メールマガジン労働情報 No.1968

■□――【メールマガジン労働情報/No.1968】

「年収の壁」超えで働くと、世帯の生涯可処分所得は「年収の壁」以内を上回る/政府PT ほか

―2024年6月7日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「年収の壁」超えで働くと、世帯の生涯可処分所得は「年収の壁」以内を上回る/政府PT ほか
【統計】出生率1.20に低下、出生数は過去最少/2023年人口動態統計 ほか
【労使】中小組合の賃上げは平均4.45%、全体では5.08%と高水準/連合第6回回答集計 ほか
【動向】景気は2カ月連続で悪化、前月比0.6ポイント減/民間調査
【企業】基本給一律3万円(約10%)の賃上げ実施/くら寿司 ほか
【海外】外国人の増加に減速の兆し/イギリス ほか
【イベント】キャリア・シフトチェンジのためのワークショップインストラクター養成研修/中央職業能力開発協会 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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◇「最近の統計調査結果から」(2024年5月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202405.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202405.pdf

★労働政策フォーラム <参加者募集中!>
「シニアとフリーランスの新たな働き方の選択肢─労働者協同組合で事業を興す!─」

日時 第1部(オンデマンド配信)6月14日金曜~19日水曜
   第2部(ライブ配信)   6月19日水曜14時30分~17時00分
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/index.html

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【行政】
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●「年収の壁」超えで働くと、世帯の生涯可処分所得は「年収の壁」以内を上回る/政府PT

政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」は5日、中間とりまとめ案を提出した。
男女間賃金格差が比較的大きい金融業・保険業等の5産業の分析を踏まえ、人事改革、意識変革、非正規雇用
労働者の処遇改善等に取り組むことが重要とし、格差解消に向けたアクションプラン策定を2024年内に業界で
着手し、早期の公表を要請する、としている。また、女性の出産後の働き方別の世帯生涯可処分所得の試算
では、(1)就労継続・正社員の場合、出産後離職・再就職しない場合に比べ、税・社会保険料支払い後の
可処分所得が約1.7億円多い、(2)出産後にパートとして「年収の壁」超えの年収150万円で復職の場合、
年収の壁以内で働くよりも、給与と年金増により、可処分所得は合計1,200万円増加、としている。

首相は、「女性が『年収の壁』を超えて働く場合、生涯可処分所得が増える等の試算も示され、女性の職業生活
における活躍の経済的意義が改めて確認され、男女間賃金格差の背景にある、共通または産業ごとの実態・課題
について議論し、対応策を取りまとめた」とし、各業界のアクションプラン策定と取組について、各省庁へサポートを指示した。
▽中間とりまとめ(案)概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001260824.pdf
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202406/05josei.html

●6月は「外国人雇用啓発月間」/厚労省

厚生労働省は毎年6月1日から30日までの1か月間を「外国人雇用啓発月間」と定めている。
今年の標語は「ともに創ろう、みんなが働きやすい職場 ~外国人雇用はルールを守って適正に~」。
外国人労働者の就労には、雇用が不安定な場合や、労働・社会保険関係法令が遵守されていない事例などが
見られることから、啓発月間では、ルールに則った外国人の雇用や外国人労働者の雇用維持・再就職援助
などについて、積極的な周知・啓発活動を行うとしている。
また、出入国在留管理庁では6月、「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」を実施している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39631.html
▽パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001100538.pdf
▽出入国在留管理庁「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/01_00002.html

●介護現場における生産性向上の取組、実証提案を募集/厚労省

厚生労働省では、2024年度「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」において、
協力可能な介護事業者等を募集している。生産性向上の取組に意欲的な介護事業者やテクノロジー開発企業等
から、取組の目標、具体的内容等の提案を募集し、高い効果が見込まれる取組について、介護施設等で実際に
取り組んで、ケアの質の確保や職員の負担軽減等の観点から効果実証を実施する。募集は、6月21日(金)まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/koukasokutei_bosyuu_00004.html
▽発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001258809.pdf

●2024年度「輝くテレワーク賞」の募集を開始/厚労省

厚生労働省では、2024年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の応募企業・団体
を募集している。同賞は、テレワークの活用により、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を図るとともに、
他社の模範となる取組を行っている企業や団体を表彰するもの。応募期間は、7月31日(水)まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40415.html
▽「輝くテレワーク賞」特設サイト
https://kagayakutelework.jp/award/

●「人権教育・啓発白書」を国会に報告/法務省

法務省は4日、「令和5年度人権教育及び人権啓発施策」(人権教育・啓発白書)を国会に報告した。
同書は、人権教育及び人権啓発に関する施策の状況、「女性」、「子ども」、「障害のある人」、
「部落差別(同和問題)」、「外国人」等の人権課題に対する取組、人権に関わりの深い職業に従事する者に
対する研修、人権教育・啓発の推進体制等などの施策を報告する内容となっている。「トピックス」として
「『ビジネスと人権』に関する我が国の取組」「職場におけるハラスメント防止対策の推進」等を掲載している。
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00288.html
▽人権教育及び人権啓発施策の概要
https://www.moj.go.jp/content/001419340.pdf

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【統計】
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●出生率1.20に低下、出生数は過去最少/2023年人口動態統計

厚生労働省は5日、2023年「人口動態統計月報年計(概数)」を公表した。
合計特殊出生率は1.20(対前年比0.06ポイント低下)で2016年以降、8年連続低下で過去最低。
出生数は72万7,277人(同4万3,482人減)で過去最少。死亡数は157万5,936人(同6,886人増)で
3年連続増加し過去最多。自然増減数(出生数と死亡数の差)はマイナス84万8,659人(同5万368人減)、
過去最大の減少で17年連続減少。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5houdou.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比0.5%増/4月家計調査報告

総務省は7日、4月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は31万3,300円、
実質で前年同月比0.5%増と14カ月ぶりの増加。前月比(季調値)は1.2%の減少。支出項目別での
プラス寄与は、教育(1.68%)、その他の消費支出(仕送り金、諸雑費等)(1.6%)、被服及び履物(0.37%)
など。マイナス寄与は、交通・通信(マイナス1.48%)、教養娯楽(同0.94%)、食料(同0.73%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり56万6,457円(前年同月比で実質0.6%減)で19カ月連続の実質減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●経常利益、前年同期比15.1%増/1~3月期法人企業統計調査

財務省は3日、2024年1~3月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。全産業(金融業、保険業を除く)の
企業動向を前年同期比でみると、売上高(387兆4,182億円)は2.3%増(製造業2.8%増、非製造業2.1%増)、
経常利益(27兆4,279億円)は15.1%増で5四半期連続の増加(製造業は23.0%増、非製造業は11.5%増、)、
金額では過去3番目。設備投資(17兆6,628億円)は6.8%増。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
▽報道発表資料(2023年1~3月期)
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r6.1-3.pdf

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【労使】
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●中小組合の賃上げは平均4.45%、全体では5.08%と高水準/連合第6回回答集計

連合は5日、2024春季生活闘争 第6回回答集計結果を公表した。平均賃金方式で回答を引き出した4,938組合の
加重平均は5.08%・1万5,236円(昨年同時期比1.42ポイント・4,429円増)で、第5回回答集計の5.17%増と
ほぼ同水準を維持した。このうち、組合員300人未満の中小組合3,516組合の加重平均は4.45%・1万1,361円
(同1.09ポイント・3,033円増)。全体も中小組合も、比較可能な2013年以降で最も高い水準。有期・短時間・
契約等労働者の賃上げは、時給概算5.74%・62.7円、月給4.97%・1万851円で、いずれも過去最高。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no6.pdf?4630

●中小企業の賃上げ率は正社員で3.62%、パート・アルバイト等で3.43%/東商・日商

東京商工会議所および日本商工会議所は5日、「中小企業の賃金改定に関する調査」結果を発表した。
2024年度に「賃上げ実施予定」の企業は74.3%で1月調査から13.0ポイント増。うち業績改善の
見られない「防衛的賃上げ」は59.1%。従業員数20人以下の企業では、「賃上げ実施予定」は63.3%で、
うち「防衛的賃上げ」は64.1%。小規模事業所では賃上げの動きがやや鈍く厳しい状況、としている。
正社員の賃上げは、額(月給)9,662円・率3.62%(加重平均)。パート・アルバイト等は、
賃上げ額(時給)37.6円・率3.43%(加重平均)。調査は、全国商工会議所を通じた1,979社の回答による。
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1203144
▽調査結果
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1203160

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【動向】
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●景気は2カ月連続で悪化、前月比0.6ポイント減/民間調査

帝国データバンクは5日、TDB景気動向調査(2024年5月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.6ポイント減の43.5となり、2カ月連続で悪化。個人消費低迷に加え、原材料価格の高止まり
などコスト負担増もあり、2カ月連続で後退。今後は、横ばい傾向で推移するとみている。業界別では
10業界中8業界で悪化、個人消費の停滞のほか、原材料価の高止まり、人件費高騰や不十分な価格転嫁などが
影響した。地域別では10地域中9地域で悪化。規模別では、「大企業」は前月横ばいだが「中小企業」
「小規模企業」は2カ月連続で悪化。
https://www.tdb-di.com/2024/06/summary202405.pdf

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【企業】
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●基本給一律3万円(約10%)の賃上げ実施/くら寿司

くら寿司は4日、6月1日に給与改定し、全社員を対象にベースアップを実施すると発表した。
基本給を月額3万円アップで、ベースアップ率は10.73%としている。大卒初任給は月額23万円から26万円へ
引き上げ。賃上げ機運が高まる中、社員のエンゲージメントを高め、暮らしを支え、優秀で多様な人材の確保を
図るため、としている。
https://www.kurasushi.co.jp/upload/240604release.pdf

●「奨学金返済支援制度」導入/マミーマート

食品スーパー業のマミーマートは5月14日、奨学金を借りている社員に対し返済を支援する「奨学金支援制度
(本人返還)」を2024年4月から導入したと発表した。対象は、新入社員として入社し、貸与奨学金を受けて
いる正社員で、これら条件を満たす現在在籍している正社員を含む。期間は入社から5年間。返済支援により
経済的・心理的負担を軽減し安心して働ける環境を整備し、若手社員の育成・成長、優秀な人材の採用に
繋げたいとしている。新卒・販売職(大学・短大・専門・既卒)の募集要項によれば、奨学金支援制度:
月額1万5,000円、最大5年計90万円の補助。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9823/tdnet/2437762/00.pdf
▽募集要項:新卒・販売職(福利厚生)
https://mammymart.co.jp/newgraduate/recruit/index.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<イギリス>
▽外国人の増加に減速の兆し

EU離脱以降、制度変更の影響などから、就労・就学などを目的とする外国人の大幅な増加が続いてきたが、
ここにきて減速の兆しが見られる。また、この間に急増した介護労働者の受け入れを巡っては、受け入れ先に
よる不正や搾取などの問題も指摘されている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/uk_01.html

▽介護者休業制度の導入

家族などへの介護を理由に、被用者に対して年1週間分の無給の休業の権利を認める介護者休業制度が、4月に
導入された。介護責任のある被用者の雇用と介護責任の両立を支援し、就労の維持を促すことが企図されている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/uk_02.html

▽柔軟な働き方の申請権、就業初日から

被用者が、就業場所や労働時間などに関する柔軟な働き方を雇用主に申請する権利について、就業初日から
認めるなどの制度改正が4月に実施された。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/uk_03.html

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【イベント】
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●キャリア・シフトチェンジのためのワークショップインストラクター養成研修/中央職業能力開発協会

中央職業能力開発協会は、「キャリア・シフトチェンジのためのワークショップ」インストラクターの養成研修
を新宿区と大阪市で開催する。ミドル・シニア向けキャリア研修である「キャリア・シフトチェンジのための
ワークショップ」の講師を養成するための研修(2日間)。日程は7月~2024年1月(全4回開催、各回同内容)。
受講料51,000円。定員24名。
https://javada-seminar.eventcreate.net/event/6317

●「東京シンポジウム2024」/経営民主ネットワーク

経営民主ネットワークは6月28日(金)14時から、「東京シンポジウム2024」を東京都港区の友愛会館で開催する。
基調講演は「日本のあるべき労働者代表制と労働組合の役割」をテーマに、青山学院大学教授・細川良氏。
村杉靖男・労働研究センター会長「労働者代表制に向けての提案」と高木雄郷・経営民主ネットワーク事務局長
「日本型共同決定制と社会的連帯経済の構築」の報告。参加無料。要事前申込。
申込先:経営民主ネットワーク(リンク先なし) jwdnetwork[at]mbr.nifty.com ※[at]を@にご修正ください