基礎情報:タイ(2000年)

※このページは、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

  1. 一般項目
  2. 経済概況
  3. 対日経済関係
  4. 労働市場
  5. 賃金
  6. 労働時間
  7. 労使関係
  8. 労働行政
  9. 労働法制
  10. 労働災害
  11. その他
国名
タイ王国(タイ、アジア)
英文国名
Kingdom of Thailand
人口
6248万人(2000年8月)
面積
51万3115平方キロメートル
人口密度
121.8人/平方キロメートル
首都名
バンコク
言語
タイ語、その他
宗教
仏教
政体
立憲君主制

実質経済成長率
+4.1%(1999年) △7.8%(1998年)
通貨単位
バーツ(Bh.)1ドル=37.81バーツ(1999年平均)
GDP
1250億米ドル(1999年)
1人当たりGDP
2045ドル(1999年)
消費者物価上昇率
+0.3%
主要産業
製造業(繊維、自動車、自動車部品)、農業(稲作)、水産業(養殖エビなど)

対日主要輸入品目
鉄鋼、IC、原動機、重電機器、プラスチック、有機化合物、金属製品など
対日輸入額
113.0億ドル(1999年) 93.1億ドル(1998年) 146.7億ドル(1997年)
対日主要輸出品目
事務用機器、肉類、音響映像機器、半導体電子部品、家具、えびなど
対日輸出額
88.4億ドル(1999年) 81.3億ドル(1998年) 96.2億ドル(1997年)
日本の直接投資
910億円(1999年) 1755億円(1998年) 2291億円(1997年)
日本の投資件数
172件(1999年) 72件(1998年) 154件(1997年)
在留邦人数
2万1400人(1999年10月)

出所:

  1. Report, Alpha Research Co. Ltd.
  2. Report of National Economic and Social Development Board 1998, 1999.
  3. 日本:大蔵省(財政金融月報、外国貿易概況)、外務省(海外在留邦人数調査統計)

このページのトップへ

1.労働市場の概況

タイの労働力人口は、1990年代3000~3300万人の間で推移している。13歳以上の就業者数の人口に占める割合は、7割程度である。

タイにおける女性の労働力率は、長年に渡り、アセアン地域の最高レベルであると考えられてきた。労働力人口に占める女子労働者は44.7%にのぼり、男子労働者は55.3%を占めている。

一方、雇用は季節に大いに左右され、雨季には乾季(農閑期)よりも9.9%高くなる。女性の雇用は、男性の雇用よりも季節による影響が大きい。これは、農繁期には多くの女性労働者が農作業の手伝いのため労働力として駆り出され、農閑期には労働市場から引き上げるからである。 タイの雇用労働者数の増加は、女性ではなく、

男性に限定されている。この主な理由は、女性の労働力率が農村地帯においてとくに低下傾向にあることによる。しかし、近年の経済危機による雇用削減は、女性よりも男性により大きな影響を及ぼしている。

2.雇用・失業情勢

失業率は、1995年1.7%、1996年1.5%、1997年2.2%と低水準で推移したが、98年は通貨危機の影響が顕在化し、国内景気の後退に伴う生産の低下、企業倒産の増加等により雇用・失業情勢が悪化し、1998年の失業率は4.0%、1999年は4.5%と上昇した。

1999年に失業者は138万人に達した。とくに農村地帯よりも都市部の賃金労働者に大きな影響を与えた。

3.労働市場関連情報

表:労働市場関連情報(単位:千人、%)
1995 1996 1997 1998 1999 2000(1) 2000(2) 2000(3)
就業者数 30,814 31,165 32,890 30,829 30,835 30,421 30,445 33,001
失業者数 549 498 729 1,311 1,383 1,418 1,363 813
失業率 1.7% 1.5% 2.2% 4.0% 4.2% 4.3% 4.1% 2.4%

出所:

  1. National Statistical Office Labour Force Survey.

注:

  1. 各年の数値は、2、5月および8月の調査結果の平均
  2. (1999年は2、5、8、11月の平均)。

このページのトップへ

1.最低賃金

国家最高議会 No.103 非熟練労働者に対する極端な低賃金を防ぐために、B. E. 2515(1972年)に最低賃金制度が導入された。B. E. 2515は、内務省の最低賃金制定に関する通達 B. E. 2515(1972年)の基盤となった。同通達を基礎に制定された労働保護法 B. E. 2541(1998年)は、最低賃金を審議する賃金委員会についてつぎのように定めている。

すなわち、賃金委員会は労働・社会福祉事務次官を議長とし、その他の政府代表4人、使用者代表5人、労働者代表5人の計10人で構成し、その役割は、(1)賃金政策についての所見を「内閣」に提示するとともに、(2)基準最低賃率の設定、などとしている。

現在、1998年1月より施行された労働社会福祉省の通達は、最低賃金を地域により、下記のように3区分している。

  1. バンコク都市部、バンコクおよびその周辺プーケット、パトンタニ、ノンタブリ、サムットプラカン、ナコムパトム、サムットサコン
  2. チョンブリ、サラブリ、ナコン・ラチャジマ、チェンマイ、ラノン、パンガー
  3. その他の地域

政府は2001年1月1日より最低賃金を全国一律で1日当たり3バーツ(1バーツ約2.8円/2001年1月)引上げることを決定した。これにより、(1)についてノンタブリ県・サムットプラカン県・ナコンパトム県・サムットサコン県・プーケットは162バーツから165バーツに、(2)については140バーツから143バーツに、その他は130バーツから133バーツへ引上げられた。

1998年10月13日、賃金委員会は、タイ経済が好転するまでの間、以後の最低賃金引上げを凍結すると決定したため、1998年1月1日に引上げられて以降、3年間最低賃金が据え置かれていた。

2.賃金関連情報

月額平均賃金:5,846バーツ(2000年8月における製造業労働者の平均月額賃金)

表:賃金上昇率と消費者物価上昇率
1994 1995 1996 1997 1998 1999
賃金上昇率 -7.5% 13.9% 9.8% 7.8% 3.8%
消費者物価上昇率 5.1% 5.8% 5.8% 5.6% 8.1% 0.3%

出所:

  1. 賃金上昇率については、タイ労働社会福祉省「Year Book of Labour Statistics」
  2. 消費者物価上昇率については、タイ銀行「Key Economic Indicators」

このページのトップへ

1.労働時間に関する法律

労働時間に関する規定は労働保護法 B. E. 2541(1998年)に定められている。同法の概要は以下のとおりである。

1日、週当たり労働時間

労働保護法は、1日の就業時間は8時間を超えてはならず、1週間の総労働時間は48時間を超えてはならない(ただし、政府規則に規定された労働者の健康と安全を脅かす可能性のある作業の場合は、1日の就業時間は7時間を超えてはならず、1週間の総労働時間は42時間を超えてはならない)、と定めている。

休憩

法律で定める休憩時間は以下のとおりである。

  1. 毎日の休憩:1日に最低1時間。2時間以上の時間外労働の前に20分(残業休憩)
  2. 週ごとの休息:最長6日間の勤務後に最低1日
  3. 年間の休暇:1年間の勤務後に最低6日

時間外労働

法律は以下のとおり定めている。

  1. 1日または1週間当たりの最大時間外労働時間数の規定はない。
  2. 従業員の同意を必要とする。
  3. 妊婦または18歳未満の従業員に時間外労働をさせてはならない。妊娠中の時期に関してはまだ規定がない。

2.有給休暇

有給休暇に関しては、労働保護法 B. E. 2541(1998年)によりつぎのように規定している。

  1. 1年間継続して勤務した従業員は1年当たり6日以上の年次有給休暇を取ることができる(第30条、56条)
  2. 勤務期間が1年未満の従業員の場合は、使用者は当該従業員の勤務日数に基づく案分比例計算により年次有給休暇を決定することができる(第30条)
  3. 従業員は疾病の状況に応じた医療休暇(有給)を取ることができる(第32条、57条)医療休暇の年間日数は30日以内(第57条)
  4. 避妊手術および類似処置のための有給休暇(第33条、第57条)
  5. 雇用契約で認められた自己都合のための休暇(第34条)
  6. 規定による教育および能力開発のための休暇
  7. 軍事訓練召集:有給休暇60日間
  8. 産休は90日間、うち45日間は有給

3.労働時間の実態

週当たり支払労働時間は、1992年に45.32時間と減少したが、1993年以降は増加し、1995年49.41時間、1996年49.44時間となった。また、1997年は減少し、49.05時間となった。

表:週当たり支払労働時間(時間)
1993 1994 1995 1996 1997
週当たり支払労働時間 48.18 48.13 49.41 49.44 49.05

出所:ILO, Yearbook of Labour Statistics 1999

注:

  1. 製造業労働者の週当たり支払労働時間。各年3月調査の数値。超過勤務時間を除く。

このページのトップへ

1.労使関係概況

タイにおける労使関係は、長い間、3者構成主義であった。しかしながら、職場では政府が介入しない2者構成の労使関係が奨励されている。

労使関係の基本的枠組みについては、労働関係法 B. E. 2518(1975年)で定めている。同法では労働者が「企業別組合」もしくは「産業別組合」を組織することを認めている。労働組合数は増加しているが、実質的に活動する組合は少ない。だが、労働組合運動の規模は小さく、脆弱である。

政府は使用者と労働者間が理解を深めることにより、労使間の平和を促進する努力を続けている。

労働組合数
1008(1999年1月)
労働組合員数
26万5000人(1999年1月)
組織率
6%(1997年推計)

出所:A Report on Social Welfare Administration and Labour Protection, 1998/1999, Ministry of Labour and Social Welfare

注:

  1. 組織率は Yearbook of Labour Statistics, 1998に基づき計算

2.労働組合および労使関係に関する法律

現在の労働関係法 B. E. 2518(1975年)は、内務省の労働関係 B. E. 2515(1972年)に関する通達を改正したものである。同通達は、国家最高議会の No. 103 B. E. 2515に基づいている。

タイの1975年労働関係法では、企業別組合と産業別組合のみの登録が認められている。企業別組合の組合員は、同一使用者に雇用される従業員でなければならない。産業別組合の組合員は、同一産業で働く労働者でなければならない。複数の組合への加盟は、法律で禁止されている。

同法では、民間企業従業員のための自主的仲裁を規定しており、企業レベルでの団体交渉を奨励している。団体交渉が決裂した場合は、労働関係委員会(LRC)による調停および仲裁を求めることができ、それでも解決しない場合は労働裁判所への上訴が認められている。

3.労働組合

1975年労使関係法では労働者が組合を組織することを認めている。

1999年現在、1008の組合に26万5000人の組合員が加盟しており、これは、同法規定の民間企業労働者数464万人の約6%に当たる。労働者が組合に加盟した場合、同法に定めるいくつかの権利は組合員個人でも行使できるが、大部分は労働組合の一員として同法に定める権利を行使することになる。

労働組合のナショナルセンターは1999年5月現在で以下の8組織がある。

  1. Labour Congress of Thailand(LCT)(タイ労働会議)139労組、12万3000人、ICFTU(国際自由労連)加盟
  2. Thai Trade Union Congress(TTUC)(タイ労組会議)190労組、6万5000人、ICFTU(国際自由労連)加盟
  3. National Congress of Thai Labour(NCTL)218労組、3万人
  4. Confederation of Thai Labour(CTL)62労組、3万人
  5. National Labour Congress(NCL)55労組、2万人
  6. The National Congress of Private Employees of Thailand(NPET)30労組、2万人
  7. National Free Labour Union Congress(NFLUC)54労組、1万人
  8. Thailand Council of Industrial Labour(TCIL)30労組、5000人

出所:ICFTU-APRO(国際自由労連アジア太平洋地域組織)資料

4.使用者団体

1975年労使関係法では、民間企業の使用者が団結する権利を認めている。

1999年現在、全国で、使用者協会(大半は業種別団体)が154団体、使用者連合(Federation)が3団体、使用者連盟(Confederation)が9団体ある。団結する権利のほか、使用者は、職場で争議が発生した場合に、ロックアウトの権利が認められている。

  1. タイ使用者連盟(ECOT) 1976年成立
  2. タイ産業貿易使用者連盟(ECONTHAI) 1994年成立

5.労働争議

労働争議件数は、1993年以降減少傾向にあったが、95年に増加した後、1996年は175件と再び減少した。98年は120件と減少傾向にある。

表:労働争議件数、労働争議参加者数
1994 1995 1996 1997 1998
労働争議件数(件) 165 236 175 187 120
参加労働者数(人) 41,353 56,573 51,881 56,603 36,331

出所:Ministry of Labour and Social Welfare, Yearbook of Labour Statistics

このページのトップへ

1.労働政策の概況

国家経済社会発展第8次計画 B. E. 2540-2544(1997~2001年)では労働政策に関して以下のとおり記載している。

  1. 人的資源開発の強化が可能な社会環境の整備、労働者保護制度の改善
  2. タイ全国民の潜在能力の開発、とくに困窮層、若年層について

同計画では下記手段による労働者保護制度の改善強化を計画している。

  1. 民間企業の労働福祉に関する条項に関係した法律の改正
  2. 職場における労働者保護および安全策の改善
  3. 農業と非農業の両方の分野における安全策とよりよい労働条件の導入
  4. 使用者と従業員、双方のための労使関係制度の促進
  5. タイ国民の社会公正制度および人権の行使において効率を高める

労働社会福祉省は、第8次国家計画の他にも「2000年への展望」の中で以下の各点を発表している。

  1. タイ人労働者は「東南アジア地域最高の熟練者」となるべきである。このためには人的資源開発、すなわち管理、技能の訓練が不可欠である。
  2. 全労働者に対して正規雇用による職と適切な所得の確保が望まれる。
  3. 労働者と困窮層のための社会福利条項についての目標を達成する。
  4. 全国民がよりよい生活水準に置かれるべきである。
  5. 労働社会福祉省は「人民の、人民のための省」を目指して努力をする。
  6. タイの、そして世界水準の優れた人的資源の創出を目指し、人的資源開発計画を定める。

2.労働関連行政機関

労働社会福祉省の組織は以下のとおりである。

  • 労働社会福祉省
    • 雇用部
    • 技能開発部
    • 労働者保護・福祉部
    • 社会保障室
    • 社会福祉部

このページのトップへ

雇用、労働関係はすべて、労使双方の利益、権利、責任を保護する法律の枠組みおよび労使関係制度の秩序ある実施を目的とした法律に明記されている。

労働者保護法では雇用条件、つまり労働時間、労働日数、休憩時間、長期・短期の休暇、時間外労働、安全および適切な労働環境、賃金の支払い、退職金の支払い、女子および若年者の雇用制限によついて定めている。

労働関係については法律では労働組合、使用者団体、団体交渉の手続き、和解および仲裁、ストライキ、不当労働行為などについて定めている。

タイの労働法は、その短い歴史の中で、以下のように発展してきた。

  1. 労働法 B. E. 2499(1956年)

    この法律は、労働者保護および労働関係の双方を網羅し、完全な独立した法律として制定された。その中で、労働者の組織化の権利、交渉権、ストライキ権を法的に承認した。しかし、同法は1958年のクーデターにより短命に終わった。

  2. 民法・商法(575項~586項)

    この法律は、現存し、雇用契約に関する条項が盛り込まれている。

  3. 国家最高議会 No. 103 B. E. 2515(1972年)

    この法律がもととなり、下記の法律が制定されている。

    1. 労働者保護に関する内務省通達 B. E. 2515(1972年)。これが後の労働保護法 B. E. 2541(1998年)である。同法は、1998年8月19日に発効した。
    2. 労働関係に関する内務省通達 B. E. 2515(1972年)。同通達が、現行の労働関係法 B. E. 2518(1975年)へと推移した。
    3. 労働災害補償基金に関する内務省の通達2515(1972年)。同通達は労働災害補償基金法 B. E. 2537(1994年)へと改正された。同法では、職場で発生した労働災害、事故および死亡に関係する労働者に対する補償金について定めている。

上記の労働保護法 B. E. 2541(1998年)は下記のとおり13章、166条からなっている。

労働保護法の施行

1998年1月7日、国会で労働保護法が可決され、成立した。同法は2月20日に公布され、8月19日より施行された。同法は、最低労働条件、労働安全衛生等、労働条件に関する基本法と位置づけられている。

従来、労働条件の最低基準や労働者保護、安全衛生等については、1972年の「革命団布告第103号」を根拠規定とし、具体的には「労働者保護に関する内務省令」等により定められていた。今般、労働保護法の成立により改定された主な規定は以下の通りである。

  1. 所定時間労働の短縮(原則として1日8時間、週48時間以内)
  2. 時間外労働に関する規定の修正(原則禁止から一定の緩和へ)
  3. 病気休暇等の休暇に関する規定の拡充
  4. 15歳未満の児童の雇用禁止(前規定では13歳未満)
  5. 長期勤続者に係る解雇手当の増額
  6. 労働者の男女差別の禁止(新設)
  7. 妊娠している女性労働者の保護(新設)
  8. 事業所内福祉委員会の設置(新設)
  9. 労働者援護基金の創立(新設)

なお、政府は、1998年8月11日、物価の上昇と経済危機の使用者への影響を考慮して、労働保護法施行規則を緩和する改正案を承認した。その主な内容は以下の通り。

週労働時間が48時間を超えないならば、時間外手当を支払うことなく1日8時間を超えて労働させることができる。

飲食店で働く労働者には休憩時間の原則が適用されないものとする(飲食店で働く労働者については、休憩時間が2時間以上であっても、その超えた時間は労働時間とみなされない)。

石油、化学産業において測量、採掘および精製等の職での女性の就労を許可する(原則は、女性が爆発物や可燃性物質の製造または輸送に関する職務に就くことを禁止している)。

管理職、財務および会計等の職に就いている女性について、妊婦の時間外労働等の禁止の適用除外とする。

  1. 社会保障法 B. E. 2533(1990年)

    この法律では、労働者の医療手当ならびに障害を負った労働者のためのその他の福利について定めている。この社会保障計画では、特定の葬儀費用、出産手当などを規定している。10人以上の従業員を雇用する企業は、いずれも社会保障基金に加入し、各従業員の月給の1.5%を拠出しなければならない。従業員ならびに政府も、同率を拠出しなければならない。1999年に、社会保障法の適用範囲が高齢者年金および障害者支給金にまで拡大された。また、従業員および使用者の負担率がともに3%~4.5%引き上げられた。失業給付金についてはまだ議論されていない。

  2. 積立基金法 B. E. 2530(1987年)

    この法律では、従業員および使用者の従業員積立基金への加入を任意としている。同基金は、従業員および使用者が、従業員の月額賃金の3%以上を平等に負担しなければならないと定めている年金制度である。この負担金に対しては所得税が控除される。年金所得についても課税されない。

この他にも次のような雇用および労使関係に関する法律がある。

  • 労働裁判法2522(1975年)
  • 見習労働者法2537(1994年)

このページのトップへ

1.労働災害の概況

1998年度労働者補償基金報告書によると、労働災害、疾病障害者18万6498人に対して補償金が支払われたが、その内訳は死亡790人、疾病19人、障害3714人であった。交通事故による労働者の死亡が最大件数(402件)を占めた。業務に起因する疾病と診断されたのはわずか35人のみである。

労働災害に遭った労働者数
21万1850人(1997年報告)、18万6498人(1998年)
労働災害による死亡
790件

出所:The Workmen Compensation Fund Report, 1998.

注:

  1. 労働災害労働損失日数に関する公式データはない。

2.労働災害補償制度の概要

労働者補償金制度は、労働者補償金法により定められている。労働者補償金は、労働社会福祉省により管理されている。業務に関係する補償は、使用者が負担する従業員補償金基金に規定されている。業務に関係のない補償については、社会保障基金が、業務関係以外の補償を扱う。同基金は、使用者、従業員ならびに政府が負担する。

このページのトップへ

1.社会保障制度の概要

タイでは各種の長期および特別社会福祉プログラムが計画されている。退職年金、児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉に関する条項がある程度施行された。

(1) 退職年金制度

民間企業従業員のための退職年金制度、公的部門労働者のための年金制度がある。民間企業向け制度は、積立基金に基づいており、希望者が対象となっている。各種の民間企業が、年金資金として自主独自の積立基金、信用組合を設置している。

公務員の年金制度では公務員は、公務員年金基金への参加、あるいは60歳から国の年金給付を受けるかのいずれかを選択できる。年金給付額は、労働者の勤務年数および退職時の賃金額に基づいて決定される。

(2) 医療補償制度

公共保健省は、低所得者を対象として公共健康保険制度を導入した。この他にも低所得者には、公共医療機関で無料またはわずかな費用で治療が受けられる制度がある。しかし民間の医療機関では、患者は医療費の全額を支払わなければならない。多くの民間企業は、従業員の医療費を一門負担している。

(3) 社会福祉制度

タイの社会福祉制度は以下を目的としている。

  1. 社会の困窮層にあたる国民の請求に対して支援、援助を提供する。
  2. 自立していない国民の自立促進を図り支援する。
  3. タイ国民の間に調和のとれた社会を形成する。

社会福祉制度は、児童、若年層、高齢者、身体障害者、女性、世帯、地域などへの福利支援のほか、ボランティア活動も含む。政府は、家族に見捨てられた高齢者や自立生活を希望する高齢者に住居を提供している。身体障害児のためには特別の教育機関がある。児童福祉保護計画は、労働社会福祉省社会福祉部により実施されている。

失業保険制度については、1990年に公布された社会保障法でその導入が定められているが、省令が制定されておらず、未だ制度の施行に至っていない。

2.職業紹介制度

タイにおいては、労働社会福祉省雇用部の内部組織としてバンコク市内に設置された9カ所の公共職業安定所および雇用部の地方機関として設置された76カ所の地方公共職業安定所が設置されており、国内および海外での雇用促進サービス、外国人労働者対策、民間職業紹介機関の監査等を行っている。

3.人的資源開発、教育訓練

職業教育および訓練は、普通教育制度(学校制度)の中に大部分組み込まれているが、一部は公立、私立の職業訓練機関で実施されている。現在、100以上の公立の技術および職業訓練機関がある。国の経済発展を支援するための国家経済社会発展政策に基づく制度として、政府は、タイ全体で熟練技能労働者を増やすための包括的プログラムを導入した。

労働社会福祉省技能訓練開発部は、労働者の技術水準を高めることを目的とし、各種の技能訓練コース、プログラムを提供している。また、技能訓練センターが、全国に設立されている。

4.職業教育制度

職業教育については、普通学校教育の終了後に進むべきオプションとして、以下の制度がある。

  • 初等職業訓練レベル(3年間)
  • 高等職業訓練レベル(2年間)
  • 第三次レベル(2年間)

参考資料:

  1. Yearbook of Labour Statistics, 1998, Ministry of Labour and Social Welfare
  2. A news letter of National Economic and Social Development Board, Indicators of Well-Being and Policy Analysis, Volume 2, Number 4, October 1998
  3. Labour Protection Act B. E. 2541(1998)
  4. A Report on Labour Welfare and Labour Protection Administration 1998/1999, Ministry of Labour and Social Welfare, 1999

バックナンバー

※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

関連情報

お問合せ先

内容について

調査部 海外情報担当

お問合せページ(事業全般に対するお問合せ)

※内容を著作物に引用(転載)する場合は,必ず出典の明記をお願いします。

例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:タイ」

Adobe Readerのダウンロード新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。Adobe Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合は「閲覧に必要なソフトウェアについて」をご覧ください。