■□――【メールマガジン労働情報/No.1969】
「新しい資本主義2024年改訂版案」を取りまとめ/政府 ほか
―2024年6月12日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「新しい資本主義2024年改訂版案」を取りまとめ/政府 ほか
【統計】2024年1~3月期のGDP実質成長率、年率1.8%減/2次速報値 ほか
【労使】「大きな成果」と評価する一方、価格転嫁は不十分/金属労協の「2024年闘争評価と課題」中間まとめ ほか
【動向】5月の倒産件数、11年ぶり1,000件超え/民間調査
【企業】身だしなみ基準の見直し/マルエツ ほか
【海外】インフレ下でOECD諸国の税・社会負担が増加/OECD ほか
【イベント】「未来の働き方推進フォーラム」/東京都
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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.243『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び
「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果』
法改正に伴い、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用範囲が週当たり労働時間20時間以上などに拡大
され、企業規模により、順次適用されています。一連の改正に対する企業や短時間労働者の対応を調査しました。
2022年10月より適用対象となった企業では、「できるだけ/どちらかといえば、適用する」が6割を超え、
概ね前向きな対応でした。24年10月より適用拡大される企業(常用雇用51~100人)では、「できるだけ/
どちらかといえば、適用する」は4割、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」は2割超、「未定」と
「無回答」はあわせて3割近くと、方針を決めかねている様子がうかがえます。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/243.html
◇資料シリーズNo.283『諸外国の労働時間法制とホワイトカラー労働者への適用に関する調査
―カナダ、アイルランド、EU指令、韓国―』
働き方改革に関連した法整備の一環として、ホワイトカラー労働者に係る労働時間法制の適用等に関する議論が
あることから、米英独仏に関する調査(資料シリーズNo.282)に続き、対応する法制度の有無を含め、カナダ、
アイルランド、韓国及びEU(労働時間指令)の現状をまとめました。併せて、勤務間インターバル制度、
つながらない権利に関する動向・議論等についても調べました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/283.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム <参加者募集中!>
「シニアとフリーランスの新たな働き方の選択肢─労働者協同組合で事業を興す!─」
日時 第1部(オンデマンド配信)6月14日金曜~19日水曜
第2部(ライブ配信) 6月19日水曜14時30分~17時00分
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/index.html
◇「最近の統計調査結果から」(2024年5月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202405.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202405.pdf
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【行政】
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●「新しい資本主義2024年改訂版案」を取りまとめ/政府
政府は7日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、新しい資本主義2024年改訂版案について議論し、取りまとめた。
首相は議論を踏まえ、「今年、物価上昇を上回る所得を実現し、来年以降に、それを上回る賃上げを定着させる
べく取組を強化する」とし、中小企業の労働者の賃上げについては、「労務費の価格転嫁の徹底」
「下請代金法の改正検討も含む厳正な対処」「自動化技術を用いる現場労働者のリスキリング」などをあげ、
三位一体の労働市場改革では、「企業の実態に応じたジョブ型人事の導入」「役職定年の見直し」「スタート
アップに関する裁量労働制の運用明確化」などを図っていくと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202406/07shihon.html
▽新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版案
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai28/shiryou1.pdf
●「配偶者手当と賃金制度の見直しセミナー」開催/厚労省
厚生労働省は6月27日(木)から2025年1月(予定)まで、対面(大阪、東京など)又はオンラインで
「配偶者手当と賃金制度の見直しセミナー」を開催する。民間企業における配偶者手当の見直しや、
職務給の導入等について、労働者や事業主などを対象とした賃金制度の見直しに関するセミナー。
参加費無料、専用サイトから申し込む。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chinginseido_00003.html
▽セミナー専用サイト
http://www.langate.co.jp/haigu_syokumu/index.html
●「高等専門学校卒業者のキャリアパス等に関する調査研究」報告書を公開/文科省
文部科学省は「高等専門学校卒業者のキャリアパス等に関する調査研究」報告書を公開している(2023年度委託事業)。
就職後の高専卒業生と大卒者との処遇の差の現状と要因を調べるため、高専、企業、2022年度卒業生、大学に
アンケート調査を実施。(1)学校・卒業生ともに就職等で課題ありと考える割合は少ない、(2)採用時には
大卒と給与差があるものの、一定期間後は必ずしも差があるわけではない、などから「学士」取得の優位性は
低く、特に成果主義を導入している企業では給与差が入社後になくなっていく、などとしている。(p.146~「第6章 まとめ」)
https://www.mext.go.jp/content/20240607-mxt_daigakuc01-000036352_1.pdf
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【統計】
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●2024年1~3月期のGDP実質成長率、年率1.8%減/2次速報値
内閣府は10日、2024年1~3月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質がマイナス0.5%、年率換算でマイナス1.8%。
需要項目別では、民間最終消費支出が実質マイナス0.7%(前期はマイナス0.4%)、うち家計最終消費支出
(除く持ち家の帰属家賃)は実質マイナス0.9%(同マイナス0.4%)で、どちらも4期連続のマイナス。
雇用者報酬の伸び率は、実質マイナス0.3%、名目0.8%。
2023年度のGDPも公表され、前年比で実質1.2%(1次速報値と同率)、名目5.2%(同マイナス0.1ポイント)。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe241_2/gdemenuja.html
●街角景況感、前月差1.7ポイント低下/5月景気ウォッチャー調査
内閣府は10日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2024年5月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差1.7ポイント低下の45.7で、
3カ月連続の低下。雇用関連DIは同4.0ポイントの低下。家計動向関連、企業動向関連のDIも低下。
先行き判断DI(同)は、前月差2.2ポイント低下の46.3。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が
続いているものの、このところ弱さがみられる。また、令和6年能登半島地震の影響もみられる。先行きに
ついては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0610watcher/menu.html
●4月の基調判断は「下方への局面変化」で据え置き/景気動向指数速報
内閣府は7日、2024年4月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は115.2で、
前月と比較して1.0ポイント上昇し、2カ月連続の上昇。プラスに寄与したのは「商業販売額(卸売業)」
「耐久消費財出荷指数」「商業販売額(小売業)」など。マイナス寄与は「有効求人倍率(学卒除く)」
「鉱工業用生産財出荷指数」「生産指数(鉱工業)」など。
一致指数の基調判断は「下方への局面変化を示している」として据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202404psummary.pdf
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【労使】
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●「大きな成果」と評価する一方、価格転嫁は不十分/金属労協の「2024年闘争評価と課題」中間まとめ
金属労協(JCM、金子晃浩議長)は5月30日、「2024年闘争評価と課題」の中間まとめを発表した。
中間まとめは、中小労組でも賃上げ獲得組合の割合が8割に達したことから「賃上げの裾野を広げることが
できた」と評価。賃上げ回答額については、2014年以降の最高額となったことから「大きな成果を上げる
ことができた」としたものの、中小組合の賃上げ額が大手を大きく下回ったことについて「価格転嫁が未だ
不十分であることが要因」と分析した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240612.html
●選択的夫婦別姓制度の早期実現を提言/経団連
経団連は10日、提言「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」を
発表。時代とともに変化し多様化していく価値観や考え方、社会実態に合わせ、「選択肢」を増やす観点から
現行の夫婦同氏制度を改め、選択的夫婦別姓制度の早期実現を政府に提言した。職場での旧姓の通称使用が
推進されているが、通称は法律上の姓ではなく、旧姓併記拡大では解決できない課題もあり、女性活躍の進展に
伴い、ビジネス上のリスクになり得るとして、企業経営の視点からも無視できない重大な課題、としている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044.html
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【動向】
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●5月の倒産件数、11年ぶり1,000件超え/民間調査
東京商工リサーチは10日、2024年5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,009件(前年同期比42.9%増)
と発表した。2013年7月以来、10年10カ月ぶりに1,000件を超えた。件数は、2022年4月から26カ月連続で
前年同月を上回った。産業別では、10産業すべてで7カ月ぶりに前年同月を上回り、最多は「サービス業他」の
327件(前年同月比30.2%増)、次いで「建設業」193件(前年同月比46.2%増)、「卸売業」132件(同37.5%増)。
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1198647_1610.html
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【企業】
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●身だしなみ基準の見直し/マルエツ
食品スーパーチェーンのマルエツは5月31日、勤務時における従業員の身だしなみ基準を大幅に見直すと
発表した。6月1日から適用開始。新基準では、髪色、カラーコンタクトは自由、ネイルは色指定なし
(ネイルアートは禁止)など。業務に支障をきたさず、顧客に不快感を与えないという前提のもと、
従業員がより自分らしく意欲的に働ける職場環境を提供し、満足度やモチベーションの向上を図るとともに、
人材の確保・定着など採用環境の改善につなげる、としている。
https://www.maruetsu.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/20240531-1.pdf
●建築技術職の給与を最大20%アップ/大和財託
不動産・建築業の大和財託は5月13日、2024年9月からの建築技術職(設計職・施工管理職)の賃上げ
実施を発表した。賃上げ幅は4~20%で、等級・職位による。建築業界は人財不足と高齢化が進み、若い
働き手を増やさなくては業界自体が衰退してしまう可能性があるとし、23年9月の全正社員対象の給与の
平均10%引き上げに続き、さらなる成長促進と人財確保のため実施する、としている。
https://yamatozaitaku.com/cms/wp-content/uploads/2024/05/74cd29cf-6fbe-431f-873f-350d23e20269-1.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<OECD>
▽インフレ下でOECD諸国の税・社会負担が増加
OECD(経済開発協力機構)は4月25日、報告書「Taxing Wages 2024」を発行し、インフレが続く中、OECD諸国で
税・社会負担が増加していると分析した。世帯別にみると、単身世帯と家族世帯の税負担の差が拡大している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/oecd_01.html
<インド>
▽連邦労働法改革、総選挙後に前進か
インド総選挙(下院選)の投票が4月19日に始まり、29州、8連邦直轄地の543選挙区において、6月1日まで
7回にわたって行われた。全人口14億人のうち、約9億6,900万人の有権者が投票する世界最大の選挙で、
現職のモディ首相の与党・インド人民党(BJP)を中心とした与党連合が議席の過半数を獲得した。2019年から
2020年にかけて連邦議会において法案が可決されたにもかかわらず、一部の条項を除いて施行されていない
改正労働法が、総選挙後に優先事項として施行に向けて動きだすという見方もある。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/india_01.html
▽連邦労働法改革に先んじて進む州法の改正
連邦レベルでの労働法改革が進まないなか、州レベルで労働法改革が進む州がある。連邦法の改正を先取り
する州もあるが、その趣旨とは異なる独自の改正を進める州もある。企業優遇あるいは労働者保護の改正が、
労働者(労組)側あるいは使用者側の反対により頓挫してしまうケースもある。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/india_02.html
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【イベント】
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●「未来の働き方推進フォーラム」/東京都
東京都は7月10日(水)、未来の働き方を考える「未来の働き方推進フォーラム」を会場(千代田区)と
オンラインライブ配信で開催する。基調講演「誰もが輝ける『未来の働き方』」のほか、一般講演、
パネルディスカッションで、企業の事例紹介等を行う。参加費無料。申込期限:7月9日(火)まで。
https://mirai-hatarakikata.metro.tokyo.lg.jp/forum/