3人に1人が臨時・非常勤等職員と概算推計/自治労調査

(2012年10月31日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共民間労働者等を組織する、自治労(徳永秀昭委員長、約83万6,000人)は29日、記者会見を開き、「臨時・非常勤等職員の賃金労働条件等制度調査」の結果(中間まとめ)を公表した。自治体の職員全体に占める、いわゆる非正規職員の割合は33.1%と約3人に1人にのぼっており、これを全国の自治体に当てはめて推計すると、臨時・非常勤等職員数は概算で70万人を超えているとみられることなどを明らかにした。

非正規職員は70万人超に

調査は、自治体に直接任用される非正規職員の処遇改善や組織拡大等に活用するため、今年6月1日時点で実施したもの。自治労加盟単組のある1,349の自治体を対象に実施し、845自治体(62%)から得た有効回答を集計・分析した。

それによると、臨時・非常勤等職員の全職員に占める割合は33.1%。これを総務省「平成23年地方公共団体定員管理調査結果」の全自治体1,789の正規職員数152万9,167人(警察、消防、教員含めず)に当てはめて推計すると、全国における臨時・非常勤など、いわゆる非正規職員数は概算で75万6,500人を超える計算になるという。

こうした結果について、自治労組織拡大局では、「2008年6月に実施した同様の調査結果(ただし調査対象が今回と異なり、自治労に未加盟・未組織の自治体を対象に含む)と比較すると、当時の27.6%から5.5ポイント増えている。正規化闘争等の取り組みを行ってきて、未加盟・未組織よりは非正規職員比率が低いとみられる自治労加盟単組のある自治体でもこれだけの数になるのだから、コストダウンのための置き換えが一段と進んできている」などとみている。

学童指導員は約93%、消費生活相談員では約86%が非正規

臨時・非常勤等職員比率は、都道府県で16.6%に対し、政令市・特別区で31%、他の一般市で36.9%、町村で38%と自治体の規模が小さくなるほど割合が高い。「住民サービスに直接携わる業務量や、自治体の財政力の大小が影響している」(自治労組織拡大局)とみられる。

これを職種別にみると、臨時・非常勤等職員比率は、学童指導員で92.8%、消費生活相談員で86.3%、図書館職員で67.8%、学校給食関係職員では64.1%、学校用務員では52%――などで高くなっている。「住民に直接、サービスを提供する分野では、主な担い手が非正規職員になっている職種がみられる」(同局)。

また、地方自治法における法的任用根拠の内訳をみると、第22条(臨時職員)が41.5%、第3条3項3(特別職非常勤職員)が31.6%、第17条(一般職非常勤職員)が20.6%などとなっている。

3~4割の自治体で更新時に任用の空白期間

このほか、同調査では6割以上の臨時・非常勤等職員の週当たり勤務時間が正規職員の4分の3以上であることや、賃金分布(単純平均)について時給・日給型では3人に1人超(34.1%)が800円台、月給型では約3割(29.1%)が14万円以上16万円未満であることなどを明らかにしている。

また、昇給が「ない」自治体が8割以上にのぼり、手当は通勤で2~3割、一時金は6割、退職一時金は9割以上で支給がなく、各種休暇についても、民間の有期契約労働者や国の非常勤職員の適用される最低基準を下回る自治体もみられるという。さらに、3~4割の自治体で、更新時における任用の空白期間がある。

同調査では、臨時・非常勤等職員を組織化している自治体の方が、組織化していない自治体より、賃金・労働諸条件がプラスに振れているという分析結果も明らかにしている。だが、臨時・非常勤等職員の自治労加入率は平均3.3%にとどまっていることから、自治労では今回の結果を踏まえ、臨時・非常勤等職員の組織拡大と処遇改善、法改正運動を強化したいとしている。