総合サービス、製造部門も要求基準を決定/UAゼンセンの春闘方針

(2013年2月13日 調査・解析部)

[労使]

UAゼンセンの総合サービス部門(約39万2,000人)が1月31日、製造産業部門(約22万5,000人)が2月8日にそれぞれ2013労働条件闘争方針を決定し、流通部門を含めた全3」部門の闘争方針が出揃った。UAゼンセンとして統一的に設定したミニマム水準(高卒35歳で24万円等)にすでに到達しているものの、到達水準(同25万5,000円等)に達していない場合の要求基準について、総合サービス部門では、賃金体系維持分を確保したうえで一人平均で「7,000円を中心」とするとし、製造産業部門では賃金体系維持分を含め一人平均「6,000円を基準に要求する」とした。

UIゼンセン同盟とサービス流通連合が昨年、組織統合し、UAゼンセンとなってから今回が初めての春闘となる。産別としての正社員組合員の賃金の取り組みでは、絶対水準とそれを踏まえた格差是正を重視するため、ミニマム、到達、目標の3つの賃金水準を設定。ミニマム水準については、高卒35歳(勤続17年)の基本賃金で24万円、大卒30歳(勤続8年)でも24万円に設定し、同水準に対していない組合の統一要求基準を「賃金体系(カーブ)維持分を含め賃上げ原資として一人平均7,000円」とした。

ミニマム水準を超えている組合については、各部門で到達水準を設定し、その水準を達成するための要求基準を設定することにし、到達水準をも上回る組合のための目標水準についても、各部門で決定することにした。

総合サービスの到達水準は高卒35歳・大卒30歳で25万5,000円

総合サービス部門は、ゼンセンのなかで、フード、フードサービス、インフラサービス、生活サービス、ホテル・レジャー、医療・介護などの業種の組合が集う。6割を100人未満の企業が占めるなど中小が多い。

同部門では、到達水準について、高卒35歳(勤続17年)25万5,000円、高卒40歳(勤続22年)28万5,000円、大卒30歳(勤続8年)25万5,000円、大卒35歳(勤続13年)30万5,000円などと設定。自らの組織の組合員の平均年齢をまたぐ2つの年齢ポイントの水準をみて、水準到達しているかどうかを判断することにし、ミニマム水準を超えるものの到達水準に達しない組合は、賃金体系維持分を確保したうえで、格差是正をめざして「一人平均7,000円を中心」とした要求にするとした。

到達水準を達成している組合は、賃金体系維持分を確保するとともに、目標水準をめざす賃金改善要求を行うとし、要求基準は一人平均で「4,500円以上」。目標水準は、高卒35歳(勤続17年)で27万5,000円、大卒30歳(勤続8年)で27万円などとした。

写真:製造産業部第1回評議員会のようす

総合サービス部門には、短時間組合員が約22万4,000人いる。旧UIゼンセンが2012春闘の妥結結果を分析したところ、短時間組合員の時給水準や時給引き上げ金額では、賃金表の有無によって差が生じていた。同分析を踏まえて取り組むことを前提にし、賃金制度が導入されている組合では、制度を踏まえながら正社員との均等・均衡待遇をめざすとして、具体的な要求金額は地域最低賃金の改定状況を勘案して各加盟組合で設定することにした。制度が未整備な組合は、正社員と同様の職務内容の場合40円、異なる場合は20円を目安として時間給の引き上げを要求する。

製造部門では賃金制度の確立が課題に

一方、製造産業部門は、繊維素材、繊維加工、衣料・スポーツ、化学、医薬・化粧品などのメーカーで構成する。賃金制度が確立していない組合が4分の3を占めるなど、水準だけでなく、制度確立も部門にとっての大きな課題となっている。

製造部門では、ミニマム水準に達していない組合の要求基準は、賃金制度が確立している組合とそうでない組合向けに異なる表記とした。制度が確立していない組合は一人平均7,000円を基準に要求する。確立している組合は、賃金体系維持原資とは別に一人平均2500円または1%を基準に要求する。

到達水準は、高卒35歳(勤続17年)、大卒30歳(勤続8年)ともに25万5,000円。ミニマム水準は上回るものの、到達水準に達していない組合については、賃金体系維持分を含めて一人平均で6,000円を基準に要求するとし、制度確立組合では一人平均1,500円を基準に要求とするとした。

到達水準をすでに上回る組合は、染色部会を除き、賃金カーブ維持原資を確保したうえで、賃金カーブ是正や各種手当の改善などに取り組む。染色部会は、到達水準を上回っているか否かにかかわらず、賃金カーブ維持分を含めて7,000円を要求する。到達水準を達成していても賃金体系の確認ができていない組合は、今次交渉で確認方法のルール化を図る。間に合わない場合は、体系維持原資として5,000円または2%を基準に要求を組み立てる。

旧JSD加盟の組合も含まれる総合サービス部門では、統一賃闘に参加しない組合も出てくるが、製造産業部門では、すべての組合が統一賃闘に参加する。

(注)流通部門の闘争方針は、2月6日発行の本メールマガジンNo.887記事「ミニマム水準未達は1人平均7,000円等を要求基準に設定/UAゼンセン中央委」を参照のこと。