基礎情報:イタリア(2004年)

基礎データ

  • 国名:イタリア共和国(Republic of Italy)
  • 人口:5748万人(2003年)
  • 経済成長率:0.3%(2003年)
  • GDP:1兆5147億ドル(2003年)
  • 一人あたりGDP:2万6100ドル(2003年)
  • 失業率:2422万9000人(2003年)
  • 就業者数:8.8%(2003年)

資料出所:OECD in Figures2004、外務省「各国・地域情勢」

I.2004年の動向

1. 経済指標

イタリアの経済は2004年第3四半期、予想を若干上回る好調が続いた後、主としてすでに不調であった工業活動の落ち込みのために、停滞していたと考えられる。GDPは、第1四半期で0.5%、第2および第3四半期は0.4%増加した。10月から12月の状況は、予想では、0.2%にとどまると思われる。全体として、2004年の平均伸び率は、1.3%と推測され(2003年0.4%)、ユーロ圏より0.5ポイント低い。労働日の差(2003年より5日多い)を調整しても、1.4%とそれほど変化がない。

昨年末の景気停滞については、輸出量の減少が主に影響したとみられる。国外向け販売の減速とともに、国内需要、とくに投資部門が低調だった。

工業生産の不調が続いている。2001年の景気後退が終息した後も、イタリアの製造業は、真の回復を達成できなかった。2003年中盤までは、こうした停滞はイタリアだけに当てはまる状況ではなく、ドイツやフランスもまた同じような状況の下にあったのに対し、ここ1年半は、イタリアの製造業だけに回復の兆しが現れないでいる。2004年初頭と同年の秋には輸出が増加したが、この期間についてもイタリアの製造業は不調であった。

製造業と異なり、昨年のサービス部門は好調であり、第3四半期における停滞の後、民間サービス業について回復がみられた。ISAE(経済研究分析機関)の調査によると、2004年末から2005年初めにかけて、財政サービスおよび企業向けサービスの総売上高において、停滞状況への反動が起きたためである。これに対し、家族向けサービスは悪化した。

2004年については、好調だった第1四半期の影響を受けて、民間消費が1.3%増加したとみられている(第2および第3四半期は後退、第4四半期は若干の回復)。こうした動向には、耐久財消費が好調だったことと、消費者金融が拡大したことの影響が大きい。一方、サービスと非耐久財の購買は不調であった。

2. 労働市場動向

2004年には就業の伸びが続いていたが、ここ数年の高い伸び率に比べるとそのスピードが鈍っている。ただし、失業率はさらに低下して2004年平均で8.1%であり、ユーロ圏の平均水準を下回った。失業率低下は、とくに、南部において求職者数が低下したためと考えられる。

2005年に予想される経済回復のために、求人も依然としてプラスを保つと考えられる。就業の拡大は、生産の増加とともに2006年も続き、1%を若干下回る伸びになるとみられる。就業を対GDPでみると、2005年・2006年の2年間で0.4%から0.5%と推計されており、2001年から2003年の3年間の数値の平均を上回っている。同時に、労働の生産性も、2000年以前の1%の水準を回復する見込みである。

就業者でみると、2005年から2006年にかけては、約42万増となるであろう。失業率は漸減し、2006年に7.6%まで低下すると思われる。

3. 賃金・労働条件

2004年の従業員1人あたりの税引き前賃金は、イタリア経済全体で3.2%増加した。ISAEのデータによると、2005年の賃金増加率は2.7%、2006年は3%と推計されている。製造業では、2005年に3.3%、2006年に2.8%の増加が見込まれている(2004年3.5%)。生産性の向上のおかげで、1製品あたりの労働コストは比較的抑えられている。実際、2004年には2.4%と上昇したが、2005年は1.4%、2006年は1.8%である。狭義の工業部門における1製品あたりの労働コストは、2004年から2006年の3年間で1.3%前後に抑えられる予定である。

4. 労働協約と労使関係

経済的部分のみを規制する全国労働協約は、2004年12月末時点で労働者全体の73.8%をカバーしている(賃金額でみると71.0%)。

1時間あたりの協約賃金は、2000年を100とすると、2004年12月には111.0であった(前月比0.7%増、前年同月比3.3%増)。2004年1年を通した平均増加率は、2.9%である。

2004年12月の協約賃金が上昇したのは、多くの労働協約(オイル・マーガリン、冶金機械工、商業)で協約賃金が改定されたこと、また、農業部門のブルーカラー労働者についていくつかの州協定が成立し、それが施行されたことが大きい。

2004年12月に、1時間あたりの協約賃金が平均増加率を大きく上回ったのは、商業(6.2%増)、建築業(3.3%増)、郵便・電気通信業(5.0%増)であった。一方、伸び率が低かったのは、運送関連業(0.2%増)、金融業(0.8%増)および放送業(1.1%増)である。

2004年における1時間あたりの協約賃金の平均値は109.4であり、2003年に比べて2.9%の伸びである。この平均値を上回った業種は、保険(7.2%増)、郵便・電気通信(4.7%増)およびレストラン・ホテル業(7.2%増)であった。これに対し、伸びが平均値に比べて低かった業種は、運送(0.5%増)、農業(0.8%増)および金融(1.0%増)などである。

12月末には54の労働協約が有効であり、約900万の従業員の法的・経済的待遇を規制することになった。この数値は、初めに述べたように、賃金額でみると71.0%に相当する。現在効力をもつ全国規模の労働協約の割合は部門ごとに多様である。

労働協約のカバー率は、狭義の工業および民間サービスで高い(それぞれ99.2%と88.8%)。公共輸送機関関係労働者および海運労働者に関する新労働協約の受容が、運送・通信および運送関連業における協約適用率を67.8%まで押し上げている。逆に、金融・保険業および公務では、それぞれ12.9%と18.8%であり、カバー率が著しく低いことがわかる。

2004年の協約交渉は、更新された労働協約および関係した労働者のいずれの点からみても、インパクトの強いものである。まず、更新された労働協約は40に上り、これに関わる労働者は約10万人である(協約賃金額を基礎とすると48.8%に相当。表5参照)。受容された40の協約のうち、21が4年ごとの更新に関わるもので、15が2年ごとの更新の2年目分に関わるもの、4が2年ごとの更新の2年間全体に関わるものである。部門ごとにみると、1が農業、18が工業、13が販売業、そして8が公務である。

2004年12月末時点で有効な労働協約を基にすると、2005年の1時間あたりの協約賃金指数は、全体で2.2%上昇するとみられている。この増加分のうち、1.5%は2005年の引上げ分であるが、残りは2004年の動向の余波である。

2004年1月から10月の間で、労働損失時間数は、400万時間であった(2003年同時期に比べ、6.9%減)。このうち、45.7%(約180万時間に相当)は、労働契約の更新に関係するものであったのに対し、30.6%(120万時間)は、経済上ないし規則に関する要求のために生じた紛争に関連している。2004年10月の数値(65万6000時間)は、2003年同時期のデータに比べて約4倍も高い。10月に非労働時間数が多かったのは、運送・通信業(非労働時間全体のうち16.0%)、金融(同42.1%)そして公務(24.2%)であった。


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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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