資料シリーズNo.276
中国におけるクラウドワーカーの職業傷害保険制度設計
概要
研究の目的
中国で行われているクラウドワーカーを対象とする傷害保険特別加入制度の実施状況、その特徴と問題点、伝統的な労災保険との区別と運用手法、保険加入資格と労働者性認定との関係等の判明。
研究の方法
文献サーベイ、研究会の開催
主な事実発見
中国の場合、クラウドワーカーを含むフルタイム労働者以外の就労者は原則として労災保険に加入することができず、医療保険にも任意加入となる。そのため、労災保険と医療保険の補償水準と適用場面の区別が問題となる。また、中国では、労災保険に加入しても、使用者負担分が残されているため、使用者のないクラウドワーカーを直接労災保険に加入させても、通常労働者と比べると、補償内容に自ずと差が生じてしまう。
クラウドワーカーを適用対象とする職業傷害保険制度を構築するため、中国では複数の試験運用案が各地域で試験的に運用されている。そのうち、クラウドワーカーを直接労災保険に加入させる案、クラウドワーカーのみを適用対象とする職業傷害保険制度を構築する案、任意加入とする案、強制加入とする案等がある。いずれの案も、拠出水準と給付水準の均衡が求められる。
政策的インプリケーション
現在、クラウドワーカーが業務災害に遭った場合の保険制度の設計が多くの国で問題とされているが、比較研究をする際に、比較対象国との社会保険制度全般の違いと、クラウドワーカーの社会保険制度上の位置づけを踏まえる必要がある。
本文
研究の区分
プロジェクト研究「多様な働き方とルールに関する研究」
サブテーマ「労使関係・労使コミュニケーションに関する研究」
研究期間
令和5年度
執筆担当者
- 仲 琦
- 労働政策研究・研修機構 研究員
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