■□――【メールマガジン労働情報/No.2070】
1人当たりOFF-JT費用1.5万円、前回から横ばい/2024年度「能力開発基本調査」 ほか
―2025年7月2日発行――――――――――――――□■
┏━━━━━━━━┓
本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛
【行政】1人当たりOFF-JT費用1.5万円、前回から横ばい/2024年度「能力開発基本調査」 ほか
【統計】5月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査 ほか
【労使】中小企業の業況、小幅改善/日商・6月LOBO調査 ほか
【動向】OB・OG訪問したいのは「入社2、3年目の若手社員」/民間調査 ほか
【海外】2025年の年次団体交渉による賃上げ率を2.1~3.5%と推計/フランス銀行や民間調査機関による調査結果 ほか
【イベント】労働弁護士になろう!全国4カ所で開催/日本労働弁護団 ほか
━━━━━━━━━━━━━━
【JILPT研究成果情報】
━━━━━━━━━━━━━━
◇労働政策研究報告書No.236『新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の効果検証に関する研究』
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金(雇調金)の特例措置について、どのような企業に活用され、
企業、労働者、労働市場にどのような影響を及ぼしたのか、といった観点から、雇調金及び雇用保険の業務データ、
事業所アンケート調査結果を接続したデータセットを用いて効果検証しました。
その結果、雇調金のコロナ特例の支給規模はリーマン期に比べ大きく、幅広い産業で活用されるとともに期間も長期に
及んでおり、特に初期段階において雇用維持効果が確認される反面、利用が長期に及んだ場合には効果は失われる傾向
があることなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0236.html
◇国内労働情報 25-06『第8回勤労生活に関する調査(2021年)』
https://www.jil.go.jp/kokunai/reports/report010.html
━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━
★企画展示「機関誌『安全第一』と蒲生俊文」について/労働図書館
JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで資料の企画展示をしています。
誰もが一度は目にしたことがあるであろう安全のシンボルマーク「緑十字」。
ですが、考案者である蒲生俊文氏についてはあまり知られていません。
2025年度第1会期は「機関誌『安全第一』と蒲生俊文」と題し展示します。この機会にどうぞご覧ください。
期間:2025年6月30日(月)~12月26日(金)
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html
━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━
●1人当たりOFF-JT費用1.5万円、前回から横ばい/2024年度「能力開発基本調査」
厚生労働省は6月27日、2024年度「能力開発基本調査」の結果を公表した。OFF-JTや自己啓発支援のための教育訓
練費用を支出した企業は54.9%(前年度比0.3ポイント上昇)。労働者1人当たりOFF-JT支出費用の平均額は前回
から横ばいの1.5万円だった。正社員にキャリアコンサルティングを行う仕組を導入している事業所は49.4%(同
7.8ポイント上昇)。OFF-JTを受講した労働者は37.0%(同2.7ポイント上昇)で、「正社員」44.6%が「正社員
以外」18.4%より高く、性別では「男性」43.9%が「女性」28.8%よりも高い。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00202.html
▽調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/001507469.pdf
●障害者職業能力開発校の在り方に関する報告書/厚労省検討会
厚生労働省は6月30日、「障害者職業能力開発校の在り方に関する検討会」の報告書を公表した。職業訓練の中心
が、かつての身体障害者から知的障害者、精神障害者、発達障害者へと移ってきているが、一般校の職業能力開発
校等では精神・発達障害者の増加等に十分な対応ができていない状況があるとし、障害特性に応じて効果を挙げて
いる好事例の情報提供、受講機会の拡大に向けたオンライン職業訓練の普及、指導員の配置基準の見直しや専門性
向上等について提起している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59166.html
▽報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001509203.pdf
▽報告書概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001509202.pdf
●2024年度の相談事案数、11年ぶり減少/人事院「苦情相談の状況」
人事院は6月26日、一般職国家公務員を対象に実施した2024年度「苦情相談の状況」を公表した。人事管理全般の
相談事案数は、11年ぶりに減少の1,185事案となり前年度より170事案(12.5%)減少した。相談内容をみると、
「パワー・ハラスメント、いじめ・嫌がらせ」が同75事案(16.9%)減少。次いで「勤務時間・休暇・服務等関係」
が同43事案(14.6%)減少、「任用関係」が同25事案(13.6%)減少した。相談事案数は、人事院が受け付けた苦
情相談の内容別の数、同一人から複数回同一内容の相談を受け付けた場合でも1事案として計上したもの。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2506/page_00260.html
▽図表
https://www.jinji.go.jp/content/000010948.pdf
●2024年度労働相談及びあっせんの概要を公表/東京都
東京都は6月24日、2024年度に都内労働相談情報センターで実施した労働相談及びあっせんの概要を公表した。
労働相談件数は、前年度比1,798件(4.2%)増加の4万4,440件で、労働者からの相談が約80%を占める。労使
別が判明している相談において労働組合のない企業の労使からの相談比率は93.6%だった。
労働相談のうち「あっせん」に移行したものは、268件(前年度比+4.3%)、紛争当事者間の合意ができたのは
174件(解決率64.9%)、あっせんの解決内容の最多は「金銭」38.5%だった。
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/data/koyou/soudan/r6
▽労働相談及びあっせんの概要(PDF)
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/sangyo-rodo/r6-gaiyou
●「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025」を策定/国交省
国土交通省は6月27日、持続的かつ安定的な港湾運送サービスを提供できるよう、今後取り組むべき施策を取りま
とめた「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025~未来の港湾物流の維持・発展のために~」を策定した。港
湾運送の魅力の発信や取引環境の改善、安全性向上・労働環境の改善などの取り組みを通じ、労働者不足の解消、
港湾物流の維持・発展を目指す。
https://www.mlit.go.jp/report/press/port02_hh_000210.html
━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━
●5月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査
総務省は6月27日、2025年5月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.5%で、
前月と同率。完全失業者数は183万人(前年同月比10万人減)で、4カ月連続の減少。就業者数は6,838万人(同72
万人増)で34カ月連続の増加。雇用者数は6,174万人(同78万人増)で、39カ月連続の増加。正規従業員数は
3,723万人(同48万人増)で19カ月連続の増加。非正規従業員数は2,101万人(同31万人増)で5カ月連続増加。
▽5月結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽5月概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
●5月有効求人倍率1.24倍、前月比0.02ポイント低下/一般職業紹介状況
厚生労働省は6月27日、2025年5月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.24倍で、
前月と比べ0.02ポイント低下。新規求人倍率(同)は2.14倍で、前月比0.10ポイント低下。
新規求人(原数値)は、前年同月比で5.2%減。産業別にみると、増加は運輸業・郵便業(0.1%増)、減少は
宿泊業・飲食サービス業(19.3%減)、卸売業・小売業(11.1%減)、教育・学習支援業(8.6%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59035.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001507875.pdf
●海外現地法人の1~3月期売上高2.3%減、5期連続のマイナス/経産省調査
経済産業省は6月25日、2025年1~3月の「海外現地法人四半期調査」の結果を公表した。売上高(全地域合計)
は、前年同期比2.3%減で5期連続のマイナス。特に輸送機械(3.4%減)が減少した。地域別では、欧州(7.1%減)
や北米(2.4%減)などで減少(概要p.4~5)。従業員数(全地域)は401.5万人。中国やASEAN10の輸送機械などの
減少により、同2.5%減少で10期連続のマイナス(同p.8)。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/genntihou/result-1.html
▽概要(ダウンロード)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040286906
━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━
●中小企業の業況、小幅改善/日商・6月LOBO調査
日本商工会議所は6月30日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」6月調査結果を発表した。6月の業況DIは、
設備投資需要が堅調なほか、高い水準の賃上げが続いていることで消費マインドが持ち直しつつあり、中小企業
の業況は小幅改善(前月比1.2ポイント上昇)。先行きは、政府の電気・ガス代支援によるコスト負担緩和への
期待で若干の上向き基調が見込まれるとしている。
付帯調査「2024年度の採用実績の動向」によると、採用実績(全業種)について「募集し、採用できた」は
52.9%(前回調査比1.1ポイント減)、「募集したが全く採用できなかった」9.0%(同0.2ポイント増)、
「募集しなかった」38.0%(同0.8ポイント増)。業種別では、建設業の「募集したが全く採用できなかった」
が17.8%と、他業種と比べて極めて高い水準となった。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0630120000.html
▽調査結果
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/LOBO202506-1.pdf
●「2025年度 連合の重点政策」について厚労省に要請/連合
連合は6月26日、厚生労働大臣に「2025年度 連合の重点政策」について要請を行った。労働基準法について、働く
人のための労働基準関係法制の実現に向けた見直しや集団的労使関係の強化 、時間外労働の上限規制の遵守に向けた
監督と指導の徹底、被用者保険の適用拡大の早期実現、将来的な第3号被保険者制度の廃止に向けた会議体の設置等
を要請した。意見交換では、第3号被保険者について、実態の分析や議論の場の設置に早期に取り組むべきことなど
を改めて指摘した。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2252
━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━
●OB・OG訪問したいのは「入社2、3年目の若手社員」/民間調査
マイナビは6月25日、2026年卒業予定の大学生、大学院生を対象に実施したキャリア意向調査(5月)結果を発表した。
就職活動の一環としてOB・OG訪問をした学生は26.8%、訪問の結果「次の選考に進みたい」と感じた学生は8割以上。
文理男女別にみると、理系男子(33.6%)が最多、訪問人数の全体平均は5.0人だった。訪問したい社員は「入社2、
3年目」40.7%、「入社4、5年目」30.5%と、少し未来の自分の姿が想像できる相手を希望していることがわかった。
https://www.mynavi.jp/news/2025/06/post_49372.html
●仕事上の悩み「給料があがらない」が最多、給与・評価面に不満/ミドルシニアに民間調査
転職サービスのdodaは6月24日、45~60歳の「ミドルシニア」の転職意識調査レポートを発表した。「現在の仕事での
悩み」1位は「給料があがらない」37.7%、「給料が安すぎる」29.7%、「評価・人事制度が不透明/不公平」23.4%
が続く。「転職を考えた理由」で、20代と比較し回答差が大きかったのは「尊敬できる上司がいない」「給料があがら
ない」「評価・人事制度が不透明/不公平」などで、給与・評価面に不満を抱いている傾向が伺える。
https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2025/20250624_1882/
●講演会資料「介護現場におけるDX最前線」「出産後の女性の収入減少」/財務総合政策研究所
財務総合政策研究所は、有識者らによる講演会資料をホームぺージで公開している。直近掲載分「介護現場におけるDX
の最前線~現状の事例紹介と今後~」では、介護テクノロジーを活用した生産性向上に向けた取り組みを紹介している。
また、「人事データを用いた子育てペナルティの分解:昇進慣行がいかに男女間賃金格差を拡大するか」では、女性が
第1子出産後に経験する収入減少「子育てペナルティ」について国内大手製造業の給与明細データ等を分析した結果を
掲載している。
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/lmeeting.htm#lm126
━━━━━━━━━━━━━━
【海外】
━━━━━━━━━━━━━━
●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽2025年の年次団体交渉による賃上げ率を2.1~3.5%と推計/フランス銀行や民間調査機関による調査結果
インフレ率の鈍化は、賃上げを決定する義務的年次団体交渉(NAO:des negociations annuelles obligatoires)
の争点に変化をもたらしたようだ。ほとんどの産業や企業においてNAOは例年12月から3月にかけて行われる。
その動向について、フランス銀行や民間調査会社等が行った調査によると平均2.1~3.5%の賃上げを予測してお
り、いずれの結果も2025年の賃上げは2024年の上げ幅を下回る。2022年以降、物価高騰の中、労働組合は団体
交渉で購買力の維持のための賃上げを最優先の要求項目として掲げてきたが、2025年の団体交渉では、業績の分配
問題が顕在化して、労使の緊張が高まっている企業が少なくない。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/06/france_03.html
●フォーカス/JILPT
<雇用システムの国際比較調査―ドイツ、フランス、スウェーデン>
1980年代以降に進展したグローバル化やIT革命の影響を受けて、ドイツ、フランス、スウェーデンの雇用システ
ムがどのように変化したのかを明らかにするため、現地事情に精通した有識者が調査を実施しました。
▽ドイツ企業の人的資源管理の新展開:グローバル・スタンダードと「成果主義」を超えて
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/07/germany.html
▽フランスにおける企業内移動の構造と実態/管理職層を中心に
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/07/france.html
▽スウェーデン労働市場とインダストリー4.0/カギを握る教育投資
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/07/sweden.html
━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━
●労働弁護士になろう!全国4カ所で開催/日本労働弁護団
日本労働弁護団は8月1日(金)、修習生やロースクール生、法学部生など法曹を目指す人向けに『「労働弁護士に
なろう!」2025なつ』を大阪市北区で開催する。労働弁護士を代表する弁護士による講演のほか、会員事務所の就職
説明会も行う。会場参加のほか、東京・名古屋・福岡にもサテライト会場を設ける。参加費無料。
https://roudou-bengodan.com/topics/14591/
●「企業価値向上に向けた海外資本活用ガイドブック」テーマにセミナー/RIETI
経済産業研究所(RIETI)は7月16日(水)、「企業価値向上に向けた海外資本活用ガイドブック」をテーマしたセ
ミナーをオンライン開催する。ガイドブックの紹介のほか、海外資本活用のメリットや留意点・リスク、海外資本
活用に向けて取るべき行動などについて、専門家が実例も交えて説明する。
https://www.rieti.go.jp/jp/events/25071601/info.html