仕事と子の教育について思うこと

主任研究員 池添 弘邦

筆者は共働きで子供が二人いる。これまでの十数年間、保育園、小学校、学童保育、中学校と、夫婦で幾つもの子供たちの学校行事やイベントにかかわってきた。その中で、つれづれに浮かぶ思いがある。

運動会や授業参観、文化祭は土曜日や日曜日に開催されるので、土日休みの夫婦にとってはありがたいことと感じている。しかし、子供たちが普段過ごす集団生活の様子をうかがい知れる貴重な機会である保護者会や個人面談といった行事は、平日の日中に行われる。そうしたお知らせが保育園や学校からあるたびに、「共働き世帯にとってはつらいな…」と夫婦ともども感じるのである。この場合、妻か筆者のいずれかが、何とか仕事の都合をつけて、そうした平日の行事に顔を出すようにしている。

例えば、保護者会に出席してみると、筆者を含めわずかに父親の姿が見られるものの、大多数は母親である。筆者の知る限り、夫婦共働きであるご家庭は少ない。平日日中のそうした行事に出席される多くのご家庭は、専業主婦世帯のようである。また、例えばPTAの父母の活動についても、平日日中に設定されることが非常に多い。やはり出席者は、ほとんどの場合専業主婦の母親たちのようである。どうやら、子供の教育にかかわる多くの事柄は、専業主婦をモデルに営まれているようである。

仮にこういう理解が正しいならば、共働き夫婦にとってはつらいものがある。共働き夫婦の場合、どちらかが半休などの休みを取ったりする必要があるが、子供がいるご夫婦は、だいたい働き盛り世代であろうから、比較的仕事の量が多く、また、責任も重いものであろう。仕事に穴をあけるわけにもいかず、休みは取りづらいのではないだろうか。

はっきりとは分からないが、女性の活躍推進がなされた結果、夫婦共働き世帯で妻が男性と同様に働いている、あるいは働く場合、学校の保護者会や個人面談が平日日中に行われ続ける限り、父母のどちらかが出席できる可能性は低くなっていくかもしれない。もしそうなったら、誰が子供たちの教育の場面とつながりをもてばよいのだろう。かといって、先生方にも生活のための時間は必要であるから、宅配サービスのように、夜間の時間帯を指定したり、土日などの休日にお願いすることもできない。

妙案はないが、少なくとも、子の教育の場面での専業主婦モデルが何とかならないものかという点が一つ、もう一つは、父母が仕事から離れて子の教育にかかわることができる時間を持てるようにすることが課題ではないかと思うのである。

とはいえ、このように思い続けてはや十数年、夫婦でやりくりする以外に、何にも変わらずに物事が動いていることからすると、大勢に影響のないささいなことなのかもしれない。実際に夫婦でやりくりし続けるのは結構つらいのだが…。

(2014年10月3日掲載)