集中回答日を前に総決起集会を開催/UAゼンセン

(2013年3月8日 調査・解析部)

[労使]

繊維、医薬、化学、食品、流通、印刷、レジャー、福祉など、内需型産業を中心に組織する民間最大産別のUAゼンセン(逢見直人会長、141万3,144人)は7日、都内で2013労働条件闘争・参議院議員選挙勝利中央総決起集会を開催した。セブン&アイ労連傘下のヨークマート労組がベアを獲得するなど、早くも4日に3単組が妥結承認を取り付けるなか、情勢報告した松浦昭彦書記長は、「政府もマスコミも賃上げが必要との論調で少なくとも追い風は吹いている。各業種でスクラムを組み、最後まで粘り強く交渉しよう」などと強調した。

単純平均総額6,936円、賃金引上分平均1,500円を要求

UAゼンセンは今春闘、4分の3を占める中小組合の賃上げをテコ入れするため、新たにミニマム水準を設定し、これを下回る場合は賃金体系維持分を含めた賃上げ原資として一人平均7,000円、ミニマム水準を上回っても到達水準に未達の場合は一人平均6,000円(賃金体系が確立していれば1,500円)――などを要求基準にしている注1

集中回答日を来週に控えた現時点で、UAゼンセンがまとめた集計によると、正社員の月例賃金の賃上げについては、参加1,857組合中370組合が要求を集約している。要求内容は、単純平均(総額が確認できた352組合の集計)で6,936円(2.52%)、加重平均(同)で6,111円(2.16%)。賃金体系維持分と賃金改善分を明確に確認できる143組合でみると、賃金引上分は単純平均で1,500円(0.58%)、加重平均で1,020円(0.38%)などとなっている。また、「日本経団連が定昇の実施すらと主張するなか、(先行して)体系維持原資の実施確認に取り組んだ結果、81組合で4,349円(1.49%)を確認している」(松浦書記長)。

12~14日の回答引き出しに取り組む、連合「中核共闘」の登録組合については、額で5,835円、率で1.94%の要求状況となっている。具体的には、製造産業部門で大阪染色労協川本産業労組が7,000円(2.93%)、片倉労組が6,500円(2.31%)、象印マホービン労組が6,680円(2.03%)、流通部門ではアルペン労組が1万1,168円(3.33%)、ニトリ労組が7,755円(2.50%)、ヤマダ電機労組が5,633円(2.46%)、総合サービス部門ではサンデーサン労組が7,000円(2.70%)、サイゼリヤユニオンが6,500円(2.38%)、イオンディライト労組が6,752円(2.33%)――などとなっている。

パートの賃上げも単純平均21.8円、加重16.9円を要求

一方、組合員の約半数を占める、パートなど短時間組合員の賃上げについては、要求している119組合の単純平均で21.8円(2.2%)、加重平均(組合員数計38万3,811人・平均時給881円)で16.9円(1.8%)を要求している。

こうしたなか、UAゼンセン傘下では、既にセブン&アイ労連傘下のイトーヨーカドー労組(30歳・大卒で現行34万3,500円)が、一人平均5,229円・1.5%(内訳は賃金体系維持原資が4,322円・1.24%で賃金引上分(手当改定)が907円・0.26%)で、契約社員(月給)については1,982円(0.89%)、パートタイマーでは12.78円(1.36%)を獲得した。

また、同労連傘下のヨークベニマル労組(同30万1,600円)は一人平均4,580円・1.58%(内訳は賃金体系維持原資が3,387円・1.17%で賃金引上分が1,193円(ベア351円+手当改定418円+体系是正等424円)・0.41%を獲得。さらに統一的運動の参加(旧JSD傘下)として、そごう・西武労組(同27万1,000円)が一人平均4,115円・1.17%(内訳は賃金体系維持原資が3,858円・1.1%で、賃金引上分(体系是正等)が257円・0.07%)を獲得した。

こうした成果に触れ、松浦書記長は「要求したからこそ回答が出た。UAゼンセンでは、円安がプラスに働かない産業もあり、現実的に消費そのものは改善していない中で、決して順風満帆と言える状況にはない。企業は厳しい姿勢で交渉に臨んでくるだろうが、定昇のみと言われる自動車でも部品メーカーや販売会社など半分強はきちんと嵩上げ要求を行っており、(賃上げ要求を行うのは)我々だけではない。少なくとも追い風は吹いている。最後まで粘り強く交渉しよう」などと強調した。

3年を超える有期の無期労働契約転換を獲得(ダスキン労組)

集会ではこのほか、製造部門注2のニプログループ労連、流通部門(注3)の西友労組、総合サービス部門注3のダスキン労組がそれぞれ、要求・交渉状況の報告と決意表明を行った。

労働契約法の改正を踏まえ、有期契約労働者の待遇改善に取り組んでいるダスキン労組は、「一昨日の団体交渉で、『同一の有期雇用契約が3年を超える場合は、契約更新の際、本人からの申込みのいかんに係わらず、無期契約に転換されるものとする』との会社回答を引き出した。これは労働契約法の欠陥を補うもの。130万の力を合わせて、法律以上のことを要求・獲得し、労働界に風を吹かせていこう」などと獲得成果を報告した。