働者に関する実態調査にも着手。調査担当の作業部会を設置し、合法・非合法の外国人労働者数及び雇用主の業種の把握を急いでいる。現在調査結果に基づくデータベースの構築を検討中だ。政府は、「全マレーシア人に仕事を」をスローガンに掲げ、自国民労働者の雇用優先を目的とするキャンペーンも実施しているほか、外国人労働者への依存を解消するため、生産設備の自動化や新技術の導入支援を目的とする企業に対する優遇制度の検討も進めている。

一方、急増する外国人への保護拡充策としては、内務省が、外国人労働者の使用者に対し、外国人労働者課徴金の一部を負担させる方針も表明。これは、使用者責任を強化することで、外国人保護の充実を目指すもの。外国人労働者1人あたりの年間課徴金は、産業別に幅があり、年間365リンギ~1200リンギ程度。現行の制度では、この全額が、外国人労働者の給与から天引きされている。内務省は、今後、課徴金の最大3割を使用者負担とし、同時に、使用者負担による損失補填を目的とした外国人労働者の給与カットを防止するための法改正も実施する。このほか政府は、使用者と外国人労働者の権利義務に関するガイドラインを策定したほか、外国人労働者の救済措置としてワン・ストップ・センターの設立も検討している。


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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:マレーシア」

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