若年失業率は12.4%とやや上昇、米国など高所得国で悪化の傾向
 ―ILO「世界の雇用情勢―若者編2026年版」

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  • 国別労働トピック:2026年8月

国際労働機関(ILO)は8月11日、報告書『世界の雇用情勢―若者編2026年版』を発表した。それによると、2025年の世界の若年者失業率は12.4%と、前年に比べてわずかに悪化した。地域別にみると、多くの地域で上昇しており、従来は比較的順調だった北米や高所得国で悪化している。また、若者の5人に1人が就業も教育も訓練も受けていないNEETの状態にあり、多くの若者が将来に希望を持てない状況にあることを危惧する。そして、政策決定の場に若者が参加できるようにすることが必要だと指摘している。

世界の若者の6,700万人が失業状態に

ILOによると、15~24歳の若者の失業率は、コロナ禍後の2023年に20年以上ぶりの低水準(12.3%)に達した後、2025年には12.4%にやや上昇した。世界中で6,700万人の若者が失業状況にある(図表1)。

図表1:世界の若年失業率(左軸:%)と若年失業者数(右軸:100万人)
画像:図表1

注::失業者数 :失業率 :失業率(男性) :失業率(女性)

出所:ILO(2026)

地域別にみると、アラブ諸国(26.2%)と北アフリカ(22.6%)の若年失業率が依然として高い。一方で、サハラ以南アフリカは8.4%と、世界平均を4ポイント下回っている。これについてILOは、「サハラ以南アフリカにおける若年失業率の低さは、若者の多くが無職でいる余裕がない状況を反映しており、社会保障や雇用の不安定なインフォーマル雇用に就かざるを得ないことを意味する」との見方を示している。

サハラ以南アフリカの人口増加は著しく、若年人口増加の3分の2がこの地域に集中している。この地域で急増する若年人口がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就けるようにすることは、世界にとって大きな課題となっている。

高所得国で労働市場への参入が困難に

若年失業率の推移を地域別にみると、11地域のうち8地域と、ほぼすべての地域で上昇している。特に増加率が高いのは、北アフリカ、北米、北欧・南欧・西欧だった。低下したのは 東欧、ラテンアメリカ・カリブ海地域、中央アジアおよび西アジアとなっている(図表2)。

図表2:地域別にみた失業率の変化(2023年から25年にかけて) (単位:ポイント)
画像:図表2

出所:ILO(2026)

また、所得グループ別にみると、高所得国、低中所得国、低所得国でいずれも悪化している。改善しているのは高中所得国のみである。

報告書は、高所得国の若者は一般的に、安定した雇用に就く機会に恵まれているが、こうした国で労働市場への参入が困難になっており、この傾向は比較的最近の現象であると指摘する。特に、北米での悪化が顕著だとし、北欧・南欧・西欧でも上昇幅は小さいものの失業率が高い水準にとどまると予測している。

若者のNEET率が上昇、うち3分の2は女性

また、就業も教育も訓練も受けていないNEETの状況にある若者の割合も、2023年の19.7%からやや上昇し、2025年には20.0%に達した。世界の若者の5人に1人がNEETとなっている。

ILOは、NEET率の上昇について、若者の社会からの離脱を是正することがより困難となるため、特に憂慮すべき問題だと指摘している。

男女別にみると、NEETの3人のうち2人は女性と、女性の割合が高い。男女別にNEET率の変化をみると、2023年以降、男性は0.2ポイント増の13.1%に対し、女性は0.5ポイント増の27.4%と、男女差はさらに拡大している。

AIの影響と「職務経験のインフレ」

報告書は、若年層の雇用にAI(人工知能)が与える影響についても分析しており、その程度は、地域や所得グループによって⼤きく異なると指摘している。具体的には、高所得国および高中所得国や、地域別には北欧・南欧・⻄欧や北⽶、東欧で、若年層の雇用がAIにさらされるリスクが高いと分析する。

ただし、リスクが実際にどの程度、雇用喪失につながるのかについては、依然として議論の余地がある、と留保する。同時に、AIリテラシーは地域や職種を問わず、最も急速に需要が高まっているスキルでもある。若者はデジタルプラットフォームに最も積極的に関与し、AIを活発に利用している層でもあるため、AIスキルは若者にとってますます貴重な財産となるだろうと分析している。

また、若者の就職の課題として、「職務経験のインフレ」という現象について言及している。「エントリーレベルのジレンマ」とも言われ、エントリーレベルの求人に、非現実的なほどの専門経験年数が求められ、若い新入社員には一般的ではないスキルや職務経験が期待されるようになっている。こうした障壁が、若者の就業をより困難にしていると指摘する。

若者を政策決定の少なくとも助手席に

報告書によると、世界的な緊張の高まりやインフレ、新しいテクノロジーや将来の経済見通しに対する不確実性など、希望する就職への道が閉ざされた若者は、経済的にも精神的にも苦痛を感じている。若者にとって働き甲斐のある仕事に移行するため、不安定な労働市場の基盤を強化するためには、大胆かつ柔軟な政策とアプローチが必要となる。

ILOは、若者の声はより良い未来の働き方を形作る上で不可欠だと指摘する。政府、企業、労働組合は、若者が政策対話に参加できるよう、必要な方法を見出し、「若者を政策決定の運転席に、少なくとも助手席には座らせるべきだ」とし、政策決定プロセスに若者が積極的に参加することで、懸念事項を彼らの優先事項に沿って対処できるようになる、と指摘している。

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