台湾、2026年の「同酬日」は2月28日

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台湾労働部は2026年の「同酬日」が2月28日であると公表した(注1)。これは、女性が2025年の男性の年間賃金に達するには、2026年2月28日まで働く必要があることを意味する。

調査結果の主な概要

労働部は、行政院主計総局の「従業員給与調査」に基づき、次の4点を示している(注2)

  • (1)2025年の男女平均時給格差は16.1%であり、女性が男性と同水準の年間所得に達するためには、男性より59日多く働く必要がある。
  • (2)男女賃金格差の背景として、就業分野の違いによる「水平的分離」と、職階構造における「垂直的分離」が主な要因と指摘されている。
  • (3)男女賃金格差が比較的大きい産業(電子部品製造業など)を除いて算出した場合、男女賃金格差は11.3%となり、2019年と比べて1.5ポイント改善している。
  • (4)欧州連合(EU)加盟国および日本、韓国との比較では、2023年の台湾の男女賃金格差は12.5%で、30か国中16位の中位に位置する。水準はフランスやオランダに近く、日本や韓国より小さい。また、賃金中央値で比較した場合、台湾の男女賃金格差は米国よりも小さいとされる。

「同酬日」とは何か ―男女の賃金格差を示す指標

「同酬日」とは、男女の賃金格差を分かりやすく示すための指標であり、女性が男性と同じ年間所得に到達するために、翌年のいつまで働く必要があるかを示した日を指す。つまり、同じ仕事で1年間働いても男女の平均賃金には差があるため、女性が男性と同じ年収に達するまで追加で働く必要がある日数を象徴的に示すものといえる。同酬日は毎年固定されているわけではなく、男女の賃金格差の状況によって変動する。

台湾労働部によると、男女の平均賃金格差は単に性別によって生じるものではなく、職種や仕事内容、産業分野、勤続年数、学歴など、さまざまな要因が影響している。その中で、現在の労働市場における男女賃金格差の主な要因として、「水平的分離」と「垂直的分離」が指摘されている。

「水平的分離」とは、男女が異なる職業分野に集中する傾向を指し、「垂直的分離」とは、管理職や高賃金職に男性が多い構造を指す。

こうした背景を踏まえ、台湾労働部は社会の関心を高める目的で毎年「同酬日」を公表している。同一労働同一賃金の重要性について社会の理解を促し、男女間の賃金格差の縮小を図ることが狙いである。

同酬日の算出方法

同酬日は統計データに基づいて算出される。まず男女の平均時給を比較し、その差を男性平均時給で割ることで「男女平均時給の差」を求める。次に、この差に365日を掛けることで、女性が追加で働く必要のある日数を算出する。そして、1月1日からその日数を加えた日が同酬日となる。

台湾では2011年から同酬日の公表が続いており、10年以上にわたり男女賃金格差の推移が示されてきた(表1)。2023年賃金を基準にした同酬日は2024年2月25日で、この期間中で最も早かった。

表1:男女平均時給差と同酬日の推移
年(西暦) 男性平均時給
(新台湾ドル)
女性平均時給
(新台湾ドル)
男女平均時給差 女性が追加で
働く必要日数
同酬日
2011年 279 229 17.9% 66日 2012年3月6日
2012年 279 231 17.3% 64日 2013年3月5日
2013年 281 233 17.1% 63日 2014年3月4日
2014年 289 242 16.5% 61日 2015年3月2日
2015年 301 251 16.4% 60日 2016年2月29日
2016年 312 262 16.1% 59日 2017年2月28日
2017年 321 269 16.2% 59日 2018年2月28日
2018年 333 279 16.2% 60日 2019年3月1日
2019年 342 288 15.6% 58日 2020年2月27日
2020年 347 293 15.5% 57日 2021年2月26日
2021年 364 305 16.3% 60日 2022年3月1日
2022年 375 314 16.3% 60日 2023年3月1日
2023年 373 317 15.1% 56日 2024年2月25日
2024年 389 327 15.8% 58日 2025年2月27日
2025年 405 340 16.1% 59日 2026年2月28日

注:①男女平均時給差(%)=(1-女性平均時給/男性平均時給)×100。
②平均時給=総賃金÷総労働時間。
③同酬日は欧州委員会の算出方法(365日×男女賃金格差)に基づき算出。

出所:台湾行政院主計総処「被雇用者給与調査」

2011年以降、男女ともに平均時給は全体として上昇傾向にある。男性の平均時給は2011年の279新台湾ドルから2025年には405新台湾ドルへと増加し、女性の平均時給も229新台湾ドルから340新台湾ドルへと上昇している。

男女間の平均時給の差は全体としてやや縮小する傾向がみられる。2011年の差は17.9%であったが、その後徐々に縮小し、2023年には15.1%とこの期間で最も低い水準となった。ただし、その後はやや拡大し、2024年は15.8%、2025年は16.1%となっている。

この賃金格差を反映する形で、女性が男性と同等の年間所得に到達するために追加で働く必要日数も変動している。2011年には66日であったが、その後徐々に減少し、2023年には56日まで短縮された。しかしその後は再び増加し、2024年は58日、2025年は59日となっている。

同酬日の推移をみると、2012年は3月6日であったが、その後徐々に前倒しされ、2024年には2月25日まで早まった。ただし直近ではやや後ろに戻る傾向もみられ、2025年は2月27日、2026年は2月28日となっている。

産業構造と賃金格差

同酬日の変動には、産業構造や景気動向も影響している。例えば電子部品製造業では男女の賃金格差が大きく、研究開発やエンジニアなどの高賃金職に男性が多いことが背景にあるとされる。2025年において、電子部品製造業の男性平均時給は727新台湾ドル、女性は417新台湾ドルであり、男女賃金格差は42.7%に達した。この水準は2019年および2024年と比べて、それぞれ4.7ポイント、1.3ポイント上昇しており、男女間の賃金格差が拡大する傾向を示している。

他方、医療・保健分野でも男女賃金格差は比較的大きいが、2025年の賃金格差は43.1%となり、2019年および2024年と比べてそれぞれ1.6ポイント、1.2ポイント縮小している。

また、新型コロナウイルスの流行期には女性就業者の割合が高い宿泊・飲食業が大きな打撃を受けた一方、男性比率の高い製造業は輸出拡大により賃金が上昇した。その結果、男女間の賃金格差が拡大した。

加えて、女性は育児や家族の介護など家庭内のケア負担を担うケースが多く、勤続年数を積み重ねにくい傾向があることも、男女賃金格差の要因の一つとされている。

同一労働同一賃金に関する法的根拠と課題

現在台湾では、雇用主に対し、一定の場合に同等の賃金を支払うことを義務付けており、法制度上は、男女間の賃金差別は禁止されている。具体的には、「労働基準法」第25条(注3)に基づき、「雇主は労働者に対し、性別を理由として差別的取扱いをしてはならない。業務内容および効率が同一である場合には、同等の賃金を支払わなければならない」とされている。

また、「就業における性別平等を定める法律(性別平等工作法)」第10条(注4)でも、雇用主が賃金の支払いにおいて性別や性的指向を理由とした差別的待遇を禁止し、仕事内容または仕事の価値が同等である場合には同等の賃金を支払うべきだと定めている。ただし、勤続年数、賞罰、業績評価など性別とは無関係の合理的理由に基づく賃金格差は例外として認められている。

このように、台湾の法制度上は同一労働同一賃金の原則が明確に規定されており、性別を理由とする賃金格差は認められていない。しかし、実際の運用においては課題も指摘されている。例えば、「同一労働」や「同等価値の仕事」をどのように判断するかについて、具体的な基準や評価方法が十分に明確化されていない。

そのため、法的には男女賃金差別が禁止されているものの、実務上は賃金格差の有無を判断することが難しく、同一労働同一賃金の原則を十分に実現するためには、制度面でのさらなる整備が求められている。

参考文献

参考レート

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