メールマガジン労働情報 No.2077

■□――【メールマガジン労働情報/No.2077】

「人口減少問題の克服」など21議題で提言/全国知事会議 ほか

―2025年7月25日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「人口減少問題の克服」など21議題で提言/全国知事会議 ほか
【統計】5月の実質賃金、前年同月比2.6%減少/毎勤統計確報
【労使】回答額は定昇込みの加重平均2万819円(6.17%)に/JEC連合定期大会 ほか
【動向】「年功序列制」望む新入社員が5割超 ほか
【海外】最賃委、二段階引上げ勧告も15ユーロに届かず/ドイツ ほか
【イベント】「中小企業のための脱炭素経営セミナー」/東京都中小企業振興公社 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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★JILPTリサーチアイ 第88回 「JILPT定点観測調査「第8回 勤労生活に関する調査」結果より」
 リサーチフェロー 郡司 正人

労働政策研究・研修機構では、勤労者の意識の多様な側面について明らかにするため、1999年から定点観
測意識調査「勤労生活に関する調査」を実施している。
本稿では直近の2021年調査の結果から、いわゆる「日本型雇用慣行」とともに、職業キャリア形成や目指
すべき日本社会のあり方について、終身雇用、年功賃金、組織との一体感に関する意識、一社でのキャリ
ア形成と複数企業でのキャリア形成、平等社会と競争社会、といった切り口から、勤労者の意識を紹介する。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/088_250725.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』8月号を刊行しました!
特集「人事施策はいかに浸透するか」

健康経営の推進や副業解禁、ジョブ型雇用制度の導入など働き方の変革を促す新たな人事施策を導入する
企業が増えています。
本特集では、人事施策がいかに組織に浸透するのか、「コミュニケーション」の視点から検討を行いました。
チームにおけるコミュニケーションやメッセージの伝達に関わる知見の紹介や組織で施策を実践するために
関係者が果たすべき役割や課題について検討しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/08/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』8・9月号を公開しました!
「医療・介護業界で働く人たちの賃上げ」

今春闘も大手企業では高水準の賃上げ回答が相次ぎ、賃上げ率は2年連続で5%超を達成しました。一方、
医療従事者や介護労働者の処遇については、2024年度診療報酬改定・介護報酬改定によって、賃上げにつ
ながる措置が盛り込まれたものの、病院・介護施設の経営悪化から処遇改善が思うように進んでいない状
況もうかがえます。本号では、労働組合への賃上げの取り組みに関する取材、労組・業界団体などによる
最新の調査結果を通して、医療・介護従事者の処遇の現状と課題に目を向けます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/08_09/index.html

★労働政策フォーラム「健康格差社会とミドル・シニアのウェルビーイング」申込受付開始!

第1部 2025年8月30日(土)~9月5日(金) *オンデマンド配信
第2部 2025年9月5日(金)15時00分~17時30分 *ライブ配信(Zoomウェビナー)
<登壇者>
近藤克則 千葉大学予防医学センター特任教授/日本社会関係学会会長
藤原佳典 東京都健康長寿医療センター研究所副所長/東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター長
小島明子 株式会社日本総合研究所創発戦略センタースペシャリスト
高見具広 JILPT主任研究員
小野晶子 JILPT理事/統括研究員
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250905/index.html

★2025年度・第73回「東京労働大学講座専門講座」(9月開講・会場開催)受講者募集中!

労働諸理論についての対面講義(グループ討論を含む)とレポート作成を通して、理論・実務両面での課題対応力の強化を目指します。
多くの方々のご受講をお待ちしています。

<人事管理・労働経済コース>
 9月1日(月)~11月28日(金)(15講義日)
<労働法コース>
 9月3日(水)~11月26日(水)(15講義日)

会場    :TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(市ヶ谷駅)/東京都新宿区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
(主催)労働政策研究・研修機構・(共催)東京都
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●「人口減少問題の克服」など21議題で提言/全国知事会議

47都道府県の知事が地方の課題などを議論する全国知事会議が23日、24日の日程で青森市で開催された。「子ど
もの声を反映した政策の推進」「人口減少問題の克服」「外国人の受入と多文化共生社会実現」など21の提言案
等を示した。「子どもの声を反映した政策の推進」(議題1)では、「妊娠・出産・子育てとの両立を実現する
労働・雇用環境等の整備」として、共働き世帯やひとり親家庭の子どもたちが、授業時間の前後で安心安全に過
ごせるよう、親の時差出勤やフレックス制度といった多様で柔軟な働き方の仕組みづくりの促進などを、「人口
減少問題の克服」(議題3)では、「男性中心、長時間労働」を前提とした働き方から、多様な人材が活躍でき
る柔軟な働き方への転換、男女を問わず若者が結婚や妊娠・ 出産・子育てなど未来に希望を持てる機運醸成や
環境整備を図ること、「外国人の受入と多文化共生社会実現」(議題12)では、外国人の受入環境整備について、
国が主体となって制度設計や運用を行うとともに、国として責任をもって財源措置を行う――などを盛り込んだ。
https://www.nga.gr.jp/conference/r07/6_2.html

●2025年版「情報通信白書」を公表/総務省

総務省は8日、2025年版「情報通信白書」を公表した。特集テーマは「広がりゆく「社会基盤」としてのデジタ
ル」。社会基盤的な機能を発揮している「デジタル領域拡大(SNS、クラウド等)」やAIの爆発的進展の動向等
を概観、社会課題解決に向けたデジタルの役割と課題について展望した内容となっている。
日本は、AIの技術・産業・利用面において、世界のAI先進国に遅れを取っていると指摘。2024年度時点で、生成
型AIサービスを利用したことがある個人は26.7%にとどまり、米国の68.8%、ドイツの59.2%を大きく下回って
いる(概要6頁)などとしている。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000180.html
(概要)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001019264.pdf

●大浜資材不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

従業員2名に対し組合からの脱退を勧告したことや自宅待機を命じたことなどに係る組合からの団交申入れに会
社が応じなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委
員会は7月16日、議題は義務的団交事項に該当するもので、会社が独自の情報分析に基づき団交に応ずることが
経営上のリスクになると判断したことなどが団交を拒否する正当な理由にはならないとして、会社に対し団体交
渉応諾及び文書の手交を命じた初審命令を維持し、会社の再審査申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070717-1.pdf

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【統計】
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●5月の実質賃金、前年同月比2.6%減少/毎勤統計確報

厚生労働省は24日、5月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で30万1,592円(前年同月比1.4%増)、うち一般労働者が38万6,714円(同1.6%増)、
パートタイム労働者が11万2,036円(同3.1%増)。
一方、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で割った実質賃金は、前年同月比2.6%
減で5カ月連続のマイナス。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2505r/dl/pdf2505r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2505r/2505r.html

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【労使】
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●回答額は定昇込みの加重平均2万819円(6.17%)に/JEC連合定期大会

化学・エネルギー関連産業の組合でつくるJEC連合(堀谷俊志会長、12万5,000人)は7月17、18の両日、宮城県
仙台市で定期大会を開き、前回の方針に引き続き「すべての働く仲間の立場に立った能動的運動」を展開して
いくことなどを柱とする向こう2年間の新運動方針を決めた。堀谷会長はあいさつで25春闘について、「業績の
良い組合や先行労組が牽引し全体へ波及させる共闘の意義を感じることができた組合も多かった」などと述べ
たうえで、直近(7月8日時点)の集計結果が定昇込み加重平均2万819円(6.17%)で、対前年同時期比2,021
円(0.65%)プラスになっている状況を紹介。その一方で、格差是正については「労務費を含めた適正な価格
転嫁の取り組みを行ったが、歯止めをかけることはできなかった」などと述べて、引き続き課題となっている
ことを指摘した。格差是正に関しては、大会で確認した「2025春季生活闘争まとめ」でも、持続的な賃上げと
格差是正が実現できる環境づくりの必要性を強調している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250725.html

●中小企業の約7割、脱炭素の取り組みを実施/日商・東商

日本商工会議所と東京商工会議所は17日、「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」結果を発表した。
脱炭素に関する取り組みを実施している企業は約7割(68.9%)、個々の取り組みでとしては「省エネ型設備へ
の更新・新規導入」35.7%、「運用改善による省エネの推進」34.5%など、省エネに関する取り組みが多く、
「エネルギー使用量・温室効果ガス排出量の把握・測定」は約4社に1社(26.0%)だった。脱炭素に取り組
む上でのハードルは「費用・コスト面の負担が大きい」が約6割(64.5%)を占めた。
https://www.jcci.or.jp/news/research/2025/0717144855.html
▽集計結果
https://www.jcci.or.jp/file/sangyo2/202507/2025_1.pdf

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【動向】
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●「年功序列制」望む新入社員が5割超/産業能率大学総合研究所

産業能率大学総合研究所は15日、「2025年度(第36回)新入社員の会社生活調査」結果を発表した。「年功序列」
と「成果主義」のどちらを望むか尋ねたところ、「成果主義」43.6%に対し、「年功序列」は56.3%で「年功序
列」を望む回答が「成果主義」を初めて上回った。また、「終身雇用」を望む割合は69.4%、「同じ会社に長く
勤めたい」51.8%といずれも増加傾向にあり、“安定志向”の強さがうかがえるとしている。
「働く上で最も魅力的と思う環境」については、「仕事はそこそこ大変だが、成長を実感できる」58.8%が「仕
事はそこそこ楽で、成長の機会も少しはある」30.6%を約28ポイント上回った。“安定志向”でありつつもほど
よいチャレンジを通じ着実に成長できる環境を求めていることがうかがえる結果となった。
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/2025/07/15-01.html
▽詳細資料
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/files/2025_Company-life-survey_01.pdf

●社会人6年目までに6割超がプロジェクトリーダーを経験/民間調査

グロービスが提供する動画学習サービスは3日、プロジェクトリーダーを経験したことのある20~30代会社員を
対象に実施した調査結果を発表した。社会人6年目までに63.7%がプロジェクトリーダーを経験、初めてリーダー
を務めた際の難しさとして「タスク設計、スケジュール策定・管理」「プロジェクトメンバーへの役割分担・業
務の割り振り」「関係者との調整」が挙がり、その際に取った行動は「上司やプロジェクトメンバーに質問・相
談」「上司や関係者への報告・連携頻度を増やした」などだった。これらの結果から、初めてプロジェクトリー
ダーを務める際に役立った・身に着けておけばよかった重要スキル・知識は「リーダーシップ」「交渉・調整力」
「論理思考」「組織マネジメント力」としている。
https://globis.co.jp/news/elearning/11640-2025-07-03/

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【海外】
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<ドイツ>
▽最賃委、二段階引上げ勧告も15ユーロに届かず

労使代表と学識者で構成する最低賃金委員会は6月27日、最低賃金の時給を2026年と2027年の二段階で、それぞれ
13.90ユーロと14.60ユーロへ引き上げるよう連邦政府に勧告した。現地報道によると、発表直前まで労使代表間
の調整が続き、勧告を全会一致で決定したのは、記者会見の予定時刻まで残りわずか50分というタイミングだった。
なお、連立与党の一角を担う社会民主党(SPD)が目標としていた時給15ユーロには届かなかった。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/germany_05.html

●最低賃金、8月から例外なく引き上げ/マレーシア

経済ニュースサイトのエッジ・マレーシアによると、人的資源省は22日、国内すべての雇用主に対し、8月1日
から労働者に月1,700リンギ(約5万9,000円)の最低賃金を保証するよう義務付けると発表した。従わない場合
は罰金や禁錮刑を科すと警告した。
国内では2月1日に最低賃金が従来の月1,500リンギから引き上げられた。ただ、従業員5人未満の事業所では
実施まで6カ月間の猶予が与えられている。人的資源省は「猶予期間は7月で終了し、その後の例外は認めない。
外国人労働者と見習い契約労働者にも適用されるが、家事労働者は含まれない」と説明した。
最低賃金を引き上げない雇用主には、2011年国家賃金諮問委員会法に違反したとして従業員1人につき最高1万
リンギの罰金を科す。有罪判決後も是正しない場合は、1日ごとに1,000リンギの追徴金を払うよう求める。再犯
時には最高2万リンギか最高5年の禁錮刑を科す可能性があるとしている。時事通信(2025年7月22日)リンク先なし

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【イベント】
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●「中小企業のための脱炭素経営セミナー」/東京都中小企業振興公社

公益財団法人東京都中小企業振興公社は8月26日(火)、都内中小企業経営者、従業員を対象に「中小企業のた
めの脱炭素経営セミナー」をオンライン開催する。「経営に活かせる脱炭素の取組とは」をテーマにした専門家
による講演に続き、脱炭素に関する公社の事業紹介を予定。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/zeroemi/projects/seminar.html

●「事業承継問題の本質と課題」テーマにセミナー/公益財団法人あいち産業振興機構

公益財団法人あいち産業振興機構は10月6日(月)、愛知県中小企業診断士協会との連携セミナー「事業承継問題
の本質と課題」をあいち国際ビジネス支援センター(名古屋市)で開催する。見過ごされがちな「危うい経営」の
実態を専門家が解説、これからの時代に求められる経営変革の羅針盤を示す。
https://www.aibsc.jp/support/51568/