メールマガジン労働情報 No.1978

■□――【メールマガジン労働情報/No.1978】

地域別最低賃金額改定の目安について議論/厚労省審議会 ほか

―2024年7月12日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】地域別最低賃金額改定の目安について議論/厚労省審議会 ほか
【統計】5月の基調判断、「持ち直しの動きに足踏みが見られる」に下方修正/機械受注統計
【動向】2024年上半期の「早期退職」募集36社、5,364人/民間調査 ほか
【企業】「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同策定/全日空・日航
【海外】残業代支給対象拡大の新規則施行―ホワイトカラー・エグゼンプション俸給要件引き上げ/アメリカ ほか
【イベント】労働講座「ハラスメント防止にアサーティブネスを学ぼう」/神奈川県

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.244『解雇等無効判決後における復職状況等に関する調査』

解雇無効時の金銭救済制度について、地位確認がされた労働者の実際の職場復帰の割合等を把握することが
重要という観点から、弁護士へのアンケート調査を実施しました。解雇・雇止めが無効との判決で終局した
事案に係る労働者99人のうち、「復職した」のは4割弱、「復職せず」は5割強、復職後に就業を継続しているのは3割でした。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/244.html

◇調査シリーズNo.245『副業者の就労に関する調査』

副業・兼業については、厚生労働省では2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定、
20年9月に改定しました。環境整備が一定程度進んだ現在の副業をめぐる状況について、副業を行う者の割合や
副業の形態、業種、副業を行う理由等を把握し、副業者の就労状況を確認するためのアンケート調査を実施
しました。副業をしている人は6.0%で男性(5.1%)より女性(7.4%)が多く、副業をする理由(複数回答)
は「収入を増やしたいから」が54.5%、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が
38.2%、などがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/245.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付開始!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」

第1部(研究報告) 8月30日(金)~9月5日(木) *オンデマンド配信
第2部(パネル討論)9月5日(木)14時30分~17時00分  *ライブ配信
<登壇者>
竹村和也 弁護士(東京南部法律事務所)
木下潮音 弁護士(第一芙蓉法律事務所)
細川良  青山学院大学法学部教授
久保智英 労働安全衛生総合研究所上席研究員
山本陽大 JILPT主任研究員
<申込はコチラ>
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html

◇労働政策フォーラム(6月19日開催)の配布資料・動画を公開しました!

「シニアとフリーランスの新たな働き方の選択肢─労働者協同組合で事業を興す!─」
(配布資料)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/resume/index.html
(動画)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/video/index.html

◇「最近の統計調査結果から」(2024年6月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202406.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202406.pdf

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【行政】
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●地域別最低賃金額改定の目安について議論/厚労省審議会

厚生労働省は10日、中央最低賃金審議会・目安に関する小委員会(第2回)を開催し、令和6年度地域別
最低賃金額改定の目安について議論した。賃金改定状況の調査結果、生活保護水準と最低賃金、ランク別で
みた最低賃金の未満率と影響率、都道府県ごとの時間当たり賃金分布に関する資料などが配付された。
調査結果によれば、30人未満事業所の2024年1~6月の賃金改定状況について、賃金を引上げたのは42.8%
(産業・ランク計)。賃金上昇率は2.3%、1時間当たり賃金額(産業・都道府県・男女計)は1,488円
(資料1、p.3、6)。最低賃金改定の影響率(最低賃金額を改正した後に、改正後の最低賃金額を下回る
こととなる労働者割合)は、21.6%(2023年、ランク計)で、2014年以降での最高となった(資料3、p.1)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41324.html
▽資料No.1「令和6年賃金改定状況調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001273091.pdf
▽資料No.3「地域別最低賃金額、未満率及び影響率」
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001273093.pdf

●国家公務員を対象とした2023年度「苦情相談の状況」/人事院

人事院は5日、一般職の国家公務員を対象として、人事管理全般の苦情等の相談をまとめた「2023年度に
おける苦情相談の状況」を公表した。相談件数1,822件(前年度比83件増)、相談事案数は1,355事案
(同61事案増)でいずれも過去最多。相談内容は、「パワーハラスメント・いじめ・嫌がらせ」(32.7%)、
「勤務時間・休暇・服務等関係」(21.8%)、「任用関係」(13.6%)など。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2407/soudan01_00001.html
▽図表
https://www.jinji.go.jp/content/000004858.pdf

●各府省におけるハラスメント相談に関する調査結果/人事院

人事院は5日、ハラスメント相談に関するアンケート調査結果を公表した(一般職3,000人対象、2023年12月~
24年1月実施)。ハラスメントを「受けた」と感じた職員のうち相談したのは約4割、「見かけた」職員で
相談したのは約3割。相談先は、いずれも上司、同僚の順に多く、公務内の相談窓口はそれらに続く。
公務内の窓口に相談しなかった理由(複数回答)は「身近な人のほうが相談しやすい」が最多で、6割弱。
相談をしなかった職員の理由は、「相談しても解決しないと思った」(約5割)が最多。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2407/harassmentsoudanR5gaiyou_00001.html
▽アンケート結果
https://www.jinji.go.jp/content/000004857.pdf

●ESRI国際コンファレンス2024を開催/内閣府研究所

内閣府経済社会総合研究所(ESRI)は8月1日(木)、国際コンファレンス2024「Major Future Economic
Challenges ~近未来の経済課題の克服に向けて~」をハイブリッド(対面とオンライン)で開催する。
NBER(全米経済研究所)および外部有識者等の協力を得て、「近未来の経済課題の克服」をテーマに
「気候変動に対する炭素税等の経済対策の役割」、「地理的経済的分断と経済ナショナリズム」、「国際的な
人の移動:経済的機会と政治的課題」などについて議論する。日英同時通訳あり。オンライン参加のみ。
参加費無料、要事前登録。申込締切は7月30日(火)18時まで。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/workshop/r01_05fy/20240801main.html
▽プログラム
https://nws.stage.ac/esri2024/doc/program.pdf

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【統計】
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●5月の基調判断、「持ち直しの動きに足踏みが見られる」に下方修正/機械受注統計

内閣府は11日、機械受注統計調査報告(2024年5月実績)を公表した。機械受注総額は、前月比7.2%増の
3兆2,475億円(季調値)。民間設備投資の先行指標である「民需(船舶・電力を除く)」は、同3.2%減の
8,578億円。うち製造業は同1.0%増・4,237億円で、非製造業(船舶・電力を除く)は同7.5%減・4,397億円。
基調判断は「持ち直しの動きに足踏みが見られる」で、前月の「持ち直しの動きが見られる」から下方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2405juchu.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2405gaiyou.pdf

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【動向】
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●2024年上半期の「早期退職」募集36社、5,364人/民間調査

東京商工リサーチは4日、2024年上半期(1月から6月30日まで)に「早期・希望退職募集」が判明した
上場企業は、36社と発表した。前年同期は24社で1.5倍となった。対象人員は5,364人(同1,486人)で、
前年同期比3.6倍の大幅増。業種別では電気機器が最多の9社・1,800人で、情報・通信業の7社・412人が続く。
損益別では募集企業の半数以上が黒字企業(21社)で、募集人数は全体の9割以上(5,126人)を占める。
好業績が続くうちの構造改革に伴う募集と、円安、物価高で業績不振の企業の募集が重なり、対象人員数が
3年ぶりに1万人を超える可能性がある、としている。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198723_1527.html

●精神障害者と働くこと、事前想定より「ポジティブだった」は約7割/民間調査

パーソル総合研究所は6月25日、「精神障害のある就業者と共に働く上司・同僚についての調査」結果を
発表した。「精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査」の第2弾。精神障害者本人との
コミュニケーションやパフォーマンスなどが事前の想定よりもポジティブだったと感じる上司・同僚の割合は
約7割。ただし、その前提条件としては「受け入れの成功」があった。精神障害者と働く上司・同僚の約4割
は、「精神的負担が大きい」と回答、他の障害やその他事情のある部下・同僚と働く場合と比べ、負担を
感じる割合が高かった。受け入れる周囲の負担を防ぐために、複数人でカバーし合える体制構築や業務カバー
の評価など業務負担の軽減や、適切な対応についての学習支援・啓発の支援が必要、としている。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202406251000.html

●小学6年生の「将来就きたい職業」を発表/民間調査

ランドセル向け人工皮革のクラレは4日、2024年版「小学6年生の将来就きたい職業」を発表した。
1位は前年と変わらず「スポーツ選手」、2位は前年4位だった「医師」(前年「教員」)、3位は「教員」
(同「漫画家・イラストレーター」)。また、前年10位内になかった「薬剤師」が6位に、「医療関係」が
10位に入り、医療職の人気が上昇した。男の子のトップ5は順に「スポーツ選手」「研究者」「IT関係」、
4位が「医師」と「会社員」、女の子は「漫画家・イラストレーター」「医師」「教員」、4位が「看護師」と「保育士」。
https://www.kuraray.co.jp/enquete/2024_s6

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【企業】
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●「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同策定/全日空・日航

全日本空輸と日本航空は6月28日、各社グループが安心で快適なサービスを提供しつつ、従業員が安心して
働ける環境を守ることを目的に、「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同で策定したと発表した。
また、カスタマーハラスメントの基本方針、定義、該当行為例を整理し明文化。カスタマーハラスメントに
対しては、従業員の人権および就業環境を害するものとして毅然と行動し、組織的に対応する(基本方針)、
また、今後、関係各所と連携しカスハラ対応への取り組みを推進する、としている。
▽全日空
https://www.anahd.co.jp/group/pr/pdf/20240628.pdf
▽日航
https://press.jal.co.jp/ja/release/202406/008157.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽残業代支給対象拡大の新規則施行―ホワイトカラー・エグゼンプション俸給要件引き上げ

連邦労働省は7月1日、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act、FLSA)に基づき、残業代の支給対象から
外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、適用者の俸給水準要件を引き上げる新規則を施行した。
それまでの「週給684ドル以上」を「週給844ドル以上」へと引き上げた。しかし、テキサス州政府や業界団体
などは新規則の違法性を主張し、連邦地方裁判所に提訴。連邦地裁は6月28日、テキサス州政府職員への適用
に限って、新規則の施行を一時差し止める命令を出している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/usa_02.html

<中国>
▽北京市朝陽区、「人材サービス企業」の誘致策を発表

北京市朝陽区はこのほど、企業と専門職等人材のマッチングサービスなどを行う「人材サービス企業」の
誘致や、高度人材育成サービスの提供を目指す新たな政策を発表した。人材サービス企業に対する奨励金や
運営補助金の支給を含む、各種施策を盛り込んでいる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/china_01.html

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【イベント】
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●労働講座「ハラスメント防止にアサーティブネスを学ぼう」/神奈川県

神奈川県かながわ労働センター湘南支所は8月30日(金)に労働講座「ハラスメント防止にアサーティブネスを
学ぼう」を小田原市で開催する。職場のハラスメント防止に向け、自分も相手も大切にするコミュニケーション
「アサーティブネス」について解説する。参加無料。要事前申込、定員30名。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dh3/cnt/f7598/