労働政策研究報告書No.115
雇用の多様化の変遷 II:2003~2007
―厚生労働省「多様化調査」の特別集計より―

平成22年3月31日

概要

研究の目的と方法

非正規化が進展する中で、それがどのように進んでおり、どのような問題が生じ、その政策課題は何かを探求する動向研究が重要となっている。このため、代表性の確かな総合的な調査によって非正規雇用の動向を捉えるとともに、政策課題を指向した所要の分析を行い、そこから政策的示唆を導出することを目的として、厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(平成15年及び同19年)の特別集計を実施した。

主な事実発見

  1. 平成19年にかけて機械関連製造業での製造派遣の活用が急速に進展したが、その活用目的には「雇用調整要因」を挙げる事業所が多く、また、働いている派遣労働者の満足度も総じて高いものでなかったこと。
  2. 母子世帯の母親は、育児負担もあって正社員になれず、収入の低い非正規雇用者となっている場合が多く、フルタイムに近い労働をしていることも少なくないこと。
  3. 若年層について、大卒については非正規から正規への動きがみられるものの、高卒ではそうした動きは全体としてはみられていない。
  4. 契約社員を中心に正社員登用制度のある事業所が増大しており、それに伴い正社員を希望する非正規雇用者の割合も上昇していること。
  5. 属性(年齢、職業、学歴)を揃えて正規・非正規間の賃金の格差をみると、若年期ではあまり格差はみられないものの、30代以上では大きな格差がみられた。

政策的含意・提言

当面の政策課題としては、特に次の二つが指摘できる。

  1. 最低賃金制の活用を通じて、低所得になりがちな非正規雇用者の収入の底上げを図ること
  2. 企業の正社員登用制度の整備などを通じて、正社員を希望する非正規雇用者の正社員転換を図ること

政策への貢献

分析結果が『新成長戦略』(平成22年6月18日閣議決定)に盛り込まれた『雇用・人材戦略』の検討の参考資料として活用された。

図表 推定正社員賃金額との格差額及び格差指数

図表 推定正社員賃金額との格差額及び格差指数/労働政策研究報告書No.115『雇用の多様化の変遷Ⅱ:2003~2007−厚生労働省「多様化調査」の特別集計より−』

本文

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研究期間

平成21年度

執筆担当者

浅尾 裕
労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長/主席統括研究員
藤本隆史
労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー
小倉一哉
労働政策研究・研修機構 主任研究員
高橋康二
労働政策研究・研修機構 研究員

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成果普及課 03(5903)6263 

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