■□――【メールマガジン労働情報/No.1987】
賃金のデジタル払いを認める指定業者を公表/厚労省 ほか
―2024年8月21日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】賃金のデジタル払いを認める指定業者を公表/厚労省 ほか
【統計】2024年4~6月期のGDP実質成長率、年率3.1%/1次速報値 ほか
【動向】景気DI前月比0.5ポイント増で、4カ月ぶりに改善/民間調査
【企業】「ハローベビー休暇」導入、産休・産後パパ育休を有給休暇に/兼松エレクトロニクス
【海外】労働者の12%が残業―7割超が労働時間口座を利用/ドイツ ほか
【イベント】セミナー「~働き続けるあなたへ~ 女性のヘルスリテラシーを高め、いきいきと働くために」/東京都
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【行政】
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●賃金のデジタル払いを認める指定業者を公表/厚労省
厚生労働省は9日、賃金のデジタル払いを認める最初の資金移動業者を指定した。受入上限額は20万円。
賃金の通貨払い原則(労基法24条)の例外として、2022年の労働基準法施行規則の改正により、労働者が
同意した場合、銀行口座と証券総合口座への支払いのほか、破綻時の弁済、適時の換金等の要件を満たすと
厚生労働大臣が認めた指定資金移動業者に振り込む賃金のデジタル払いが追加されていた。
▽指定資金移動業者
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html#h2_free5
▽賃金のデジタル払いを導入するための手続き
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001282164.pdf
▽労働者向けリーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001282165.pdf
●101人以上企業での男女賃金差異の公表の義務化を提起/厚労省検討会報告書
厚生労働省は8日、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書」を公表した。
報告書は、男女間賃金差異の公表が任意とされている常時雇用労働者数101人以上300人以下の企業でも
公表を義務化すること(p.13)、女性管理職比率について開示必須項目とすること(p.14)、2026年3月末を
期限とする女性活躍推進法について10年間延長すること(p.11)を提起した。また、女性特有の健康課題
への取組みを女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むこと、カスタマーハラスメントについて事業主の
措置義務とすること、就活等セクシュアルハラスメントについても雇用管理上の措置とすること等を求めている。
▽報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001285696.pdf
▽報告書概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001285698.pdf
●「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」結果を発表/厚労省
厚生労働省は7月31日に同省委託事業「男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)」で
実施した「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」結果(速報値)を公表した。
育休制度の認知度は「知っている」が92.4%、「取得意向」が87.7%と、ともに9割前後。育休取得期間
については、男性の約3割が「半年以上」を希望。就職活動で企業の育休取得実績を重視するのは、69.7%。
調査は18~25歳の学生若年層の男女を対象に6月にWebで実施。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/jigyou_ryouritsu/topics/tp100618-1_00004.html
▽調査結果(速報値)
https://www.mhlw.go.jp/content/001282074.pdf
●「生活満足度」が調査開始以来で最高水準/内閣府調査
内閣府は9日、「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」を公表した。「家計と資産」「雇用環境と賃金」
など13分野別の満足度を回答者の属性等により分析、主観・客観の両面からWell-beingを多角的に把握したもの。
生活満足度(総合的な満足度)は調査開始以来で最高水準となり、1年間での上昇幅も最大。男女別では、
特に男性の上昇幅が大きく、雇用形態別では、コロナ禍の影響を大きく受けた「非正規雇用」が引き続き上昇し、
正規雇用との水準差が縮小した(概要p.3)。約1万人へのインターネット調査で今回で6回目。
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/index.html
▽概要
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/pdf/summary24.pdf
●「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」、9月19日にオンライン開催/厚労省
厚生労働省は、企業の努力義務である「勤務間インターバル制度の導入」促進のためのシンポジウムを
9月19日(木)にオンラインで開催する(Zoomウェビナー利用/YouTube同時配信)。
「勤務間インターバル制度」とは、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を確保する
仕組み。従業員の健康管理やワーク・ライフ・バランスの実現のほか、採用・定着・生産性向上の観点
からも関心が高まっている。シンポジウム終了後、無料コンサルティングの紹介も行う。参加無料。
https://www.jmar-llg.jp/interval_r06/
●西井商店堺臨海生コン外1社不当労働行為再審査事件で初審命令を取消/中労委
中央労働委員会は7月25日、西井商店堺臨海生コン及び臨海運輸(会社ら)が、労働者供給事業を行う組合
からの日々雇用労働者の供給依頼を停止したこと等が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の
再審査事件において、会社らの対応は今後を見据えた経営判断としてやむを得ない合理的な理由があり
不当労働行為には当たらないとして、初審命令を取り消し組合の救済申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r060726-1.pdf
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【統計】
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●2024年4~6月期のGDP実質成長率、年率3.1%/1次速報値
内閣府は15日、2024年4~6月期の四半期別GDP(国内総生産)1次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質が0.8%で2期ぶりのプラス、年率換算で3.1%。
需要項目別では、民間最終消費支出が実質1.0%(前期はマイナス0.6%)、うち家計最終消費支出
(除く持ち家の帰属家賃)は実質1.2%(同マイナス0.7%)で、どちらも5期ぶりのプラス。
雇用者報酬の伸び率は実質0.8%、名目1.4%。
2023年度のGDPも公表され、実質成長率は0.8%だった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe242/gdemenuja.html
●正規職員・従業員、前年同期比18万人増/労働力調査・詳細集計4~6月期平均
総務省は9日、「労働力調査(詳細集計)」結果を公表した。2024年4~6月期平均の役員を除く雇用者は
5,753万人。うち、正規の職員・従業員は前年同期比18万人増の3,661万人で、5期連続の増加。非正規の
職員・従業員は、同1万人増の2,091万人で、10期連続の増加。非正規として働く理由は、「自分の都合のよい
時間に働きたいから」が711万人(同7万人増)、「家計の補助・学費等を得たいから」が369万人(同4万人減)。
「正規の職員・従業員の仕事がないから」は188万人(同8万人減)。失業者は211万人(同2万人増)。
失業期間別にみると、「3カ月未満」は104万人(2万人増)、「1年以上」は50万人(5万人減)。
就業者6,771万人のうち、追加就労希望就業者は195万人(同14万人増)。非労働力人口3,997万人のうち、
潜在労働力人口は37万人(同3万人減)。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/2.html#latest
▽結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf
●7月の企業物価指数、前年比3.0%上昇/日銀
日本銀行は13日、企業物価指数(2024年7月速報)を公表した。国内企業物価指数は123.1で、前年比3.0%、
前月比0.3%の上昇。製品別の前年同月比での上昇は、「非鉄金属」(18.5%)、「スクラップ類」(8.3%)、
「電力・都市ガス・水道」(6.7%)など。低下は「木材・木製品」(マイナス0.1%)。
輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は前年比1.6%、前月比0.4%のいずれも上昇。
円ベースでは順に同10.8%、同0.5%のいずれも上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2407.pdf
●6月の生産指数、前月比4.2%低下/鉱工業指数確報
経済産業省は15日、6月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は前月比4.2%低下の100.0で2カ月ぶりの低下。業種別でみると
「自動車工業」「生産用機械工業」「化学工業(無機・有機化学工業を除く)」等すべての業種で低下。
出荷は前月比4.7%、在庫は同0.7%のいずれも低下。在庫率は同1.7%の上昇。速報に比べ、
生産、出荷、在庫、在庫率のいずれも下方修正。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202406kj.pdf
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【動向】
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●景気DI前月比0.5ポイント増で、4カ月ぶりに改善/民間調査
帝国データバンクは5日、TDB景気動向調査(2024年7月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.5ポイント増の43.8となり、4カ月ぶりに改善。猛暑の効果やインバウンド消費などにより
プラス方向に転じた。今後は、横ばいで推移するとみている。業界別では、10業界中7業界(サービス、建設
など)で改善、季節需要が押し上げ要因となった。地域別では、10地域中7地域が改善、東北、四国、九州の
3地域が悪化。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」が3カ月ぶりにそろって改善した。
https://www.tdb-di.com/2024/08/summary202407.pdf
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【企業】
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●「ハローベビー休暇」導入、産休・産後パパ育休を有給休暇に/兼松エレクトロニクス
兼松エレクトロニクスは1日、新たな出産・育児休暇制度「ハローベビー休暇」を導入すると発表した。
これまで無給だった産前6週間・産後8週間の休業を「特別有給休暇」とし、「産後パパ育休」(最大4週間)も
「特別有給休暇」とする。同社は、「育児に伴う家庭への経済的負担の軽減や男性従業員の積極的な育児参加を
促し、従業員のエンゲージメントの向上およびWLBを推進していく」としている。
https://www.kel.co.jp/pr/2024/0801-00.html
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<ドイツ>
▽労働者の12%が残業―7割超が労働時間口座を利用
連邦統計局が8月1日に発表した資料によると、2023年は約12%の労働者が残業をしていた。残業時間の扱い
については、「労働時間口座に貯蓄」が71%と大半を占めており、次いで「無償」が20%、「有償」が17%
となっていた。「労働時間口座」は、労働者が残業をした場合に、その残業時間を銀行口座のように貯めて
おき、後日休暇などで相殺する制度である。労働協約や事業所協定等により、様々な運用がされている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/germany_01.html
▽高齢者の就業率、10年で上昇
連邦統計局がこのほど発表した資料によると、2012年から2022年にかけて高齢者の就業率が上昇している。
この要因について連邦統計局は、年金支給開始年齢の引上げや教育水準の向上、雇用形態等が関係している
のではないかと見ている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/germany_02.html
<フランス>
▽建設・公共事業向け特別補償制度の対象を拡大―補償対象の悪天候に「猛暑」を追加
近年、熱波に見舞われる年が増えたため、強風や豪雨、積雪など悪天候のために工事等を停止せざるを得ない
場合の特別補償制度が拡充され、猛暑(Canicule)も適用対象となった。労働者保護を目的として、休工期間中
の賃金の75%の賃金が国等から補償される。ただ、休工の決定は事業主に委ねられる部分が大きく、工期の
日程が厳しい場合には適用されない懸念を拭えない。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/france_01.html
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【イベント】
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●セミナー「~働き続けるあなたへ~ 女性のヘルスリテラシーを高め、いきいきと働くために」/東京都
東京都労働相談情報センター亀戸事務所は男女雇用平等セミナー「~働き続けるあなたへ~
女性のヘルスリテラシーを高め、いきいきと働くために」を下記の日程で開催する(会場:江東区)。
ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を入手、理解し、活用する能力のこと。セミナーでは、
女性がヘルスリテラシーを高め、働き続けるための心がけや取り組むためのヒントなどを紹介する。
9月11日(水)「ヘルスリテラシーの向上のために必要な基礎知識」
9月18日(水)「ヘルスリテラシーを高め、働き続けるためのコツ」
対象は、労働者、テーマに関心のある方。受講無料、定員60名、要事前申込。各日ごとの申込可。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-kame-000230