最低賃金を2027年1月から月額3万900新台湾ドルに
 ―11年連続で引き上げへ

カテゴリー:労働法・働くルール、労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2026年10月

台湾の最低賃金審議会(政労使と学識経験者で構成)は9月24日、最低賃金を2027年1月1日から、現行の月額2万9,500新台湾ドルから3万900新台湾ドルへと引き上げることを決めた。引き上げ率は4.745%となる。時給は196新台湾ドルから205新台湾ドルに上がる。最賃の引き上げは11年連続。これにより、低賃金労働者の賃金水準を引き上げ、基本的な生活を保障する。

台湾の最低賃金制度

雇用主が労働者に支払う賃金の法定下限額である最低賃金は、台湾では従来、「基本賃金(基本工資)」として労働基準法第21条に規定されていた。2024年1月1日に最低賃金法が施行され、2025年1月1日から、同法に基づく「最低賃金(最低工資)」が、従来の基本賃金に代わって適用されている。適用範囲や算定方法は、従来の仕組みを引き継いでいる。

最低賃金には、月給制の労働者に適用される「月額最低賃金」と、時給制の労働者に適用される「時間額最低賃金」の2種類がある。労働部は毎年第3四半期に政労使と学識経験者で構成する最低賃金審議会を開催し、消費者物価指数、経済成長率、労働生産性、家計の収支などの指標を踏まえて改定を審議する。審議会で決定した改定案は行政院の承認を経て、労働部が公告し、通常、翌年1月1日から適用する。

月給制のフルタイム労働者に対して、通常の労働時間で支払われる月額賃金は、月額最低賃金を下回ってはならない。これには基本給に加え、毎月定額で支給される各種手当も含まれる。一方、時間外労働や法定休日・休息日、祝日の出勤に対する割増賃金は含まれない(注1)。

時給制の労働者に対しては、1時間当たりの賃金が、時間額最低賃金を下回ってはならない。フルタイムにもパートタイムにも適用する。

引き上げ率は月額4.745%

今回の改定について、最低賃金審議会は9月24日、最低賃金を引き上げる方針を示した(注2)。2027年1月1日から、月額最低賃金は現行の2万9,500新台湾ドルから3万900新台湾ドルへ、1,400新台湾ドル引き上げられる。引き上げ率は4.745%となる。月額最低賃金は11年連続の引き上げとなる(図)。また、時給最低賃金は196新台湾ドルから205新台湾ドルへ引き上げられる。連続の引き上げは、低賃金労働者の賃金水準を引き上げ、基本的な生活を保障することを目的としている。

労働部によると、今回の改定で、月給制の労働者約182.7万人、時給制の労働者約78.46万人、合計約261.16万人が恩恵を受ける見込みだ。このうち、台湾人労働者は約219.72万人で全体の約84%を占め、外国人労働者は約41.44万人である。

図:最低賃金の推移(2016~2027年) (単位:新台湾ドル)
画像:図

注:2016年の時給最低賃金は、同年10月に120から126新台湾ドルへ引き上げられた。2017年以降は毎年1月に引き上げられている。

出所:台湾労働部より

物価上昇と労働者への適切な分配の必要性で労使が合意

審議会では、今回の最低賃金引き上げに当たり、消費者物価指数の前年比上昇率を十分に反映し、経済成長の成果を労働者に適切に分配する必要があるとの認識で全委員が一致したが、労使と学識経験者の各委員はそれぞれの意見を示した。

労働者側委員は、生活必需品の価格上昇により、低賃金労働者の実質賃金が低下し、生活への負担が増していると指摘した。そのうえで、今年の高い経済成長の成果を労働者にも還元するよう求めた。一方、使用者側の委員は、経済成長がAIやハイテクなど一部の産業に集中し、中小企業や伝統産業では経営状況が厳しいと説明した。原材料費の上昇や国際競争、人手不足なども踏まえ、最低賃金の改定に当たっては各産業の負担能力に配慮するよう主張した。

学識経験者の委員は、最低賃金法に定める指標に基づき、物価、経済成長、労働市場の動向に加え、企業の支払い能力などを総合的に考慮する必要があるとした。労働部は、中小・零細企業の経営課題に対し、政府が企業の成長や転換を支援し、労働生産性の向上を図る方針を説明した。

また、使用者側委員からは、中東情勢やダンピング、原材料費などの影響により、製造業やサービス業が依然として多くの課題に直面しているとして、産業向けの支援措置を講じるよう求める意見が出された。これを受け、労働部は経済部と連携し、早急に支援策を検討する方針を示した。労働者と産業の双方を積極的に支援することを目指すとしている。

賃上げ促進と労働条件の改善に向けた取り組み

労働部は、労働者の賃金引き上げを重要政策に位置づけ、現在、四つの側面から取り組んでいると説明した。具体的には、①最低賃金の改定により低賃金労働者の基本的な生活を保障する。②製造業で台湾人労働者の賃上げに応じて外国人労働者の受け入れ枠を拡大することで、台湾人労働者の待遇改善と企業の人材需要への対応を図る。③求人時に具体的な給与額の明示を義務づける基準額を引き上げる。上場会社(上市公司)、店頭会社(上櫃公司)及び上場店頭準備登録会社(興櫃公司)の従業員給与情報の透明性を向上させる、④経済部の「中小・零細企業の支援・成長促進プログラム」(「支持及壯大中小微企業方案」)を通じて、企業による一般従業員の待遇改善を促進する、である。

今後も、さまざまな政策手段を通じて企業の賃上げを促すとともに、労働組合の交渉力強化や職業訓練の充実を図る。また、検査・監督を強化して企業の労働法令遵守を促し、労働条件と職場環境の改善に取り組むとしている。

注

参考文献

  • 台湾労働部、全國法規資料庫

参考レート

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