基礎情報:マレーシア(1999年)

※このページは、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

  1. 一般項目
  2. 経済概況
  3. 対日経済関係
  4. 労働市場
  5. 賃金
国名
マレーシア(アジア)
英文国名
Malaysia
人口
2167万人(1998年推計)
面積
329.76千平方キロメートル
人口密度
65人/平方キロメートル(1997年)
首都名
クアラルンプール
言語
マレー語が国語。英語、中国語(北京語、福建語、広東語など)、タミール語も話されている
宗教
イスラム教(国教)。仏教、ヒンズー教、キリスト教も広く信仰されている
政体
立憲君主制。議院内閣制

実質経済成長率
+7.7%(1997年) +4.8%(1998年推定)
通貨単位
リンギ(Ringgit:RM) 1米ドル=RM3.80、1RM=27.6円(1999年10月)
GDP
262,100百万リンギ(68,900百万米ドル、1998年推定)
1人当たりGDP
4284米ドル(1997年) 3013米ドル(1998年)
消費者物価上昇率
+5.2%(1998年) +2.7%(1997年) +3.5%(1996年) +3.7%(1995年)
主要産業
製造業(電機、電子、機械、繊維、衣料、靴・履き物など)、プランテーション(ゴム、パーム・オイル、お茶、サトウキビなど)、鉱業(スズ、石油)

対日主要輸入品目
集積回路、鉄鋼、AV機器製品、産業用機械、乗用車、自動車部品など
対日輸入額
15384.6百万ドル(1996年)
対日主要輸出品目
木材、天然ガス、原油、コンピュータ、テレビ、植物性油脂など
対日輸出額
11797.8百万ドル(1996年)
日本の直接投資
7501百万米ドル(日本の海外投資全体に占める比率:1.3%)
日本の投資件数
2025件(1997年末)
在留邦人数
1万1182人(1997年10月)

出所:Economic Report 1998/1999, Ministry of Finance Information Malaysia 1998 Year Book, Berita Publishing Sdn.Bhd.Kuala Lumpur,1998、その他マレーシア政府資料

出所: [日本]大蔵省(財政金融月報、外国貿易概況)、外務省(海外在留法人数調査統計)

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1.労働市場の概況

マレーシア労働力は1998年に901万人に達し、失業率は4.8%であった。1998年には8万4000人の整理解雇があったが、うち80%の解雇者は別の仕事を見つけることができた。4.8%という失業率にもかかわらず、政府は、プランテーション、家事労働、輸出産業において多くの外国人労働者の受け入れを容認している。理由は明確である。マレーシア人労働者は、失業者でさえ、プランテーションや家事労働者として働くことを好まないからである。

マレーシアの労働市場は、プランテーションにおける未熟練労働者不足、製造業、サービス業における半熟練労働者、熟練労働者不足を特徴としている。短期的には、こうした労働者不足は合法、非合法の外国人労働者により補充できるが、政府は、長期戦略として、訓練された半熟練労働者、熟練労働者を育成するための教育訓練機関の設立に努めている。未熟練労働者不足対策として、政府は「労働節約方式」の導入を民間企業に奨励している。

たとえば、ガソリンスタンドは、すでに大都市においてセルフサービス・ポンプを導入した。このような方式は他の分野にもやがて広がるであろう。

労働力参加率をみると、女性に比べて男性の参加率が高い。これは、労働市場に参入した女性の多くが、家事や育児などのために職場から離れて行くからである。

労働市場を産業、業種別にみると、サービス業に雇用される労働者数が急速に増加する一方、農林水産業に占める労働者の割合は減少している。この傾向は、2020年までに工業化された先進国を目指すという政府の政策を反映している。

技能労働者不足を解消して、ジョブホッピングを防ぐため、政府は1990年代初めに技能開発基金を設置した。同基金は、すべての使用者に労務コストの1%の拠出を義務づけている。企業は、基金の承認を得て実施した研修活動経費について、基金に資金補助を求めることができる。

1998年11月、技能開発基金への拠出は、経済危機で企業の収益が悪化したため、使用者の負担を削減するため一時的に停止された。

2.労働市場関連情報

労働力人口
901万人(1998年推定)
労働力率
70.1%(1998年推定)
失業者数
861万人(1998年推定)
失業率
4.9%(1998年推定)

出所:Economic Report 1998/1999, Ministry of Finance

1.賃金制度の概要

マレーシアにおいては賃金水準は、一般的に労働市場の需給関係と労使の力関係によって決定されるといっていい。賃金形態は、時間給(1時間を基本単位とした賃金。支払形態は月給となる)、出来高払い、および両者の組み合わせの3つに一般的には分類できる。時間給は、公務員、ホワイトカラーに適用される。生産労働者は、出来高払いか、時間給と出来高払いの組み合わせが多い。これは生産性と企業への貢献度にリンクした賃金である。制度の如何に関わらず、賃金は毎月1回、25日から翌月の7日の間に支払われるのが一般的である。製造業では時間給が多いが、営業職、パッキング部署の労働者などは出来高払いである。

2.最低賃金

1947年賃金評議会法は、政府が産業別最低賃金の設定機関を設置すると定めていたが、1992年3月に改正された。現在の賃金評議会は、小売販売員、映画関係労働者、ペナン港湾労働者の最低賃金についてのみ設定している。

現行法は、最低賃金は労働者の年齢、産業ごとの支配的労働条件などを勘案して決めるとしている。

ただ、実際には各企業の賃金は、ペナン港湾労働者の最低賃金額と比較すると、大幅に上回っている。すなわち、現行の最低賃金制度は製造業をはじめとする民間企業やマレーシアに進出している多国籍企業には実質的には無関係といっていい。

3.賃金関連情報

表:平均月額賃金 (単位:マレーシア・リンギ)
製造業 952.00
電子 752.00
銀行 ジョホール州 1150.00
その他の州 1050.00
建設業 ジョホール州 912.00
その他の州 995.00
プランテーション ジョホール州 752.00
その他の州 550.00

出所:1999年に締結された産業の労働協約

賃金が出来高で支払われ、生産が天候に左右される産業(建設業、プランテーション)では、上記表の月額賃金は平均年額賃金をベースに算出している。表中の賃金額の多くは、時間外その他の手当を含んでいる。プランテーションの賃金は一般に低いが、労働者の住宅、電気、水などが無償で使用者から提供されている。だが、確かに現金給与額は低く、マレーシア人が嫌う業種となっている。

建設業は、プランテーションと比べ賃金は高いが、仕事が「肉体労働」であり、やはりマレーシア人が嫌う業種となっている。したがって、両業種には多くの外国人労働者(主としてインドネシア人)が、マレーシア人労働者と同額の賃金で就業している。

1998年の賃金引き上げ率は、推定ではあるが、全体として約10%で、製造業では7~8%程度であった。「アジアの経済危機」の影響はマレーシアでは1998年第2四半期以降に顕在化し、それ以降の賃金引き上げ率は低下していると考えられる。

基礎情報:マレーシア(1999年)


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