週休手当が超短時間労働者の増加に影響
 ―KDIレポート

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2026年2月

韓国開発研究院(KDI)は2025年12月、報告書「超短時間労働の増加要因と政策提言」を発表した。週所定労働時間が15時間未満の超短時間労働者(おおむね月60時間未満)の賃金労働者に占める割合は、2012年の3.7%から2024年には8.5%に上昇した。超短時間労働者は多くの労働者保護制度の適用対象外とされている。本報告書は、月60時間以上勤務する労働者を雇用する場合、企業の費用負担が超短時間労働者を雇用する場合に比べて25%~40%高くなると試算する。この制度上の費用格差が企業による超短時間労働者の選好を促している可能性があるとして、格差の緩和措置を講じるべきだと提言している。

以下で主な内容を紹介する。

2010年以降超短時間労働者が増加

超短時間労働者とは、4週間の平均所定労働時間が15時間未満の労働者を指す。賃金労働者に占める超短時間労働者の割合は、2012年の3.7%(48万7,000人)から2024年には8.5%(153万8,000人)に上昇した。特に勤続1年未満の新規労働者における超短時間労働者の割合は、2020年代以降20%を上回っている。

多くの労働者保護制度は、月60時間以上勤務する労働者を対象としている。そのため、超短時間労働者には、週休手当、年次有給休暇、国民年金、健康保険、雇用保険、退職給付(注1)、2年を超える有期雇用の禁止(注2)などが適用されない()。

表:超短時間労働関連法制の適用基準と使用者負担費用(注3)
制度 適用対象 使用者負担割合(2025年時点) 備考
週休手当 4週間の平均所定労働時間が15時間以上の労働者 通常、基本給の約20%
年次有給休暇 5人未満の事業所は除外
健康保険 報酬月額の3.545%(健康保険)報酬月額の
約0.4591%(長期療養保険)
雇用保険  報酬月額の0.9%(失業給付)報酬月額の0.25~0.85%(雇用安定及び職業能力開発事業) 65歳以上の新規雇用者は加入義務なし
国民年金 基準所得月額の4.5% 60歳以上は除外、日雇いは所得と勤続によって適用可否を決定
退職給付 退職金または退職年金(賃金総額の約1/12) 継続就労期間が1年未満の者は除外
2年超の有期雇用の禁止 55歳以上は除外、5人未満の事業所は除外

出所:韓国開発研究院(2025)

週休手当とは、週15時間以上勤務する労働者に対して、週1日の有給休日分の給与支払いを義務づける制度である。勤労基準法には、1週間につき1回以上の有給休日を付与することが義務づけられており、例えば1日8時間、週5日勤務の場合には、週40時間に有給休日の8時間分を加えた48時間分の賃金を受け取ることができる。

1時間あたりの基本給が固定されている労働者が月60時間以上勤務する場合、上記の労働者保護制度のために使用者が負担する時間あたりの費用は、60時間未満の超短時間労働者を雇用する場合と比べて25%~40%高くなる。この結果、企業は費用負担を回避するために超短時間労働者の雇用を選好する傾向にある。

一般労働者の労働条件向上と超短時間労働者の増加

2010年代以降に超短時間労働者が急速に増加した原因について本報告書は、月60時間以上勤務する労働者に対する労働者保護制度の遵守率が向上したことを指摘している。以前は制度が十分に遵守されておらず、社会保険の適用対象である月60~100時間勤務の労働者の社会保険加入率は、2012年時点で40%にとどまっていた。しかし、2024年には80%程度まで上昇している。これにより、月60時間以上の労働者と超短時間労働者との間に費用格差が生じ、超短時間労働者への需要が増加したとみられる。

この遵守率の向上は、認知度の向上と、それによる関連知識の増加によって生じた可能性がある。2010年以前、新聞25誌の中で週休手当に言及した記事は年間10件未満であったが、2011年には108件にのぼっており、社会的関心の高まりがうかがえる。

週休手当の廃止を提言

本報告書は、月60時間を境に使用者負担費用が大きく変化する現状について、「費用格差を緩和する必要がある」と述べている。そのための対策としては、まず、最も大きなコストである週休手当の見直しを提言している。週休手当を廃止することで、超短時間労働者の増加を抑制できると考えられるためである。ただし、週休手当の廃止は低所得労働者の所得減少につながるため、段階的な廃止や最低賃金引き上げなどの緩和策が必要となる。さらに短期的な対策としては、社会保険の適用基準の拡大や、既存の社会保険料支援事業の活用なども有効であると述べている。

参考資料

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