都市交との6月組織統合を決定/自治労臨時大会

(2013年2月6日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共サービス民間労働者等で組織する自治労(徳永秀昭委員長、約83.6万人)は1月31日から2日間、都内で臨時大会を開催し、本年6月1日をもって、地方自治体の交通事業(バス、地下鉄、路面電車)の労組で構成する都市交(約2.7万人)と組織統合することを正式に決定した。これに伴う規約・規程・規則等の一部改正方針案も、賛成767、反対9、無効2の圧倒的賛成多数で可決された。

徳永委員長「給与削減措置の強制は到底許されない」

あいさつした徳永委員長は、2013年度政府予算案に触れ、「私たちにとってとくに問題なのは、地方交付税を4千億円減額することで、地方自治体に対し、(国家公務員(▲7.8%)に準じた)給与削減措置の実施を強制している点だ。臨時特例法は震災復興を目的に、労使合意のうえで行われたもの。そのことを無視し、地方公務員も国公並みに削減すべきなどとしていることは、まったくの筋違いで到底許されない。地方自治の否定だ」などと強く非難した。

そのうえで、「そもそも6割近くの自治体が、財源不足等に対応するため、独自の給与カットや人員削減を行ってきている。地方公務員の安易な給与削減は、地域経済の冷え込みにもつながる。地方分権確立のための財源確保と権限委譲を求め、地方6団体とりわけ地方3団体、首長対策を進めていく」などと強調した。

また、昨年11月の衆議院解散に伴い、国公関連四法案および地公関連2法案が廃案となるなか、2008年に成立した国家公務員制度改革基本法が本年6月で実質的に効力を失うことにも触れ、「自民党に対しては、基本権制約の代償措置である人勧を無視し続けるなら、現在の公務員の労働基本権制約そのものを見直すことが当然であると指摘し、連合、公務労協とともに国会対策を強化していきたい」などと述べた。

重点課題に引き続き要求―交渉―妥結サイクルの確立を設定

大会では、都市交との組織統合注1と、これに伴う規約・規程・規則等の一部改正方針をはじめ、2013春闘方針や当面の闘争方針等を決定した。あいさつの中で徳永委員長は「組合員の生活・権利の向上や地方分権の推進等に向け、社会的影響力を回復させることが今ほど求められている時はない」などと強調している。

春闘方針の柱としては、 (1) 要求―交渉―妥結のサイクルの確立と妥結結果の書面協定(労働協約)化の推進 (2) 公務員の賃金・労働条件の確保 (3) 雇用と年金の接続に向けた制度の確立 (4) 臨時・非常勤等職員の雇用継続・処遇改善の取り組み――など8本を据えた。

このうち、要求―交渉―妥結のサイクルをめぐっては、人事院勧告以前に具体的な要求を決めても現実感が薄いとも指摘されるなか、2012春闘で要求書を提出した単組は2,572組合中52%に過ぎず、合意できたことの書面協定化については、交渉実施が35%、書面化が14%などと低迷している。方針では、「勧告制度は機能不全に陥っており、要求―交渉―合意と書面協定化で私たちの賃金・労働条件を決める時代に入っていると理解しなければならない」と指摘し、「労働組合の当たり前の役割」として、引き続き春闘の重点課題に設定した。

また、雇用と年金の接続をめぐっては、自治体の74.7%が再任用制度を条例化しているにも係わらず、実施は20.2%にとどまっている現状などを受け、「早急な条例整備とともに、実際の制度運用を強く求めていく必要がある」とし、2014年以降の再任用に関して、 (1) 希望者全員の再任用(常勤、短時間は意向に応じ選択)制度の確立 (2) 賃金は27万7,800円(国公行(一)4級再任用賃金)を到達基準に、全組織で取り組みを進めることなどを確認した。

さらに、昨年11月の退手法改正法・年金払い退職給付法注2の成立後、地方でも退職手当条例の見直し提案・協議が本格化している(2013年1~3月実施が12都県、4月以降実施が5県で確定)ことを受け、引き続き「充分な周知期間と経過措置等について、労使合意に基づく実施を求めていく」方針も確認した。

なお、当面の闘争方針の中では、昨年6月の自治労調査で70万人と推計された注3臨時・非常勤等職員(現在の自治労加入率は平均3.3%程度)について、引き続き組織化を進める方針なども決定した。

給与削減の地公への波及に危機感

討議では、給与削減の「地公波及」に対する危機感の表明と、取り組みの強化を求める発言が相次いだ。

「自治体を取り巻く環境は大きく変わった。自公政権下では大衆行動を通じた訴えが重要だ。地公の給与削減に対する全単組統一闘争を、全国一斉に進めねばならない。また、労働基本権の回復を求めながらも、現存する人事院に要求書を提出し、この春闘期から最大限の交渉をすべきだ」(茨城県本部)といった意見や、「地方交付税がなければ財政が運営できない国頼りの中にあって、賃金については人事院勧告が拠り所になっている。公務員制度改革を否定するわけではないが、組合員の生活を守るための人事院交渉もしっかりやってもらいたい」(大分県本部)などの意見があった。

また、「国公の賃金カットについて、2014年度以降も継続する意図があるとみられるなか、人勧を無視し続けるなら協約締結権の付与が必然とする闘いの組み方は、給与削減だけが取り残される同じ轍を踏むことになるのではないか。今後の戦術に関する方針を求めたいが、前提としてこの間の取り組みの総括も必要だ」(富山県本部)などする意見が聴かれた。

大会では、「政治闘争の重要性について確認し、取り組みを再スタートさせなければならない」「改めて労働基本権確立の取り組みを進めていかなければならない」などとする、闘争宣言を採択した。

(注1)「都市交との組織統合に向けた方針案を提起/自治労中央委員会」(2012年05月25日 調査・解析部)の中の「具体的な組織統合のあり方」を参照。

(注2) (1) 2013年1月1日から退職手当の支給水準を段階的に引き下げる (2) 共済年金の職域部分の廃止に伴い、退職給付の一部として年金払いの退職給付を設けるなどとする内容を盛り込んでいる。

(注3)「3人に1人が臨時・非常勤等職員と概算推計/自治労調査」(2012年10月31日 調査・解析部)