メールマガジン労働情報 No.1970

■□――【メールマガジン労働情報/No.1970】

「女性版骨太の方針2024」決定、男女間賃金差の公表、100人超の企業へ拡大検討/政府会議 ほか

―2024年6月14日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「女性版骨太の方針2024」決定、男女間賃金差の公表、100人超の企業へ拡大検討/政府会議 ほか
【統計】5月の企業物価指数、前年比2.4%上昇/日銀 ほか
【労使】中小企業の賃上げ1万420円、3.92%アップ/経団連 ほか
【動向】日本の男女平等指数は146カ国中の118位、賃金格差等の「経済参画」は120位/世界経済フォーラム ほか
【企業】名札への実名以外の任意のアルファベット表記可能に/ローソン ほか
【イベント】シンポジウム「キャリアと生活の充実をめざして―育児休業・介護休業の観点から」/東洋大学

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.243『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び
 「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/243.html

◇資料シリーズNo.283『諸外国の労働時間法制とホワイトカラー労働者への適用に関する調査
 ―カナダ、アイルランド、EU指令、韓国―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/283.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆『労働関係法規集2024年版』 好評発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【行政】
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●「女性版骨太の方針2024」決定、男女間賃金差の公表、100人超の企業へ拡大検討/政府会議

政府は11日、「すべての女性が輝く社会づくり本部」及び「男女共同参画推進本部」の合同会議を開催し、
「女性版骨太の方針2024」を決定した。重点事項として「企業等における女性活躍の一層の推進」のため、
女性役員登用目標(東証プライム市場上場企業では2025年目途に1名以上の女性役員の選任、30年までに
女性役員比率30%以上など)の達成に向けた各企業の行動計画策定を促進する。「女性の所得向上・経済的自立
に向けた取組の一層の推進」のため、男女間賃金格差の是正に向け、男女の賃金差の公表義務を常用労働者数
101人以上300人以下の事業主へ拡大することを検討し、特に賃金格差の大きい業界についてはアクションプラン策定を促す、としている。
▽合同会議
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202406/11josei.html
▽女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(案)
https://www.gender.go.jp/kaigi/honbu/gijisidai/pdf/24/1-2.pdf
▽資料
https://www.gender.go.jp/kaigi/honbu/gijisidai/24-s.html
▽連合事務局長談話
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1306

●経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)の原案提示/政府会議

政府は11日、経済財政諮問会議を開催し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)原案について議論した。
首相は、「コストカット経済から脱却し、成長型の新たな経済ステージへの移行のため、政策を総動員して
賃上げを後押しし、来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させる」と述べた。
原案では、最低賃金の目標(2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円)について、より早い達成に取り組むとし、
ほかに、所得向上を通じた女性活躍のため、男女間賃金格差の解消に向けた環境整備、希望する非正規雇用労働者
の正社員転換促進や同一労働同一賃金の更なる徹底、全世代のリスキリング推進、サプライチェーン全体で
適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」実現、などが挙がっている。(p.6~ 第2章)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202406/11keizai.html
▽経済財政運営と改革の基本方針 2024(原案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0611/shiryo_01.pdf

●「労使関係セミナー」関東地区第1回、中国地区の受講者募集/中労委

中央労働委員会では、判例や労働法制について広く発信することで労使紛争の未然防止と早期解決を図り、
これらを支援する労働委員会への理解促進のため「労使関係セミナー」を開催している(受講無料)。
今夏7月開催の関東地区第1回(31日(水)・東京都港区)、中国地区(11日(木)・松江市)のセミナーに
ついて、中労委HPで案内している。受講方法は会場受講とWEB受講がある。会場での受講希望者は、
各会場とも要事前申込、先着順。
▽2024年度労使関係セミナー開催のご案内
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html
▽2023年セミナー動画「ハラスメントと時効の問題について」
https://www.youtube.com/watch?v=vY_Rb0jl670
▽中労委HP
https://www.mhlw.go.jp/churoi/

●日本貨物検数協会不当労働行為再審査事件で初審命令を維持、組合の再審査申立てを棄却/中労委

中央労働委員会は5日、法人と締結した指定事業体からの職員採用に関する確認書に基づき、組合員の
転籍について申し入れた団交を拒否したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の
再審査事件において、同確認書をもって本件組合員を雇用する義務はなく、近い将来雇用関係が成立する
可能性が存するとはいえないことから、法人は労組法上の使用者にはあたらず、団交申入れを拒否したことは
不当労働行為に該当しないとして、初審命令を維持し組合の再審査申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r060606-1.pdf

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【統計】
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●5月の企業物価指数、前年比2.4%上昇/日銀

日本銀行は12日、企業物価指数(2024年5月速報)を公表した。国内企業物価指数は122.2で、前年比2.4%、
前月比0.7%の上昇。製品別の前年同月比での上昇は、「非鉄金属」(20.7%)、「スクラップ類」(9.7%)、
「石油・石炭製品」(6.8%)など。低下は「電力・都市ガス・水道」(マイナス7.4%)、「木材・木製品」
(マイナス2.4%)、「鉱産物」(マイナス1.4%)など。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は
前年比マイナス3.0%の低下、前月比0.9%の上昇。円ベースでは順に同6.9%、同2.5%のいずれも上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2405.pdf

●生活保護の保護申請件数、前年同月比11.8%減/3月被保護者調査

厚生労働省は5日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2024年3月分概数)結果を公表した。
保護の申請件数は2万1,610件で、前年同月比2,883件(11.8%)減。保護開始世帯数は1万9,322世帯で、
同2,869世帯(12.9%)減。被保護世帯は165万379世帯で、同3,052世帯(0.2%)増。被保護実人員は
201万8,671人で、同9,180人(0.5%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/03.html
▽報道資料(2024年3月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/03-01.pdf

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【労使】
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●中小企業の賃上げ1万420円、3.92%アップ/経団連

経団連は13日、「2024年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況」(第1回集計)を発表した。
調査対象である従業員500人未満の17業種754社のうち、回答が示されたのは17業種238社。
うち平均金額が不明等の12社を除く226社の賃上げ回答・妥結水準は、定期昇給等を含む加重平均で
1万420円(前年同期7,864円)、3.92%(同2.94%)のアップ。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/045.pdf

●職場のカスハラ、「直近2年以内に被害にあった」46.8%/UAゼンセン調査

繊維、流通、サービス産業等の組合で作られるUAゼンセンは5日、「カスタマーハラスメント対策アンケート
調査」結果を発表した。「直近2年以内に迷惑行為被害にあった」は46.8%(前回2020年調査・56.7%)で減少
傾向にあり、この間の世論喚起や労使の取り組みの成果、と推測。「最も印象に残る迷惑行為」は「暴言」39.8%
が最多で、「威嚇・脅迫」14.7%、「同じ内容を繰り返すクレーム」13.8%。「企業の、迷惑行為への対策」は
「とくに対策はなされていない」が最多の42.2%で、「マニュアル整備」28.6%や「専門部署の設置」23.4%、
「迷惑行為対策への教育」21.0%などが続く。「直近2年以内で迷惑行為」が「増えている」は33.7%、
「減っている」6.7%、「変わらない」34.7%、「分からない」24.9%。調査は、サービス業に従事する
所属組合員を対象に実施。UAゼンセンは調査結果を踏まえ、安心・安全な職場環境の構築へ向けた法制化
などにつなげたい、としている。
https://uazensen.jp/2024/06/05/100876/

●2023年度の採用実績、「採用できた」企業は54%/日商LOBO調査

日本商工会議所は5月31日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」5月調査結果を発表した。
トピックスの「2023年度の採用実績の動向」によると、23年度の採用実績について、「募集し、採用できた」
は54.0%(23年4月調査比1.0ポイント増)、「募集したが全く採用できなかった」が8.8%(同0.8ポイント減)、
「募集しなかった」が37.2%(同0.2ポイント減)といずれもほぼ横ばいとなった。業種別では、建設業の
「全く採用できなかった」が18.4%と、他と比べ高水準。採用できた企業のうち、「予定人数を採用できた」は49.4%。
業況DI(全産業合計)はマイナス11.4で、前月比2.6ポイント上昇。物価高・人手不足等によるコスト増が
継続しているが観光需要等が下支えし、中小企業の業況は5カ月ぶりに改善した。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2024/05/LOBO202405.pdf

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【動向】
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●日本の男女平等指数は146カ国中の118位、賃金格差等の「経済参画」は120位/世界経済フォーラム

世界経済フォーラム(スイスの非営利財団)は12日、世界146か国の男女平等度を表すジェンダー・
ギャップ指数を公表した。日本の男女平等指数は、118位(2023年は125位、報告書12頁)。分野別では、
賃金の男女格差、管理職の男女比等の「経済参画」が120位(同16頁)、閣僚の男女比等の「政治参画」が
113位(同17頁)と低い。「教育」は72位(同16頁)、「健康」は58位(同17頁)。指数は、分野ごとの
男性に対する女性の割合を示し、指数1に近いほど平等度が高いとされる。
▽内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html
▽報告書・英文
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2024.pdf

●夏のボーナス、前年より「増加」が約4割/民間調査

帝国データバンクは13日、「2024年夏季賞与の動向アンケート」結果を発表した。
24年夏季賞与の支給状況について、「賞与あり・増加する」が39.5%(前年比2.1ポイント増)、
「賞与あり・変わらない」が34.2%(同2.2ポイント減)、「賞与あり・減少する」が11.3%
(同2ポイント増)で、「賞与あり」の企業は計85%(同1.9ポイント増)。「賞与あり・増加する」企業
の規模別割合は、大企業は47.2%、中小企業は38.2%で、うち小規模企業は29.2%。従業員1人当たり
平均支給額の前年からの増減は、平均で2.0%増加。規模別では、大企業で4.1%増、中小企業で1.7%増で、
規模間格差が目立つ。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240604.pdf

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【企業】
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●名札への実名以外の任意のアルファベット表記可能に/ローソン

ローソンは4日、店舗従業員が安心して働くことができる環境を整備するため、店舗従業員の名札の表示内容を
見直し、アルファベットによる任意の文字やイニシャルでの表記を同日より可能とすると発表した。これまでは
実名(苗字)での記載を基本としていた。また、従業員の多様化を受け、身だしなみに関する規定を見直し、
宗教上の理由から頭髪を覆う布類の着用を認めるとこととした。
https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1487981_2504.html

●初任給・賃金引き上げと採用促進の取り組み強化/東急バス

東急バスは6日、初任給引き上げと在籍従業員の賃金引き上げ(2024年7月1日実施)、乗務員の採用促進に
向けた取り組み強化を発表した。乗務員の初任給は25万円(16.2%・3万5,000円引き上げ)に、在籍従業員は
定期昇給を含め平均2万300円(7%相当)の引き上げを実施する。また、乗務員の不足傾向の解消に向け、
23年度比3倍となる150名採用を目標として、入社祝い金10万円の新設や借上寮の補助費増額などの採用促進に
向けた取り組みを強化する、としている。
https://www.tokyubus.co.jp/news/d704d522318425a3dc663c78d9b31992208cfb52.pdf

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【イベント】
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●シンポジウム「キャリアと生活の充実をめざして―育児休業・介護休業の観点から」/東洋大学

東洋大学重点研究推進プログラムでは6月29日(土)、シンポジウム「キャリアと生活の充実をめざして―
育児休業・介護休業の観点から」を文京区(白山キャンパス)で開催する。キャリアを持続するうえで
課題となる育児と介護に焦点をあて、キャリアと生活を充足させることの意義を考える。育休、介護休業を
めぐる基調講演(2本)、全体討論など。基調講演「介護離職と介護休業」はJILPT池田副統括研究員が講演。
参加費無料。フォームから要事前申込、締切6月25日(火)まで。
https://sites.google.com/toyo.jp/wl1040
池田講師著書・労働関係図書優秀賞受賞『介護離職の構造─育児・介護休業法と両立支援ニーズ』
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/04/index.html