基礎情報:中国(2003年)

基礎データ

  • 国名:中華人民共和国 (People’s Republic of China)
  • 人口:12億8,453万人 (中国国家統計局2002年末)
  • 実質経済成長率:9.1% (2003年)
  • GDP:約11兆6,694億元 (2003年)
  • 一人あたりGDP:9,030元 (2003年)
  • 労働力人口:7億6,075万人 (「中国就業状況と政策白書」2004年版)
  • 失業率:4.3%(都市部登録失業率、2003年)
  • 日本の直接投資額:14億8,200万ドル (2001年) *累計ベースで222億1,300万ドル(日本統計)
  • 日本の直接投資件数:187件 (2001年、日本統計)
  • 在留法人数:3万7,676人(2002年現在)(香港、マカオを除く)

資料出所:外務省新しいウィンドウ

2003年度の主な動き

2003年、中国は世界を震撼させた新型肺炎SARSの発信地として注目を集めた。中国経済はこの影響を受け、4-6月期に成長率は6.7%にまで落ち込んだものの、7月以降は急回復に転じ、結局、成長率は9.1%、GDPは11兆6694億元に達するという1997年以来最高の成長を記録した。また、1人当たりGDPは史上初めて1000ドルを超え、経済・貿易緊密化協定(CEPA)を通じて香港経済との結びつきを強めるなど、中国経済の力強い成長に、今のところ翳りは見えていない。

一方、労働市場に目を転じると、2003年中国の労働力人口は7億4,432万人に達し、力強い成長が需要を下支えしているものの、供給の伸びには追いつかず、雇用情勢は依然として厳しいと言える。

表1:就業者数推移

労働力人口推移

データ出所:「中国就業状況と政策白書」2004年

昨年度の都市部新規就職者は859万人で、特に厳しいと言われる「4050人員(国有企業リストラ労働者:40代の女性、50代の男性)」の内、120万人が再就職を果たした。2003年末の都市部登録失業者は800万人で、登録失業率は4.3%に抑えられ、いずれも当初の目標を上回ったものの、2004年の一時帰休者は1400万人で、新規増加の労働者1000万人と合わせて都市部就職供給者は2400万人前後に及ぶと見られる。就職・再就職への圧力は依然として大きいが、政府は新たに900万人に就労機会を提供するなどして、登録失業率を4.7%以内に抑えることを目標としている。

都市部登録失業率推移

データ出所:「中国就業状況と政策白書」2004年

SARSの影響は第2四半期の求人状況に顕著に顕れている。産業別の求人比率は、第1次産業が1.8%、第2次産業が32.3%、第3次産業が65.9%で、第3次産業を中心とした求人構造は固定化してきている。ただし、第3次産業はSARSの影響を最も強く受けたため、求人比率は前期比1.8%(前年同期比3.5%)下落した。反面、減少傾向にあった第2次産業は、前期比2.1%(前年同期比3.6%)上昇した。

業種別の求人比率を見てみると、求人の多い業種は、卸小売業・貿易業・飲食業、製造業、社会的サービス業に集中し、それぞれ求人の30.2%、26.9%、17.3%を占めた。求人数から見ると、第3次産業が前期比16万8000人(12.6%)の減少、第2次産業が2万3000人(3.8%)減少した。SARSの影響を強く受けた卸小売業・貿易業・飲食業と社会的サービス業の求人は、それぞれ前期比11万8000人(18%)、4万2000人(11.9%)減少した。交通・運輸・倉庫・通信業も前期比1万4600人(21.2%)減少した。地域別に見てみると、卸小売業・貿易業・飲食業の前期比の減少率の大きい地域は、包頭市(51.9%)、石家庄市(36.8%)、天津市(36.5%)、北京市(21.1%)、広州市(18%)であった。建築業の求人の減少率の大きい地域は、天津市(92.2%)、包頭市(51.8%)、石家庄市(48.8%)、北京市(26.9%)である。社会的サービス業の求人の減少率の大きい地域は、包頭市(65.5%)、天津市(64%)、石家庄市(41.5%)、太原市(32.6%)、北京市(15.9%)であった。交通・運輸・倉庫・通信業の求人の減少率の大きい地域は、石家庄市(59.6%)、太原市(48.5%)、包頭市(42.5%)、北京市(36.8%)、広州市(14.1%)、天津市(11.6%)であった。

雇用単位で見てみると、企業が92.3%と中心を占める。このうち、私営企業、自営業、株式制企業が、63.8%を占めた。企業の求人数は、前期比0.8%(前年同期比0.3%)減少した。株式制企業が、前期比2.5%(前年同期比0.2%)、私営企業・自営業が前期比0.4%(前年同期比3.8%)減少した。

求人の実数から見ると、企業の求人は、前期比20万700人(10.9%)減少した。このうち、株式制企業が9万8000人(18.7%)、私営企業・自営業が8万4000人(11.9%)減少した。SARSの影響を強く受けた地域のなかで、企業からの求人が前期と比較し激減した地域は、包頭市(54.9%)、石家庄市(40.5%)、天津市(21.1%)、北京市(18.1%)である。

各職種別に求人状況を見てみると、商業の販売員と生産・運輸過程における作業員の求人が多く、それぞれ全体の38.2%と33.7%を占めている。これに次いで、専門技術員が多く、11%を占めている。求職者が集中している分野も、商業の販売員と生産・運輸過程における作業員が多く、それぞれ33.8%と31.8%占めている。これらに次いで多いのは、事務員関係で12.8%、専門技術員が10.7%を占める。求人倍率から見ると、販売員が0.97倍、作業員が0.91倍、専門技術員が0.89倍になっている。

求職者の状況を見てみると、失業者が最も多く58.9%(リストラ・倒産による失業者が25.9%、新卒の失業者が20%)を占め、次いで農村余剰労働者などが24.4%、下崗労働者(国有企業からの一時帰休の労働者)が9.2%を占めている。求職者の状況別の比率の増減は、リストラ・倒産による失業者が前期比1%減少、新卒の失業者0.4%増加、下崗労働者0.1%増加、農村余剰労働者などが2.4%増加した。前年同期比では、失業者の比率が0.8%上昇、農村余剰労働者などが3.2%増加、下崗労働者が1.5%減少した。
(中国政府労働保障部「2003年第2四半期の労働と社会保障報告」より)

今年は、労働社会保障部が2001年5月に発表した労働と社会保障の第10次5カ年計画(2001~2005年)の4年目に当たる。5年間の主要な労働市場の課題は、以下のようなものであった。

  • 構造的失業がより顕著になり、雇用情勢は厳しい。第10次5カ年計画の間に、全国都市部の労働力供給は新たに5200万人増加する。都市部の新規労働力、経済の構造調整による失業者、レイオフ労働者、農村の余剰労働者などの増加により、都市部の雇用情勢は厳しくなる。特に、農村余剰労働力は、第10次5カ年計画の間にさらに増加すると予想され、この吸収は重要な課題である。

  • 労働と雇用の市場メカニズムが確立されておらず、人的資源はまだ有効に利用されていない。全国で統一的な労働市場が形成されているため、都市と農村間、地域間は分断されている。労働力の自由移動を促進するためには、社会保障制度をさらに改善する必要があり、戸籍制度のいっそうの改革も必要とされている。

  • 労働力の質は経済発展や科学技術の進歩に適応していない。労働者の全体的技能レベルは相対的に低い。全労働者のなかでは中卒以上の教育しか受けていない者が84%を占めており、高級技術労働者は技術労働者全体の3.5%にすぎず、産業調整や産業構造の向上に適応できない。

    また、2001~2005年までの5年間に主に予想されている労働市場の目標は、市場メカニズムによる雇用体制の確立、就労規模の拡大、就労構造の改善、労働者の質の向上に努めることである。市場メカニズムによる雇用体制を確立し、労働力の秩序のある流動化と合理的な配置を実現することを目指している。第10次5カ年計画の間に、全国都市部の新規労働者は4000万人、農業から転業する労働者は4000万人の見込みであるが、都市部の登録失業率は5%前後に抑える目標である。第10次5カ年計画の最終段階になると、第1次産業、第2次産業と第3次産業の就業者の目標比率は44:23:33となる。労働予備制度や職業資格制度を全面的に導入し、在職教育訓練を強化し、労働者の質の向上に努めることにより、国家が規定した職種の就業者はほとんど職業資格を取得し、高級(3級)以上の職業資格を取得する者は全資格取得者の20%以上になる。

  • 第10次5カ年計画が掲げた労働雇用の主な施策は、まず、比較優位にある労働集約産業やサービス業を発展させ、特に今後のレイオフ労働者や失業者の再就職先となる地域に密着したサービス業の発展に力を入れる。私営や集団所有制企業、さらに個人経営体などの発展を奨励し、非正規工、季節工などの就労形式を導入し、また、海外への労働力輸出を拡大する。

  • これまでの国有企業レイオフ労働者の基本生活保障制度を次第に失業保険制度へと統合し、公共職業斡旋機関をさらに改善したうえで、民間の職業斡旋機関の発展を促進する。職業斡旋機関は労働市場の情報ネットワークの役割を果たし、労働力需給の情報の交流を促進する。

  • 農村余剰労働力の就労問題を解決するために、農村労働力の就労ルートを探り、農村労働力の職業訓練を強化する。

  • 各級政府の財政予算において、レイオフ労働者の基本生活保障の資金規模を維持し、国有企業レイオフ労働者の基本生活保障および失業保険制度に移行した以降の失業保険基金の不足と再就職の促進に使用する。
    (中国労働社会保障部第10次5カ年〈2001~2005年〉計画より)

以上が第10次5カ年〈2001~2005年〉計画の概要であるが、これを見てみると、都市部の登録失業率は現在4%の後半で推移しており、政府によると2004年の失業率は4.7%に抑えることを目標としていることから、5ヵ年計画で挙げている5%以内に抑えるという目標はどうにか達成できるのかもしれない。しかしながら、これは現在の高度経済成長が継続されることが前提での話であり、成長が鈍化すれば雇用情勢がより逼迫したものになることは必至である。経済成長が1%増えれば70~80万人に就労機会を提供するという試算もあり、7~8%の成長率はどうしても必要だと見られている。その他特に都市部における若年層の失業者の増加も顕在化し始めており、雇用に関する政府の舵取りは、しばらく予断を許さない状況だといえよう。

資料出所:

  1. 中国国家統計局
  2. 「中国就業状況と政策白書」2004年
  3. 中国政府労働保障部「2003年第2四半期の労働と社会保障報告」
  4. 中国労働社会保障部第10次5カ年〈2001~2005年〉計画
  5. 外務省
  6. 労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:中国」

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