金属労組が「造船業移住労働者実態調査報告書」を発表
韓国金属労組は2026年2月6日、「造船業移住労働者実態調査報告書」を発表した。これによると、非熟練労働者(E-9)よりも熟練労働者(E-7-3)の方が低賃金であることが明らかになった。以下で主な内容を紹介する。
造船業外国人労働者は過去5年間で5倍に増加
2024年12月時点で、造船産業で就業している外国人労働者は22,824人であった。これは、2021年末の約4,500人から約5倍増加した規模である。
2010年代中盤から2021年までは受注の減少に伴って外国人労働者の雇用規模も縮小していたが、2022年以降は大幅に増加し、生産技能職における外国人労働者の割合は2024年には22.7%にのぼった。金属労組は、2010年代から韓国人社内下請け労働者の間で整理解雇と離職が生じたのに対して、外国人労働者の場合はビザの制限から他業種に移動できず残留したことによるものとみている。
造船大企業が多く位置する自治体の在留資格別外国人滞在状況をみると、2023年から2024年にかけて、「特定活動(E-7)」「非専門就業(E-9)」の在留資格を持つ外国人労働者が多く流入していた(注1)。特定活動(E-7)のうち、特に「一般技能人材(E-7-3)」「熟練人材点数制ビザ(E-7-4)」の割合が高かった。
E-9は、非熟練労働者受入れスキームである「雇用許可制」によって入国する労働者を対象とする在留資格である。E-7-3は、造船溶接工など指定の職種で熟練人材として入国する者のための在留資格である。E-7-4は、非熟練労働者として4年以上勤務した者が、熟練度など一定の条件を満たした場合に切替えることができる在留資格である(注2)。
2020年代から受入れ政策を大幅に拡充
2020年代から、韓国政府は造船業の外国人労働者を大幅に拡大している。2022年4月には、一事業所あたり韓国人労働者の20%まで造船溶接工、船舶塗装工、船舶電気技師を採用できるよう、特定活動(E-7)ビザの発行指針を改定した。
雇用許可制においても、2023年から2025年にかけて、毎年5,000人規模で造船業に非専門就業人材(E-9)を割当てた。また、地方自治体主体のビザ制度として、2025年から蔚山広域型ビザが導入されている(注3)。
熟練労働者が非熟練労働者よりも低賃金
金属労組は、造船業に従事する外国人労働者504人を対象に設問調査を実施した(注4)。
回答者の月平均給与を在留資格ごとにみると、一般技能人材(E-7-3)の66.2%は月給が250万ウォン未満であった。一方、非専門就業(E-9)は60%以上が250万ウォン以上を受け取っていた。経験豊富な熟練人材であるE-7-3の方が、非熟練人材であるE-9よりも比較的低い報酬を受け取っていることが明らかとなった(表1)。金属労組は、現在の熟練人材受入れのためのビザ政策は、低賃金で短期的な移住労働者の確保にのみ集中していると批判している。
| 一般技能人材 | 熟練人材 | 非専門就業 | その他 | 合計 | |
| E-7-3 | E-7-4 | E-9 | |||
| 200万ウォン未満 | 20.8% | 4.0% | 4.5% | 14.3% | 13.3% |
| 200万~249万ウォン | 45.4% | 50.0% | 33.6% | 22.9% | 40.4% |
| 250~299万ウォン | 26.7% | 30.0% | 42.6% | 28.6% | 32.3% |
| 300~349万ウォン | 5.4% | 10.0% | 13.6% | 20.0% | 9.6% |
| 350万ウォン以上 | 1.7% | 6.0% | 5.8% | 14.3% | 4.4% |
| 計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
出所:金属労組(2026)
離職の経験があると回答した人は17.1%で、これは主に事業所の移動が可能なE-9とみられる(注5)。E-7-3のうち離職を経験した人は7%に過ぎなかった。これは、E-7-3では事業所の変更が厳しく制限されているためである。
離職の意向は39.1%であり、2023年の63.7%から大幅に低下した。しかし、金属労組は、造船業の労働条件が改善されたとは考えられず、これは造船業ビザの大半は離職が不可であることが認知されているためとみている。在留資格別にみると、E-7-3の離職意向は42.2%でE-9の36.1%よりも高い。これは低賃金によるものとみられる。
ブローカー費用もE-7-3で高額
送り出し国のブローカーに対して支払った金額を調査したところ、34%は1,000万ウォン以上の手数料を支払ったと回答した。非専門就業(E-9)よりも一般技能人材(E-7-3)が移住プロセスでより多くの手数料を負担していることがわかった(表2)。
| 一般技能人材 | 熟練人材 | 非専門就業 | その他 | 合計 | |
| E-7-3 | E-7-4 | E-9 | |||
| なし | 13.1% | 38.5% | 66.3% | 56.4% | 36.9% |
| 500万ウォン未満 | 10.7% | 19.2% | 21.9% | 15.4% | 15.7% |
| 500万~999万ウォン | 17.6% | 21.2% | 5.3% | 10.3% | 13.3% |
| 1,000万~1,499万ウォン | 25.8% | 3.9% | 1.8% | 10.3% | 14.3% |
| 1,500万~1,999万ウォン | 19.7% | 9.6% | 1.2% | 2.6% | 11.1% |
| 2,000万ウォン以上 | 13.1% | 7.7% | 3.6% | 5.1% | 8.7% |
| 計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
出所:金属労組(2026)
また、E-7労働者は韓国でビザを取得する過程で、熟練技術人材であることを立証するために熟練度テストを受験しなければならない。この過程で溶接などに関する技術訓練を受講する必要があり、訓練費を支払うことが求められる。金属労組は、こうした技術訓練費は労働者の技術向上や教育訓練のためではなく、ブローカー費用とは別の手数料としての側面を持つと強調している。E-7-3の50.8%が技術訓練費を負担しており、そのうち10.3%は500万ウォン以上を支払っていた。
E-7-3労働者には、送り出し国のブローカーに対して契約した事業所から離脱しないという念書を提出させられる事例がみられる。スリランカのブローカーは、離脱した場合に2,000ドルの賠償を義務づけたり、家族の連帯保証を要求したりする場合があった。調査の結果、E-7-3の41.8%が念書を提出していた。
2月6日に開催された討論会では、出席した法務関係者も、「これまで需要に合わせて量的な拡大にのみ集中した側面があった」とし、「造船業移住労働者の低賃金問題と移住手続きの公正性の論議は認知しており、特に事業場変更制限から迅速に検討して改善する」と制度改善の必要性を認めた。
注
- 慶尚南道巨済市(ハンファオーシャン、サムスン重工業が所在)では、E-7が4,544名、E-9が4,840名。蔚山広域市東区(HD現代重工業、HD現代尾浦造船)では、E-7が3,593名、E-9が2,297名。全羅南道霊岩郡(HD現代三湖重工業)では、E-7が1,638名、E-9が4,074名(2024年時点)。(本文へ)
- 一定レベル以上の社会統合プログラムを受講していない場合は、5年以上就労していることが要件となる。(本文へ)
- 国別労働トピック(2026年2月)「蔚山広域型ビザ」で造船業に外国人労働者を導入 (本文へ)
- 15か国の労働者が回答に参加(ベトナム22.4%、ネパール17.9%、インドネシア14.0%の順)。在留資格は「一般技能人材(E-7-3)」が49.3%、「非専門就業(E-9)」が34.1%、「熟練人材点数制ビザ(E-7-4)」が10.5%の順であった。(本文へ)
- E-9の離職経験率は28.4%。雇用許可制による事業場の変更は3年間の滞在で3回まで可能。(本文へ)
参考資料
- 全国金属労働組合「[報道資料]造船所移住労働者実態調査結果発表討論会
」(2026年2月6日)ほか各ウェブサイト
参考レート
- 100韓国ウォン(KRW)=10.7円(2026年3月18日現在 みずほ銀行ウェブサイト
)
2026年3月 韓国の記事一覧
- 就業者数は停滞期に突入 ―中長期人材需給の見通し
- 金属労組が「造船業移住労働者実態調査報告書」を発表
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