■□――【メールマガジン労働情報/No.2069】
精神障害による労災認定1,055件/厚労省「2024年度・過労死等の労災補償状況」 ほか
―2025年6月27日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】精神障害による労災認定1,055件/厚労省「2024年度・過労死等の労災補償状況」 ほか
【統計】労働災害の状況、度数率は低下、強度率は横ばい/2024年「労働災害動向調査」 ほか
【動向】「賃金請求権の消滅時効等の経過措置撤廃」求める声明を発表/日弁連 ほか
【企業】繊維事業、セーレンに一部譲渡 従業員も移籍へ/ユニチカ
【海外】最低賃金制度改善研究会、最低賃金委員会の規模縮小、専門委員会の機能強化を提案/韓国
【イベント】シンポジウム「いきいき・つながり職場づくり」~第3の健康「社会的健康」へのアプローチを考える~/日本生産性本部 ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇国内労働情報 25-06『第8回勤労生活に関する調査(2021年)』
勤労者生活の実態を把握するため、終身雇用・年功賃金に代表される日本型雇用慣行や将来のキャリアなど
職業生活に関する意識とともに、社会全般にわたる意識の多様な側面についてアンケート調査を実施しました。
今回は、スペシャル・トピックとして、新型コロナウイルス感染症流行の勤労者意識への影響や、兼業・副業、
フリーランスなど新しい働き方に対する意識を取り上げました。
https://www.jil.go.jp/kokunai/reports/report010.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★企画展示「機関誌『安全第一』と蒲生俊文」について/労働図書館
JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで資料の企画展示をしています。
誰もが一度は目にしたことがあるであろう安全のシンボルマーク「緑十字」。
ですが、考案者である蒲生俊文氏についてはあまり知られていません。
2025年度第1会期は「機関誌『安全第一』と蒲生俊文」と題し展示します。この機会にどうぞご覧ください。
期間:2025年6月30日(月)~12月26日(金)
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html
◇『日本労働研究雑誌』7月号を刊行しました!特集「福利厚生の意義を問い直す」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/07/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』7月号を公開しました!「賃上げは定着したか――2025春闘の最新状況」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/07/index.html
◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2025年夏号を公開しました!
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html
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【行政】
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●精神障害による労災認定1,055件/厚労省「2024年度・過労死等の労災補償状況」
厚生労働省は25日、2024年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。業務上の心理的負荷による精神障害での
支給決定件数は、1,055件(前年度比172件増)。発病の原因となった「出来事」では、2020年改正認定基準で
追加された「パワーハラスメント」が224件で最多、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事」
119件、「顧客や取引先、施設利用者等からの著しい迷惑行為」108件など。
時間外労働時間別では1カ月平均「100時間以上~120時間未満」74件が最多、次いで「40時間以上~60時間未満」
70件など。業務上の過重な負荷による脳血管・心臓疾患での労災認定件数は、241件(前年度比25件増)、時間外
労働時間別では、1か月「100時間以上~120時間未満」18件が最多。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html
▽精神障害に関する補償状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001276199.pdf
▽脳血管・心臓疾患に関する補償状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf
●労使関係「安定的」とする事業所86.2%、労使コミュニケーション「良い」とする労働者55.8%/厚労省
厚生労働省は24日、2024年度「労使コミュニケーション調査」の結果を公表した。事業所調査では、労使関係が
「安定的」としている事業所は86.2%(前回2019年調査 81.9%)に対して、労働者調査では労使コミュニケーション
が「良い」としている労働者は55.8%(同60.5%)だった。労使コミュニケーションとして重視する内容は、事業所
調査では、「日常業務改善」76.1%、「作業環境改善」71.7%、「職場の人間関係」68.6%、労働者調査では、
「職場の人間関係」66.0%、「日常業務改善」59.0%、「作業環境改善」52.5%の順となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/18-r06gaiyou.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/18-r06gaiyou07.pdf
●個別労働関係紛争に関する相談件数、5年連続120万件超/厚労省
厚生労働省は25日、2024年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表した。労働基準監督署等に設けた
総合労働相談コーナーで受けた相談件数は、120万1,881件、5年連続で120万件を超え、高止まりしている。
そのうち、労働基準法違反の疑いのあるものは20万7,619件(前年度比7.6%増)、個別労働関係紛争に関する
相談は26万7,755件(同0.6%増)。後者の相談内容では、「いじめ嫌がらせ」が5万4,987件で13年連続最多。
労働局長による助言・指導の申し出は8,865件(前年度比5.9%増)、紛争調整委員会によるあっせん申請は
3,866件(同4.9%増)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00201.html
●障害者の就職件数、2年連続で過去最高を更新/厚労省
厚生労働省は25日、2024年度「障害者の職業紹介状況等」を公表した。ハローワークを通じた障害者の新規求職
申込件数は26万8,107件(前年度比7.5%増)、就職件数は11万5,609件(同4.4%増)となり、過去最高だった
23年度実績を上回った。前年度に引き続き新規求職申込件数が増加するとともに、法定雇用率の引き上げ等の影
響で障害者雇用に取り組む企業が増えたこと等により求人数が増加したことが影響しているとしている。
ハローワークに届出のあった障害者の解雇者数は9,312人で、過去最高だった2001度実績(4,017人)を上回った。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58653.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001509108.pdf
●障害者差別および合理的配慮提供に関する相談等実績、前年度より増加/厚労省
厚生労働省は25日、都道府県労働局や公共職業安定所における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的
配慮の提供義務に係る相談等実績」を公表した。2024年度の障害者差別および合理的配慮の提供に関する相談は
438件(前年度比78.8%・193件増)で、うち障害者差別に関する相談は98件(同216.1%増)、合理的配慮の提
供に関する相談は340件(同58.8%増)。一方、労働局長による紛争解決の援助申立受理件数は2件、障害者雇
用調停会議による調停申請受理件数は11件。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58773.html
▽報道発表資料(過去5カ年度の推移ほか)
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001272620.pdf
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【統計】
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●労働災害の状況、度数率は低下、強度率は横ばい/2024年「労働災害動向調査」
厚生労働省は23日、2024年「労働災害動向調査」結果を公表した。労働災害の発生状況(事業所規模100人以上)
を調査産業計でみると、度数率(災害発生の頻度)は2.10(前年2.14)、強度率(災害の重さの程度)は0.09
(同0.09)、死傷者1人平均労働損失日数は43.5日(同40.0日)となっている。無災害事業所の割合は53.1%
(同52.4%)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/24/
▽結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/24/dl/2024kekka.pdf
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/24/dl/2024houdou.pdf
●正社員等、パートタイムとも引き続き「不足超過」/労働経済動向調査
厚生労働省は24日、「労働経済動向調査(2025年5月)」結果を公表した。5月1日現在の労働者の過不足判断DI
(不足-過剰)は、正社員等がプラス44ポイント、パートタイム労働者が同28ポイントで、引き続き「不足」超過。
産業別にみると、正社員等は「学術研究,専門・技術サービス業」、「建設業」、「情報通信業」など、パート
タイム労働者は「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「生活関連サービス業,
娯楽業」で人手不足感が高くなっている(概況p.5)。特別調査項目「2026年新規学卒者の採用内定状況」(概況
12頁~)によると、2026年の採用予定者数を25年に比べ「増加」とする事業所が「減少」とする事業所を上回った。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2505/
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2505/dl/6siryo.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2505/dl/4kekkagaiyo.pdf
●4月基調判断「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況
内閣府は25日、4月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は前月
差0.2ポイント上昇の116.0(速報値115.5)で、2カ月ぶりの上昇。基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、
下げ止まりを示している」で、前月から据え置いた。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202504rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
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【動向】
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●「賃金請求権の消滅時効等の経過措置撤廃」求める声明を発表/日弁連
日本弁護士連合会は12日、賃金請求権の消滅時効等に関する経過措置の速やかな撤廃を求める会長声明を発表した。
2020年労働基準法改正時に制定された経過措置(労基法附則第143条)により、「労働関係に関する重要な書類の
保存期間(109条)」「付加金の除斥期間(114条)」「賃金請求権(退職手当の請求権を除く)の消滅時効(115条)」
がいずれも5年ではなく「当分の間」3年間とされたことについて、労政審労働条件分科会に提出された調査結果で
労働者名簿・賃金台帳の保存期間を5年超としている事業者が67.5%に上ること等から、「企業の記録保存に係る
負担」軽減という経過措置の根拠は失われているとし、経過措置の速やかな撤廃を求めるとしている。
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2025/250612.html
●「高度外国人材活躍推進コーディネーターによる伴走型支援」申込受付中/ジェトロ
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本で高度外国人材の採用・育成定着に取り組む企業を対象に、伴走型支援を
行っている。(無料・審査あり)。専任コーディネーターが、高度外国人材の採用計画の作成から受け入れ、育成
定着までを一貫して支援するほか、セミナーや企業交流会、専門家によるコンサルテーション、合同企業説明会等
への参加が可能。支援予定社数は360社、定員に達し次第締め切り予定。
https://www.jetro.go.jp/services/bansogata.html
▽チラシ
https://www.jetro.go.jp/ext_images/services/escort/banso2025_v5.pdf
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【企業】
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●繊維事業、セーレンに一部譲渡 従業員も移籍へ/ユニチカ
ユニチカは20日、撤退を決めた祖業の繊維事業の一部について、セーレンに譲渡すると発表した。対象は岡崎事
業所(愛知県岡崎市)で生産するポリエステル、衣料繊維、不織布などで、売却額は未定としている。同日の取
締役会で基本合意書の締結を決議し、12月末ごろの手続き完了を目指している。
同事業所の従業員約400人は、全員セーレンに移る方向で調整している。ユニチカは垂井事業所(岐阜県垂井町)
などで手掛ける事業についても8月までに譲渡先を選定したい考えだ。大阪市内で記者会見したユニチカの藤井
実社長は、セーレンが過去に旧カネボウの繊維事業を再建した実績を評価した上で、「非常に良いご縁だと感じ
ている」と述べた。ユニチカは昨年11月、業績低迷を受けて繊維事業からの撤退を決定。官民ファンドの地域
経済活性化支援機構(REVIC)の支援の下で経営再建を進めている。
(時事通信)2025年6月20日 ※リンク先はありません。
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<韓国>
▽最低賃金制度改善研究会、最低賃金委員会の規模縮小、専門委員会の機能強化を提案
最低賃金制度改善研究会は5月、最低賃金委員会の委員構成を改編するための提案書を発表した。最低賃金の
決定プロセスは1988年に最低賃金制度が導入されて以来、一度も変更されておらず、今回の改編案が実現すれば
初の見直しとなる。以下に概要を紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/06/korea_02.html
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【法令】
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●労働関係法令一覧(2025年5月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202505.html
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【イベント】
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●シンポジウム「いきいき・つながり職場づくり」~第3の健康「社会的健康」へのアプローチを考える~/日本生産性本部
「健康いきいき職場づくりフォーラム」(事務局:日本生産性本部)は7月24日(木)、ハイブリッド形式(会場/
オンライン配信(ライブ))で、シンポジウム「いきいき・つながり職場づくり」~第3の健康「社会的健康」へ
のアプローチを考える~を開催する。孤立・孤独の防止やウェルビーイングの実現にも関係する、職場のつなが
り~社会的健康~について、理論・事例の両面からの話題提供と討議を予定。参加費 無料。会場定員30名。要予約。
https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/007332.html
●中国進出企業向けセミナー「激震が走る中での中国戦略とリスク回避 事業強化、縮小、調整などの選択肢」/日商・東商
日本・東京商工会議所は7月16日(水)、中国進出企業の日本本社向けセミナー「激震が走る中での中国戦略と
リスク回避 事業強化、縮小、調整などの選択肢」を東京・丸の内で開催する。中国現地法人が直面している
課題を整理し、他社事例から実務的対応を学ぶ。ローカル民営企業との「競争」から「協業」という新たな視点
でのリスク管理など、戦略的・実務的な観点を交えながら、専門家が解説する。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0620132341.html