AIやIoTなどの技術革新は雇用にどのような影響を与えるのか

JILPT主任調査員 山崎 憲

はじめに

人工知能(AI: Artificial Intelligence)やモノのインターネット(IoT: Internet of Things)などの技術革新が人間の働き方や雇用にどのような影響を与えるのかという議論が注目を浴びるようになっている。特に、野村総合研究所がオックスフォード大学のフレイ&オズボーンとの共同研究結果(注1)を報告した2015年12月以降、センセーショナルに取り上げられることが多くなった。これは、10~20年後に日本の601種類の職業、労働人口の49%がAIやロボットで代替されるという可能性を提示したものである。

AIは人間の脳の仕組みに似せた複数の階層によって情報を処理、分析する能力が飛躍的に向上した。これをディープラーニングという。トロント大学の研究チームが画像処理の分野で高い精度を実現したことが契機となった。今からわずか5年ほどの2012年のことである。センサーや衛星測位システム(GPS)、IoT、クラウドサーバーなどを組み合わせることで、自動運転や写真の顔認識、音声入力、コールセンターやQ&A対応、工場における不良品検出などに使われる。

AIは現在のところ万能なわけではない。大量のデータが必要であり、そのデータが処理可能なフォーマットに整っていなければならない。この2つの条件を持つ企業は世界規模で見ても限られている。画像認識でいえば、マイクロソフトはOneDrive、グーグルはGoogleドライブ、アマゾンはAmazonPhotos、アップルはiCloudといったクラウドサーバー上に、世界中のスマートフォンで撮影される写真を世界中で大量に保存している。この蓄積がAIの精度を高めていくことになる。自動運転も同様にGPSとIoTをつないだシステムを有する企業に膨大なデータが蓄積されることが必要条件となっている。世界規模のネットワークと情報の蓄積能力を有する企業がAIをリードするのである。

ここから得られる働き方と雇用への示唆は2つある。

1つは情報処理としてのAIであり、もう1つはそのための前提としての繋ぎ合わせるというネットワークの存在である。つまり、大量の情報を処理することでどれだけの仕事が代替されるのかということとともに、労働者間、企業内の部門間、企業間の連携や情報交換がどのように働き方や雇用の在り方を変えていくのかということへの視座が欠かせないのである。情報処理としてのAIには、2045年に人間の知性を超えるシンギュラリティが起こり、人間の生活に大きな変化が起こるという考え方がある。その是非を問うことは難しい。しかし、それよりも重要なことは、ネットワークに組み込まれることで何が起きるのかということであり、その影響はすでに始まっている。代表的なものが、プラットフォームビジネスと呼ばれるものである。狭義には、スマートフォンなどの情報端末を通じてサービスの利用者と労働力の提供者を結び付けるものであり、広義には元請け下請けなど複数の企業や個人を結び付けたネットワークに基づくビジネスモデルである。前者はシェアリング・エコノミーやギグ・エコノミーと呼ばれ、後者はインダストリー4.0などが該当する。

本稿はこの2つ、つまり「情報処理としてのAI」と「AIを活用するためのネットワークに基づくビジネスモデル」の双方を意識して議論を進めることにしたい。

技術革新で人間が担う仕事は代替されるのか?

冒頭に掲げた野村総研およびフレイ&オズボーンによる、10~20年後に日本の601種類の職業、労働人口の49%がAIやロボットで代替されるという報告は、フレイ&オズボーン(2013)(注2)がアメリカの就業者について47%がコンピュータ化によって将来的に代替される可能性が70%を超えるとした分析に基づいている。この結果だけを見れば働き方や雇用に甚大な影響を与えることになる。

一方で、OECD(2016)(注3)は、人間が担う仕事の大半は代替される可能性が低いとする報告を出した。両者の違いは分析手法にある。フレイ&オズボーン(2013)が職業の代替可能性を分析したのに対して、OECD(2016)は1人の仕事を置き換えができる部分(タスク)とそうでない部分(タスク)とに分けて分析したのである。つまり、フレイ&オズボーン(2013)が職業をひとかたまりとしているのに対して、OECD(2016)はタスクの束としたのだ。そして、タスクの70%が置き換えられたときにタスクの束としての職業が代替されるとした。この枠組みによれば、大半の職業はタスクの50%程度しか代替されないことになり、将来的な代替可能性は低いとしたのである。

たとえば管理職のホワイトカラーを考えてみよう。

職務記述書があれば、判断、意思決定、チームビルディングといったタスクが並ぶだろう。タスクを分解すれば、電話をかけ、電話を受け、資料を作成し、資料を読み、部門内会議を開催し、他部門との連携をとり、といった仕事になる。そこには、人間同士の会話や意思疎通というインフォーマルな時間が多く含まれる。人間同士だからこそ、性格や健康状態、経験の有無といった様々な要素が絡み合う。仕事をする相手が人間ではないということであれば別だが、人間同士が仕事をし、その糧によって生活を営むということが続くのであれば、そこには代替できない部分が残る。それこそが置き換えることができないタスクである。そしてこのことは、置き換えが効かないタスクの多くが人間同士をつなぐ部分にこそあることを示唆している。

そのことはWeeら(2016)(注4)の報告により具体的に見ることができる。Weeら(2016)は、企業がAIを導入する手順を次のように示した。

  1. 自社のどの部分に自動化技術を取り入れるかを限定
  2. IT基盤を固める
  3. 自社でやるべきことと他社に任せるべきことを明確化
  4. 専門チームの設置
  5. 新しいビジネスモデルの模索

この5つの手順のうち、着目するべきは3である。AIの導入の手順を示しながらも、AIの活用とは限らないアウトソースの可能性を提示しているからである。これは同時に次のようなことも示唆している。AIはやみくもに導入されるのではない。ビジネスプロセスと労働者の職務分析が必要である。その結果、コスト削減と利益を生み出す新たなビジネスモデルが見い出せたときにはじめてAIが導入されることになる。つまり、やみくもに誰かの仕事がAIに置き換えられるということはないといってよいし、その手順は誰の目にもわかる形で進んでいくのである。さらには、他社に任せるということは、そこに他社とつなぎ合わせるという、人間が担うべき新たな仕事が登場することも同時に示唆しているのである。

技術革新と雇用における主要国の政策動向

ついで科学技術の進展が雇用を減少させるのかということについて見ていこう。

MIT経済学部教授、Autor(2015)(注5)はコンピュータ化によって人間の仕事が置き換えられるというジャーナリストや専門家の言説は過大評価であるとする。彼は、20世紀以降の自動化(オートメーション)と雇用、賃金の変化を分析し、AIにより進歩する自動化は、人間の仕事を代替する部分と補完するものの双方があるとした。代替が難しい能力は、問題解決スキル、適応力、創造性などであるとするとともに、代替される部分があるとしても中程度の技能の職が新たに創出されていることを重視する必要があるとした。

また、Acemoglu and Restrepo(2016)(注6)は、1990年から2007年のアメリカの地域市場調査の結果から、産業ロボットの導入及びコンピュータ化の進展で雇用量の減少を指摘するものの、実質的な影響は政府による経済政策次第だと結論付けている。同様にLawrence and Josh(2017)(注7)は、雇用量の増減及び賃金低下における労使関係の影響力、つまりは労働組合の交渉力の強弱が影響するとしているのである。

一方で、技術革新と労働者の賃金については、Autor(2015)もAcemoglu and Restrepo(2016)もともに、技術革新によって創出される新たな業務の生産性が労働者のスキルによって異なり、それが労働者間の賃金格差の拡大をもたらすことを指摘している(注8)

雇用の増減において先行研究が示したのは、一言でいえば技術革新は環境変化の一つの要因に過ぎず、それ以外の要因によるところが大きいということである。しかしながら、先行研究で共通することは技術革新により労働条件の格差が拡大する可能性が高まっていることである。例えば、OECD(2016)は、教育レベルが低い労働者の仕事が技術革新により代替される可能性が高まっており、高スキルと低スキルに労働の需要が二分化することで労働条件の格差が拡大する可能性を指摘している。

図表1は主要国の議論と政策動向であるが、これらの先行研究を裏付けるものとなっている。例えば、ドイツ、フランス、イギリスともに技術革新による雇用量の減少には懐疑的な立場をとっている。

図表1:主要国の議論と政策動向
  アメリカ ドイツ フランス イギリス 中国
動向・議論
  • MIT、ボストン大学:雇用増減に経済政策、労使関係の視点を強調
  • ①産業ロボット、②AI、③インダストリアル・インターネット、④プラットフォームビジネス(シェアリング・エコノミー)
  • 雇用類似の労働者→2017年5月BLS調査(減少)
  • ZEW:自動化(失業)リスクは、労働者全体の12%
  • BIBB・IAB:総雇用に実質的な変化なし
  • BCG:2025年までに35万人の雇用増
  • エコノミクスリサーチ連邦労働社会省の委託:2030年の労働市場予測:「デジタル化促進シナリオ」で約25万人の雇用増。
  • ローラン・ベルガー:42%が自動化可能
  • OECD(2016):「業務(task)」自動化可能:9%
  • フランス戦略庁:自動化可能15%
  • 雇用方向性評議会:自動化可能10%未満
  • マッキンゼー:雇用喪失50万人、雇用増120万人
既存の雇用の多くが代替リスクに直面するが、新たな雇用の創出などで、影響は一定程度相殺されるとの見方が一般的。 ただし、人材育成が課題として指摘されているほか、利益の公正な配分には政策的介入が必要との議論も。
  • Deloitte(2014)
  • IPPR(2017)
TUC:利益分配問題を提起。
シェアリング・エコノミーのサービスを利用または提供する者は6億人。プラットフォームの開発・管理などの業務に就いている者は585万人、そのプラットフォームのもとで実際に顧客へサービスを提供している者は6,000万(「中国シェアリングエコノミー発展報告2017」)。
政策
  • AIと人間のコラボレーション。
  • 正義、公正、説明責任の担保のためAI技術者に対する倫理教育。
  • 規制、AIに対応した学校教育の取り組み、インターネット環境による格差の是正。
  • シェアリング・エコノミー下の労働者保護
  • 少子高齢化の克服
  • 成人職業教育の重要性
  • デジタル化≠仕事の終焉
  • 労働市場は二極化しない
  • 構造転換の加速
  • 技能向上、継続教育訓練の強化
  • そのための今後も政府と社会的パートナー(労使)の協力
  • 雇用方向性評議会:あらゆる課題を検討。
  • フランス戦略庁とデジタル全国評議会:AIを生産活動に組み込む、ビッグデータ分析の重要性、雇用破壊ではなく労働や職、業務遂行のあり方を変化させるAIを国民に周知
  • AI分野の成長に関する有識者レビュー(2017.11)-データ共有促進、効率的利用、AI専門家育成、研究成果の他分野応用促進→新「産業戦略」、AI分野所管政府組織設置
  • 庶民院科学技術委員会(ロボット工学・AI検討会(2016.3):規制のあり方を協議・提言する組織の必要性提言
  • 中国製造2025(2015.5)“中国版インダストリ4.0”
  • 大衆創業・万衆創新のさらなる推進の若干の政策措置に関する意見(2015.6):人材育成、人材移動メカニズム整備、起業家精神
  • 互聯網+(インターネットプラス)行動指導意見(2015.7)
  • 次世代AI発展計画(2017.7)

ドイツでは労働組合を社会的なパートナーとすることが議論され、フランスでは「雇用破壊ではない在り方」、イギリスでは「利益の公正な配分における政策介入」が議論されている。そのうち、イギリスは規制の在り方について議会で議論されるなど一歩踏み込んだ姿勢が見られている。一方、アメリカでは学校における教育機会の格差の是正やAIに関わる技術者の倫理観の向上について言及するとともに、AIを活用して、企業間、個人間をつなぐ、プラットフォームビジネスの一類型であるシェアリング・エコノミー下で、個人請負として働く労働者の保護についても議論が高まっている。

技術革新を活用したネットワークに基づくビジネスモデル

先行研究が議論している技術革新は産業ロボットとAIであるが、この二つはドイツが提唱するインダストリー4.0、およびアメリカのGEが推進するインダストリアル・インターネット、そしてシェアリング・エコノミーが背景にある。本稿の冒頭で紹介したように、一つは情報処理としてのAIであり、もう一つはそのための前提としての繋ぎ合わせるというネットワークである。

ネットワークを基盤としたビジネスモデルは必ずしもAIやIoTといった科学技術を起源とするわけではない。1980年代に海外に進出して成功を収めた日本の自動車製造企業にこそ起源がある。日本の自動車製造企業は、研究開発、生産、物流、販売といった機能を企業内の複数の部門および多くのパートナー企業とともにネットワークを形成し、その有機的連携の下で組織効率の最大化を図ることにより競争力を獲得したのである。大統領諮問委員会による「産業競争力に関する報告書」、ハーバード大学「世界経済におけるアメリカの競争力(U.S. Competitiveness in the World Economy,邦題「日本の脅威、アメリカの選択」)」、マサチューセッツ工科大学等の研究成果が部門内の従業員間の連携から部門間、関連企業との連携関係を、長期間にわたる雇用保障や職業訓練と能力の向上に応じて上昇する賃金制度といった日本的経営と関連付けながら明らかにしていった。つまり、日本企業の競争力の源泉は、ネットワークにおける組織効率の最大化にあることが認識されていったのである(注9)

このビジネスモデルを、AIやIoTを駆使しながら実現することを目指したものが、ドイツのインダストリー4.0であり、アメリカのインダストリアル・インターネットである。部門内、部門間、企業間で構成されるネットワークを、情報通信技術(ICT; Information and Communication Technology)により連携させることで組織効率の最大化をはかるのである。ドイツのインダストリー4.0が製造業を基盤とするのに対し、インダストリアル・インターネットは、製造現場における生産管理から始まり、様々な産業に対応する汎用性をもたせることを目指している。生産現場では、センサーとAIを導入することで、画像認識を活用した品質管理を行うとともに、ICTを活用して部門内、部門間の連携を促しているのである。

インダストリー4.0は自動車と工作機械が牽引している。これらの産業は、最終組み立てを担う企業をピラミッドの頂点にして、2次、3次と連なる下請け企業とともに、部品納入や物流や顧客の窓口になる販売網などによって構成されている。このネットワークでは、研究開発や製造工程、物流におけるコスト削減と効率化、品質向上を目的とした部門内・部門間・企業間の有機的な連携が意識される。そこには数多くの企業とそこで働く人がかかわっており、そうした膨大なネットワークをICT、AI、IoTでつなげているのである。

インダストリー4.0もインダストリアルネットワークも、取得される情報はネットワークを設計する企業に蓄積される。一方、ネットワークに参加する企業は情報提供を義務付けられる。蓄積された情報はネットワークの組織効率を最大化するように活用されるとともに、ネットワークを設計する企業が寡占的に獲得し、別のネットワークのビジネスモデルへと再利用されることになる。

ネットワークは、全体像を描く企業を中心に、研究開発等においてその企業のパートナーとなる企業が水平方向に位置し、垂直方向にはアウトソースを担う企業が連なっている。こうした企業間・企業内の連携を促すことで、ネットワークにおける組織効率の最大化を図ることで競争力を生み出しているのである。したがって、ネットワークの中枢は、戦略立案と組織連携を促す能力ということになる。ここに、前述のAI導入手順を組み合わせると、アウトソースもしくはAIによって外注化可能なタスクが切り分けられることになる。それを図式化したものが図表2である。

図表2:ネットワークを活用したビジネスモデル
画像:図表2

プラットフォームビジネス

プラットフォームビジネスはこれまで見てきたネットワークを活用したビジネスモデルの一類型として位置づけることができる。ネットワークはスマートフォンやパソコンなどの持ち運び可能なインターネット端末によるデジタル・プラットフォーム上につくられる。企業の部門内、部門間、企業間に加えて、サービスの利用者と提供者をデジタル・プラットフォーム上で結び付けている。その最大の特徴は、サービスの利用者と提供者の関係がごく短期間で解消されるということである。

サービスの利用者の嗜好に関する情報は絶えず蓄積されることで、AIを活用した分析を可能にしている。それによって、サービスの利用者と提供者のマッチングを行う。つなぎ合わせられるのはサービスの提供者と利用者だけではない。乗客と運転手をつなぐ配車サービスを例にとってみよう。ここには、自動車製造企業やIT企業、地図製作会社、アプリケーションのセキュリティ企業、資金提供企業、配車サービスを提供するホテル、航空会社、運転手に自動車を提供するリース会社などが関わっている。こうした複数の関係者からなるネットワークの組織効率の最大化を追求することがプラットフォームビジネスの核である。この複雑なネットワークはAIおよび情報通信技術(ICT)の発達によって可能になっている。

プラットフォームビジネスとして知られる典型的な例は、タクシー、乗り合いバス、宅配、介護、保育、小売り、旅行、宿泊、個人売買、銀行の決済業務である。このうち、労働力を提供するものをギグ・エコノミーと呼ぶ。ミュージシャンがその場だけ集まって演奏して解散するギグ・セッションからきた言葉である。

ギグ・エコノミーを展開する企業は、労働者を雇用せずに請負で契約することが多い。サービスの利用者と提供者をつなぐマッチングを行うとしているためである。このビジネスモデルでは労働者の年金、健康保険、労災、失業保険といった社会保障にかかわる経費を企業が負担しない。労働者は請負であることから、最低賃金や最長労働時間、残業代といった規制が適用されない。

多くの国で、請負労働者は労働組合を組織することが認められないか、認められたとしても働く場所や時間が同じでないことから労働組合を組織することが難しい状況に置かれている。雇われて働いている労働者よりも保護されていない状態にある。インターネット上のプラットフォームで複数の企業や個人を結び付けるネットワークの中核にある企業をプラットフォーマーと呼ぶが、このプラットフォーマーの下で請負として労働力を提供する際に、働き方の自由裁量があるかどうかが問題になる。プラットフォーマーに働き方の指揮命令に関する権限があれば、請負として働いている労働者は雇用されているとみなされ、健康保険や年金などの社会保障や最低賃金、最長労働時間などの労働基準法の保護の下に置かれるからである。

図表3は、プラットフォーマーとの関係で雇用かそうでないかが曖昧な働き方をしている労働者の保護についての主要国の動向を表したものである。中国を除く主要国は、年金、健康保険、労働基準の適用などについて保護が必要であるとの立場を示しているものの、明確な方向性はいまだ打ち出しているわけではない。

図表3:雇用類似労働に対する主要国の対応動向
アメリカ イギリス ドイツ フランス 中国
  • 誤分類
    Misclassificationの修正:連邦労働省と内国歳入庁(社会保障税の徴収)、連邦労働省と住宅都市開発省(デービス・ベーコン法:連邦政府委託公共事業と最賃)
  • ニューヨーク州労働省行政審判官3人のウーバー社の元運転手に失業保険の受給資格を認定2017年6月
  • 2017年5月連邦労働省:雇用類似の労働者数調査
  • 労働者保護のさまざまな動き
  • 従来から3つの区分(Employee, Worker, Self-employed)
  • 政府による報告(Good Work)
  • 政府による労働者保護の必要性提言2018年2月
  • 下院議会による提言
  • 2016年10月雇用審判所、ウーバーのドライバーを「労働者Worker」と認定
  • Uber Pop社のサービスを違法とする判決
  • Uber Black(有資格運転手の車を手配)⇒競争制限禁止法に違反しているとの訴え(ウーバー禁止の際のEU関連法令との関係を照会)
  • AirBnB→ベルリンで2016年5月1日から禁止(違反に10万ユーロの罰金)
  • 「労働4.0」利害関係者の対等性確保⇒協同組合、クラウドワーカーの保護(年金、健康保険、安全衛生、労使関係)
  • Uber Pop社とドライバーの雇用関係を認定(パリ労働審判所)2016年12月
  • 社会保険徴収機関URSSAFが徴収の試み
  • 労使紛争に調停人を政府が指名―最低保障年収を勧告(2017年2月)⇒労使関係認定は未確定
  • 独立自営業者に失業保険を拡大する検討
  • 2017年2月「中国シェアリング・エコノミー発展報告」
  • 2017年7月「シェアリング・エコノミーの発展に関する指導意見」⇒「柔軟な社会保険加入・給付措置」を検討
  • 2017年3月全国人民代表大会⇒支援方針
  • 2017年10月共産党大会⇒成長の原動力
  • 労使関係認定は判例による

調査研究における課題

産業ロボットやAIの導入、自動運転の普及といった技術革新が、人間の担ってきた仕事を奪い、雇用量が減るという議論が注目を集める。だが、その背景には技術革新を活用したビジネスモデルの進展があることは見えにくい。ここでは、部門内、部門間、企業間によって織りなされるネットワークにおける組織効率の最大化のために、AI等の技術革新が活用されるとともに、低生産性、低付加価値とみなされる業務の外注化の進展も示唆される。

ここにおける課題は、ネットワークの中核を担う人材がどのような能力を求められるのかを明らかにするとともに、下請け関係におかれる企業に雇用される労働者およびプラットフォーマーの下で請負関係におかれる労働者の状況がどのようなものになっているかを明らかにすることである。AI等の技術革新が注目を浴びるようになってから10年を経ない現在においても、劇的な変化は継続中であり、早急な実態把握が求められる。

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