労働政策研究報告書 No.190
欧州の新たな非典型就労組織に関する研究

平成29年3月31日

概要

研究の目的

とりわけ欧州において確認された新たな就労形態に対する調査と検討の最新成果をまとめ、日本において「非典型的な就労組織」への対処策を策定するための示唆を与える。

研究の方法

  • 欧州における先行研究(“New forms of employment”(Eurofound, 2015)等)の取りまとめ。
  • 国際会議への参加による情報収集と問題確認。

主な事実発見

  1. 中核的競争力を追求するという企業戦略の転換と、革新的な技術の導入は欧州の就労形態にも多大な影響をもたらし、大きく話題にされていることを確認した。
  2. 欧州に出現した新たな就労形態の定義、運用、当事者の特徴、利用の促進要因と阻害要因、労働市場と就労者の労働条件に及ぼす影響を紹介した。
  3. 就労形態に影響をもたらす新たな技術と、Uber運転手の労働者性判断に関するイギリスの裁判例を紹介した。

政策的インプリケーション

日本においても、今後、革新的な技術の利用が大いに進展し、生産やサービスのあり方に大きな影響が及ぶことも予想される。労働法の保護が及ばない個人請負業者、フリーランサーの増加が予想されるが、彼らにはどのような法的保護や規制を与えるべきかを検討する必要がある。

欧米とは違って、日本は従前から下請系列システム、重層請負等の形で非典型的な就労組織をある程度利用してきた。その利用に対する法的規制も、ある程度整備されている。新たな就労形態の下で就労する者に及ぼす法規制を検討する際に、従前から存在してきた労働法の拡張、応用とは全く異なる法的保護の仕組みを考案する必要があるのか、それともこれを今までの法的規制の延長線上の問題として考えるべきか、検討する必要がある。

政策への貢献

EUは日本と同じく正規従業員の解雇を厳しく制限しているため、職場分断化を人件費削減の手段としてだけではなく、雇用制度に外部柔軟性を導入するためのものとも見ている。それに加え、EUでは、職場の分断化をもたらす新たな雇用形態に関する研究が進んでおり、これをフォローすることは将来の政策制定に極めて重要な示唆をもたらす。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「労使関係を中心とした労働条件決定システムに関する調査研究」
サブテーマ「規範設定に係る集団的労使関係のあり方研究プロジェクト」

研究期間

平成28年度

研究担当者

仲 琦
労働政策研究・研修機構 研究員

関連の研究成果

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