都市交との組織統合に向けた方針案を提起/自治労中央委員会

(2012年05月25日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共サービス民間労働者等で構成する、自治労(徳永秀昭委員長、約84.6万人)は5月24~25日、福島県で中央委員会を開き、当面の闘争方針や、地方自治体の交通事業(バス・地下鉄・路面電車)で働く労働者で組織する都市交(約2.7万人)との組織統合方針案(組織討議案)等を決定した。都市交との組織統合については今後、検討を重ねながら、今夏の定期大会での決定を目指す。

「地域公共サービス労働者の結集を」(徳永委員長)

あいさつした徳永委員長は、都市交との組織統合方針案を提起するに至った経緯に触れ、「2月24日に都市交より、産別統合に向けた協議の要請を受けた。改めて地域公共サービス労働者が結集し、運動の活性化と質の高い公共サービスの再生と強化を目指していかなければならない。それぞれの歴史がある産別が統合するには大変難しい課題もあるが、これまでの経過も踏まえ、懐の深い判断が必要であるとの認識で職場討議案を提起した。今後、両本部の議論をさらに積み上げながら、函館大会(8月30~31日)で組織統合の基本判断を行いたい」などと説明した。

公務・公共サービス関連の組織統合をめぐっては、自治労と都市交に、全水道も含めたいわゆる地公三単産として対等合併を目指し、2007年には完全統合までの過渡的組織として「地域公共連合」を結成。連合加盟を一本化したものの、その後の協議で合意に至らず決裂し、最終的には組織統合を断念した経緯がある(地公三単産による組織統合の協議決裂を報告/自治労中央委員会」2009年6月3日)。

こうしたなか今回、都市交からの要請を受けて急遽、7回の検討を重ねてまとめた組織統合方針案(組織討議案)では、その基本的な考え方について、「自治労は1992年より、地域公共サービス労働者の総結集を産別の中心課題として推進してきた。都市交との組織統合もこの基本スタンスに基づくもの」としつつ、「構造改革路線下で進められた市町村合併や三位一体改革、集中改革プランで、自治労、都市交とも組織人員が減少している。改めて公共サービスの再生と強化、そして組織の拡大・強化に取り組んでいく必要がある」などと説明している。

そのうえで、具体的な組織統合のあり方については、 (1)統合後の産別の名称は「全日本自治団体労働組合」(略称「自治労」)とする (2)綱領は(自治労の)「21世紀宣言」とする (3)都市交の各単組は当該の自治労県本部に一単組として加盟する――としたうえで、また、 (4)都市交運動を継承するため、職能横断組織として評議会を設置する (5)統合から4年が経過するまでの間、経過措置として自治労本部に「総合都市交通局(仮称)」を設置する (6)都市交単組から県本部に納入する組合費は当該県本部の定める額とする。その際、激変緩和措置として、統合後4年間を基本とし段階的な調整を行う――などとしている。

同方針案が、今夏の定期大会で決定された場合、来年1月の中央委員会を臨時大会に切り替えて開催。統合協定書の内容や自治労規約等改正の承認など、最終的な組織統合の決定を目指す。5月中下旬には、都市交産別が解散大会を開き、6月から自治労組合員として権利義務が発生する。来夏の自治労大会が、都市交組合員を迎えて初めての役員人事大会となる見通しだ。

地方公務員制度改革関連法案の早期国会提出に全力を挙げる

また、徳永委員長はあいさつの中で、国家公務員の給与を平均7.8%削減する臨時特例法が成立するなか、国家公務員制度改革関連四法案は、国会提出されながらも審議入りしていないことに触れ、「このような状況は極めて遺憾だ。与野党に対して、速やかに国会での審議を開始するよう、連合・公務労協とともに強く求めたい」などと指摘した。

一方、地方公務員については、総務省が5月11日に地方公務員制度改革の素案をまとめて民主党公務員制度改革PTに示し、その中では消防職員に対して、団結権にとどまらず、協約締結権を付与する旨が明記されている。徳永委員長はこれについて、「日本の労働運動史上きわめて画期的な事実であり、政府の決断を高く評価する。だが、肝心の法案が提出されておらず、法案の施行時期等で大きな問題がある。これからがまさに正念場。自律的労使関係そのものに拒否感を示している地方三団体にも引き続き働きかけながら、地方公務員制度改革に関連する法案の提出・成立に向け、連合・公務労協に結集して取り組みを強化したい」などと強調した。

中央委員会では、「公務員制度改革、職場の権利と勤務条件を確立する取り組み」など14本を柱とする、当面の闘争方針を決定した。