メールマガジン労働情報 No.1967

■□――【メールマガジン労働情報/No.1967】

賃上げ定着に向け、商慣行の見直し含む価格転嫁対策の強化を/政府懇談会で首相 ほか

―2024年6月5日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】賃上げ定着に向け、商慣行の見直し含む価格転嫁対策の強化を/政府懇談会で首相 ほか
【統計】4月の実質賃金、前年同月比0.7%減で25カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】「ステージ転換に向けた大きな一歩」と総括する2024春季生活闘争の中間まとめを確認/連合の中央委員会 ほか
【動向】「会社や上司からの管理に関する意識調査」結果を発表/民間調査
【企業】資格取得のための支援金上限を最大1,000万円に/KADOKAWA
【海外】オリンピック開催を直前にしてストライキが頻発(1)―特別手当を求める交通機関のストに対する規制も検討/フランス ほか
【イベント】労働保険年度更新・算定基礎届解説セミナー/東京都社労士会 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書No.230『「二極化」以後の非正規雇用・労働―公的統計等の公表データ集計・個票データ分析より―』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0230.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★企画展示「令和の労働関係図書優秀賞 受賞図書展」/労働図書館

JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで、テーマを決めて企画展示をしています。
このたびは、5月31日(金)から12月6日(金)まで「令和の労働関係図書優秀賞 受賞図書展」と題し、
所蔵する関連資料をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html

★労働政策フォーラム <参加者募集中!>
「シニアとフリーランスの新たな働き方の選択肢─労働者協同組合で事業を興す!─」

日時 第1部(オンデマンド配信)6月14日金曜~19日水曜
   第2部(ライブ配信)   6月19日水曜14時30分~17時00分
共催 日本総合研究所
オンライン開催(Zoomウェビナー)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/index.html

★2024年度「東京労働大学講座・総合講座」(オンライン開催)受講生募集中!

<労働法> 部門 7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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【行政】
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●賃上げ定着に向け、商慣行の見直し含む価格転嫁対策の強化を/政府懇談会で首相

政府は5月31日、賃金と物価の好循環に向けた懇談を行った。首相は、「来年以降、物価上昇を上回る賃上げを
定着させていくためには、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化すること、重層的な取引構造となっている
業種を含め、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が行われるようにすることが必要」とし「デジタル化や
省力化投資の支援とともに、強化した賃上げ促進税制等によって、賃上げを後押ししていく。また、労務費の
転嫁を円滑化する観点から、業種・事業分野の状況に応じた商慣行の見直しを含め、価格転嫁対策を強化していく。」と述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202405/31kondan.html

●ものづくり企業における能力開発の現状やデジタル化について紹介/ものづくり白書

政府は5月31日、「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議決定した。
製造業の就業者数は、2022年は1,044万人、23年は1,055万人と増加した。中小企業の人手不足感は、
新型コロナウイルスの感染拡大以前より強くなっている 。製造業における人材育成の問題では、
6割以上の事業所で「指導する人材が不足」。ものづくり企業においてデジタル技術を活用している企業は、
8割超(2019年は5割弱)。従業員数300人以下のデジタル技術活用の進んだ企業は、2019年から23年の間に
営業利益を伸ばしている割合が高くなっており、従業員の賃上げなどの処遇改善も進んでいる。
なお「第1部 第2章 第3節」では、JILPTの調査研究成果が活用されている。
▽厚生労働省Webサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00157.html
▽経済産業省Webサイト
https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240531003/20240531003.html
▽ものづくり白書
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/index.html
▽白書に引用されたJILPTの調査研究成果
記者発表「ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関する調査」結果(5月29日)
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240529.pdf

●職場の熱中症による死傷者、34%増加/厚労省調査

厚生労働省は5月31日、2023年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確報値)」を発表した。
職場での熱中症による死傷者(死亡および休業4日以上の業務上疾病者)数は1,106人(前年比279人・34%増)、
うち死亡者数は31人(前年比1人・3.3%増)。死傷者数は2021年から2年連続で増加し、業種別では全体の
約4割が建設業と製造業で発生し、年齢別では50歳以上が全体の5割超。
あわせて、実施中の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(5月1日から9月30日まで)について、周知している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40473.html
▽令和5年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100761.pdf
▽「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html
▽同実施要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100767.pdf

●改正育児・介護休業法のリーフレットを公表/厚労省

厚生労働省は、5月24日の国会で可決・成立し、31日に公布された改正育児・介護休業法等について、
リーフレットを公表している。
3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者について、始業時刻等の変更、テレワーク等(1カ月あたり10日)、
短時間勤務など省令で定めるものから2つ以上を措置することを事業主の義務とする(公布後1年6カ月以内の
施行)、所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大、育児のためのテレワークの導入の努力義務化、子の
看護休暇の対象となる子の範囲や取得事由の拡大等(2025年4月1日施行)、改正法の内容を分かりやすく紹介している。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
▽厚労省HP:育児・介護休業法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

●「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表/厚労省

厚生労働省は5月31日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」(2023年5月1日~24年4月30日公表分)を
公表した。都道府県労働局が労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働安全衛生規則等の労働基準関係
法令違反の疑いで送検し公表した内容を集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/001150620.pdf
▽厚労省HP:長時間労働削減に向けた取組
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html

●高校新卒者の内定率は99.2%、前年同期比0.1ポイント減/厚労省調査

厚生労働省は5月31日、2023年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」
取りまとめ(2024年3月末現在)を公表した。2024年3月に高校と中学校を卒業した生徒について、学校や
ハローワークからの職業紹介を希望した生徒が対象。高校新卒者の内定率は99.2%(前年同期比0.1ポイント減)、
就職内定者数は約12万人(同4.8%減)。求人倍率は3.98倍(同0.49ポイント上昇)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/2024CK_job_opening_to_applicants_ratio_202403.html
▽資料全体版
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001222119.pdf

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【統計】
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●4月の実質賃金、前年同月比0.7%減で25カ月連続のマイナス/毎勤統計速報

厚生労働省は5日、4月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で前年同月比2.1%増の29万6,884円、うち一般労働者が同2.0%増の37万8,039円、
パートタイム労働者が同2.0%増の10万8,358円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った
実質賃金は、前年同月比0.7%減で、3月の2.1%減より割合は縮小した。減少は 25カ月連続。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2404p/dl/pdf2404p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2404p/2404p.html

●労働災害の状況、度数率は上昇、強度率は横ばい/労働災害動向調査

厚生労働省は5月31日、2023年「労働災害動向調査」結果を公表した。
労働災害の発生状況(事業所規模100人以上)を調査産業計でみると、度数率(災害発生の頻度)は
2.14(前年2.06)、強度率(災害の重さの程度)は0.09(同0.09)、死傷者1人平均労働損失日数は
40.0日(同44.3日)となっている。無災害事業所の割合は52.4%(同54.9%)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/23/
▽結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/23/dl/2023kekka.pdf
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/23/dl/2023houdou.pdf

●4月の鉱工業生産0.1%低下も、基調判断は「一進一退ながら弱含み」で据え置き/鉱工業指数速報

経済産業省は5月31日、4月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季調値)は前月比0.1%低下の101.6で2カ月ぶりの低下。業種別で低下したのは、「輸送機械工業
(自動車工業を除く)」、「汎用・業務用機械工業」、「電気・情報通信機械工業」等。上昇は「生産用機械
工業」「金属製品工業」「無機・有機化学工業」等。出荷は100.6で前月比0.2%上昇。在庫は0.5%低下。
在庫率は1.1%低下。基調判断は、「総じてみれば、生産は一進一退ながら弱含んでいる」として据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202404sj.pdf

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【労使】
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●「ステージ転換に向けた大きな一歩」と総括する2024春季生活闘争の中間まとめを確認/連合の中央委員会

連合(芳野友子会長、681万7,000人)は5月31日、千葉県浦安市で中央委員会を開催し、2024春季生活闘争の
中間まとめを確認した。直近の回答集計で、定昇相当分を含めた賃上げ率が5.17%と1991年以来となる5%台を
実現しているとともに、ベアや賃金改善などの「賃上げ分」が、比較可能な2015闘争以降で額・率ともに最高と
なっている状況をふまえ、中間まとめは「産業・企業、さらには日本経済の成長につながる『人への投資』の
重要性について、中長期的視点を持って粘り強く真摯に交渉し、主体的に大きな流れを作った結果」だと評価し、
「ステージ転換に向けた大きな一歩として受け止める」と総括した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240605a.html

●全職員の生活改善にむけた給与勧告の実現を求めることを柱とする当面の闘争方針を決定/自治労中央委員会

地方自治体の職員などを組織する自治労(石上千博委員長、71万7,000人)は5月27、28の両日、全面ウェブ
にて中央委員会を開催し、当面の闘争方針を決定した。方針は、2024人勧期にむけた取り組みとして、好調な
民間企業の春闘妥結状況や物価高を踏まえて、全職員の生活改善にむけた給与勧告の実現を目指すことを強調。
また、災害応急作業等手当の対象業務の拡大・手当額の引き上げ要求や、消防本部間の格差解消といった消防職員
の処遇改善に取り組むことなども提示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240605b.html

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【動向】
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●「会社や上司からの管理に関する意識調査」結果を発表/民間調査

リクルートマネジメントソリューションズは5月28日、「会社や上司からの管理に関する意識調査」結果を
発表した。会社からの管理過剰感に関しては、「管理しすぎである」「管理に息苦しさを覚える」「管理が
わずらわしい」など4つの問に対して、5割弱から6割の人が「とてもそう思う」「そう思う」と回答。
上司からの管理過剰感について、同じ4つの問に「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのは3割から4割。
同レポートは、「会社の管理過剰感は、ルールの形骸化や閉塞感がある会社だと高く、上司の管理過剰感は、
細かな報連相を求め、適切な支援がないと高い」と指摘している。
https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/3249192733/

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【企業】
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●資格取得のための支援金上限を最大1,000万円に/KADOKAWA

出版業等のKADOKAWAは5月29日、社員の主体的な学びと自律的なキャリア形成支援の強化のため、社員の
資格取得支援制度(2022年3月導入)について、対象資格を139種(導入時119種)に拡大し、グローバル展開に
必須の語学や海外MBA、およびDX加速に向けた情報処理関連などの資格取得のための支援金の上限を100万円から
最大1,000万円に増額すると発表した。対象は、正社員、契約社員、嘱託社員など。支援金額の具体例としては
国内MBAに500万円、弁護士、公認会計士など1,000万円、海外MBAに1,000万円以上。他に語学関連資格や
情報処理関連資格について増額する。
https://group.kadokawa.co.jp/information/news_release/2024052901.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<フランス>
▽オリンピック開催を直前にしてストライキが頻発(1)―特別手当を求める交通機関のストに対する規制も検討

オリンピック・パラリンピック両大会の開催を前にストライキが頻発し、開催期間中を対象とするストライキの
通告が相次いでいる。年金改革に対するストで多大な影響力があったパリのゴミ収集部門でも特別手当を要求する
ストライキが実施された。その他、大会期間中の観光客の移動交通手段として欠かせない鉄道部門でもストライキ
が相次いでいる。労組は交渉が妥結できない場合は、大会期間中のストライキも辞さない構えを見せている。
これに対して、上院では公共交通機関の最低限の輸送量を確保するためストを一部規制する法案が可決された。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/05/france_01.html

▽オリンピック開催を直前にしてストライキが頻発(2)―公共部門における大会期間中の特別手当の支給を求めて

警察、消防、公立病院など公共部門でオリンピック・パラリンピック両大会期間中の勤務に対する特別手当の
支給を求めてストライキが実施され、大会期間中のストライキ予告も出されている。警察職員には1,900ユーロ
の特別手当支給が2024年1月に発表されたが、内務省から具体的な支給に関する発表がないことに労組が苛立ち、
ストライキの実施に踏み切った。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/05/france_02.html

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【イベント】
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●労働保険年度更新・算定基礎届解説セミナー/東京都社労士会

東京都社会保険労務士会は、社会保険労務士による「年度更新」・「算定基礎届」解説セミナーを6月3日(月)
から動画配信(期間限定)で開催している。労働保険の年度更新申請書や社会保険の算定基礎届・月額変更届の
手続きについて、重要点やポイント、昨年からの変更内容について解説する。配信期間は、7月10日(水)まで。
視聴無料、事前に申込フォームから申し込む。
https://www.tokyosr.jp/topics/56300/
▽リーフレット
https://www.tokyosr.jp/wp-content/uploads/2024/05/f5bc82344c9a673fd6da35d0d291db1c.pdf
▽申込フォーム
https://www.tokyosr.jp/r6shakaikouken

●「産業医と語る 男性×育児モヤモヤ」講演ほか/男女共同参画センター横浜北

男女共同参画センター横浜北は6月30日(日)に、父親支援を行う産業医を講師に「令和の男性育児のリアル」を
伝える講演とゆるやかな交流会を横浜市で開催する。講師の話や参加者との交流を通じ、男性の育児に関わる
モヤモヤ解消のヒントを見つける。参加無料、要事前申込、対象及び定員は男性20名(先着)。
https://www.women.city.yokohama.jp/a/event/35339/

●「調査研究に対する助成」の申請を受け付け/労働問題リサーチセンター

(公財)労働問題リサーチセンターでは、2024年度「調査研究に対する助成」の申請を受け付けている。
労働問題に関する調査研究のうち、社会的に有意義で発展性があると財団が認めるものに対して、
個人研究、共同研究を問わず助成を行う。申込締切は6月20日(木)(当日消印有効)。
https://www.rodorc.or.jp