メールマガジン労働情報 No.1979

■□――【メールマガジン労働情報/No.1979】

民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」12年連続で最多/厚労省 ほか

―2024年7月17日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」12年連続で最多/厚労省 ほか
【統計】95%が、1年前と比べ「物価上昇を実感」/日銀・生活意識アンケート調査 ほか
【労使】大企業の夏季ボーナス、前年比3%増/経団連第1回集計
【動向】地域の中堅・中小企業における賃金動向に関する調査結果を公表/日銀レポート
【企業】「ヘルスケア休暇」を導入/富士ソフト
【海外】ドイツにおける現在の労使紛争と団体交渉の結果/ドイツ
【イベント】大会「教職員の働き方改革を本気で考える」/日本学校メンタルヘルス学会

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.244『解雇等無効判決後における復職状況等に関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/244.html

◇調査シリーズNo.245『副業者の就労に関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/245.html

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【JILPTからのお知らせ】
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「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」

第1部(研究報告) 8月30日(金)~9月5日(木) *オンデマンド配信
第2部(パネル討論)9月5日(木)14時30分~17時00分  *ライブ配信
<登壇者>
竹村和也 弁護士(東京南部法律事務所)
木下潮音 弁護士(第一芙蓉法律事務所)
細川良  青山学院大学法学部教授
久保智英 労働安全衛生総合研究所上席研究員
山本陽大 JILPT主任研究員
<申込はコチラ>
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企業における能力開発は、一連の制度や慣行によって企業内に構築される人事管理体系の一部(サブシステム)
と位置づけられるとともに、人事部門、職場管理者、社員といった能力開発に関わる当事者の取組みや相互関係
の体系として捉えられます。こうした「システム」の視点から、各企業の企業(人事部門)・職場管理者・社員
へのアンケートデータを分析し、変化のなかにある日本企業の能力開発の実態・課題の解明を試みました。
【A5判 325頁 定価:3,300円(本体3,000円)】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/ability-dev-system.html

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【行政】
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●民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」12年連続で最多/厚労省

厚生労働省は12日、2023年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表した。個別労働関係紛争解決促進法
による総合労働相談件数は121万400件(前年度比3.0%減)で、4年連続で120万件超えの高止まり。うち、
民事上の個別労働紛争相談件数は26万6,160件(同2.2%減)、相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が6万113件
(同14.0%減)で、2012年度から12年連続で最多、次いで「自己都合退職」4万2,472件(同0.5%減)、
「解雇」3万2,943件(同3.4%増)など(報道発表資料p.5)。なお、改正労働施策総合推進法の全面施行により、
同法上のパワハラ相談件数は、2022年度から民事上の相談件数「いじめ・嫌がらせ」とは別に集計されている。
23年度の同法上の相談件数は6万2,863件で、うちパワハラに関する相談は6万53件。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00165.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001275308.pdf
▽労働施策総合推進法(パワーハラスメント関係)の施行状況
 (2023年度雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について・p.8)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001274451.pdf

●2026年度の介護職員数、22年度比25万人が必要/厚労省

厚生労働省は12日、第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護職員の必要数を公表した。
都道府県が推計した介護職員の必要数を集計したところ、2026年度には約240万人(22年度介護職員数(約215万人)
比・約25万人増)、2040年度には約272万人(同約57万人増)となった。国においては、(1)介護職員の処遇改善、
(2)多様な人材の確保・育成、(3)離職防止・定着促進・生産性向上など、総合的な介護人材確保対策に取り組むとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html

●フリーランスとの取引に関する新しい法律が11月から施行/厚労省

近年、多様な業種でフリーランスという働き方が普及している一方、フリーランスは「個人」で業務を
行う形態のため、「組織」として事業を行う企業等の発注事業者との間で交渉力の格差に起因する取引上の
トラブルが増えている。こうした中で、フリーランスが安心して働くことのできる環境を整備するため、
フリーランスとの取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備を目的とした「フリーランス・事業者間
取引適正化等法」が、今年11月1日から施行される。厚生労働省ではHPで、フリーランスで働く人や
フリーランスに業務を委託する事業者向けに情報を紹介している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
▽【周知資料】リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf
▽【Q&A】
https://www.mhlw.go.jp/content/001179815.pdf

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【統計】
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●95%が、1年前と比べ「物価上昇を実感」/日銀・生活意識アンケート調査

日本銀行は12日、生活意識に関するアンケート調査(第98回・2024年6月)の結果を発表した。
物価に対する実感(1年前対比)は、「かなり上がった」が65.8%、「少し上がった」が29.2%で、
95%が物価上昇を実感している。現在の景況感DI(1年前対比で「良くなった」-「悪くなった」)は
マイナス49.8で前回調査(24年3月)より13.7ポイント悪化。暮らし向きDI(「ゆとりが出てきた」-
「なくなってきた」)はマイナス52.1で前回調査より7.9ポイント悪化。
雇用環境DI(1年後をみた勤め先での雇用・処遇の不安を「あまり感じない」-「かなり感じる」)は
マイナス5.3で前回比3.7ポイント悪化。雇用環境については、「不安」を「かなり感じる」が増加した。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2407.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2407.pdf

●6月の企業物価指数、前年比2.9%上昇/日銀

日本銀行は10日、企業物価指数(2024年6月速報)を公表した。国内企業物価指数は122.7で、前年比2.9%、
前月比0.2%の上昇。製品別の前年同月比での上昇は、「非鉄金属」(19.4%)、「スクラップ類」(9.6%)、
「石油・石炭製品」(4.5%)、「窯業・土石製品」(4.5%)など。低下は「木材・木製品」(マイナス2.1%)、
「鉱産物」(マイナス1.2%)。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は前年比0.3%の上昇、
前月比マイナス0.3%の低下。円ベースでは順に同9.5%、同0.5%のいずれも上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2406.pdf

●5月の生産指数、前月比3.6%上昇/鉱工業指数確報

経済産業省は12日、5月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は前月比3.6%上昇の104.4で2カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは
「自動車工業」「化学工業(無機・有機化学工業を除く)」「電気・情報通信機械工業」等。低下は
「生産用機械工業」「無機・有機化学工業」。出荷は前月比3.9%、在庫は同0.9%のいずれも上昇。
在庫率は同1.2%の低下。速報に比べ、生産、出荷は上方修正、在庫、在庫率は下方修正。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202405kj.pdf

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【労使】
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●大企業の夏季ボーナス、前年比3%増/経団連第1回集計

経団連は12日、2024年夏季賞与・一時金の大手企業業種別妥結状況(加重平均)の第1回集計結果を発表した。
妥結額平均は98万3,112円で、前年比4.31%増。業種別平均は、製造業100万1,780円(同3.52%増)、
非製造業92万5,249円(同6.79%増)。業種別で増加率が最も高かったのは「自動車」(17.83%増)で、
次いで「セメント」(13.54%増)、「鉄道」(11.50%増)。従業員500人以上、主要22業種大手244社を対象に
平均額が分かる97社について集計している。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/051.pdf

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【動向】
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●地域の中堅・中小企業における賃金動向に関する調査結果を公表/日銀レポート

日本銀行は12日、「地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)」を発表した。
副題は、「地域の中堅・中小企業における賃金動向― 最近の企業行動の変化を中心に ―」。レポートは、
中堅・中小企業へのヒアリングで賃上げの動きに広がりが見られるが、人材確保優先の「防衛的賃上げ」や、
総人件費上昇の抑制、賃上げを見送る企業もあり、企業間のばらつきも大きくなっているとした。また、
人手不足は一過性ではなく、今後も継続的な賃上げが必要との認識も深まっており、賃上げ原資の確保も
見据えた(1)原材料コスト等の価格転嫁による原資確保や、人件費の価格転嫁への動きの広がり、
(2)設備投資やデジタル活用の活発化、(3)事業再構築、他社等との連携強化など経営変革の動き、が
見られ、これらの企業行動の変化が続くか注目されるとしている。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb240712.htm

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【企業】
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●「ヘルスケア休暇」を導入/富士ソフト

富士ソフトは6月28日、7月1日より社員対象の「ヘルスケア休暇」導入を発表した。健康管理を目的とした
休暇で、体調不良時の療養や早期の体調回復、定期的通院、健康診断・再検査の受診など、30分単位で取得
でき、年12日(うち有給2日)まで利用可能。また、育児、介護などの従来の休暇・休業制度に不妊治療休暇・
休業を新たに追加し、生活やライフイベント、家庭の事情に応じ取得できる「ライフサポート休暇・休業」
として再編・総称する。新設の不妊治療休暇は年12日まで(30分単位で取得可能)、不妊治療休業は最長1年間
取得可能。次世代育成に取り組む社員を支援、安心して働き続けられる環境を整備する、としている。
https://www.fsi.co.jp/company/news/20240628.html

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【海外】
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●フォーカス/JILPT

<ドイツ>
▽ドイツにおける現在の労使紛争と団体交渉の結果

2023年と2024年のドイツにおける団体交渉紛争は逆説的(パラドックスのように)に見える。労働組合は長い間
組合員を失い続け、その重要性は低下しているが、最近の労働争議は、目に見えて激化し、大きく対立する
姿勢を見せ、労働組合の新たな自覚の芽生えと見ることもできる。賃上げと労働時間短縮をめぐる最近の争議
について説明する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2024/07/germany.html

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【イベント】
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●大会「教職員の働き方改革を本気で考える」/日本学校メンタルヘルス学会

日本学校メンタルヘルス学会は11月2日(土)~3日(日)、第28回大会を沖縄県那覇市で開催する。
テーマは、「教職員の働き方改革を本気で考える」。生徒と教職員のメンタルヘルス支援に関する講演、
教職員の働き方改革についてのシンポジウム、その他ワークショップなどを開催予定。要事前登録。
参加費は、9月20日(金)までに登録(早期登録)の場合、非会員8,000円、学生3,000円。
https://xs193533.xsrv.jp/jasmh28/