19州が2026年1月に最低賃金を引き上げ
 ―約830万人以上の労働者に効果

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2026年1月1日、全米50州のうち19州が最低賃金を引き上げた。全米規模の物価指標に連動する方式で最賃を改定している州は、2.8~3.1%程度の引き上げ率となっている。リベラル系シンクタンク・経済政策研究所(Economic Policy Institute、EPI)の推計によると、今回の最賃引き上げにより、全米で約830万人以上の労働者の賃金が上昇する。

全米規模の物価指標連動州は2.8~3.1%引き上げ

連邦政府は2009年7月24日以降、最低賃金を時給7.25ドルで据え置いている。ただし、連邦最賃より高い州最賃、あるいは州最賃より高い市や郡の最賃を独自に定めているところが少なくない。こうした場合、労働者にとって、より高い最賃が適用される。州等の最賃改定方法は、「物価指標に連動」「州法等に基づき段階的に引き上げ」など異なる。改定時期も各地で差があるものの、年初に改定するところが最も多い。2026年1月1日には、全米50州のうち19州が最賃を引き上げた(図表1)。

図表1:米国各州の最低賃金引き上げ状況(2026年1月)
州名 改定前(ドル/時給) 改定後(ドル/時給) 引き上げ率 引き上げ額(ドル) 改定方法 改定根拠となる物価指標等の種類※
アリゾナ 14.70 15.15 3.1% 0.45 物価連動 全米都市平均 CPI-U(2025年8月値の前年同月比)
カリフォルニア 16.50 16.90 2.4% 0.40 物価連動 全米都市平均CPI-W(2024年7月~25年6月の毎月の対前年度比の平均)
コロラド 14.81 15.16 2.4% 0.35 物価連動 デンバー等都市圏CPI-U(2025年上半期の前年同期比)
コネチカット 16.35 16.94 3.6% 0.59 (物価連動) 全米ECI(雇用コスト指数、2025年6月値の前年同月比)
ハワイ 14.00 16.00 14.3% 2.00 段階的引き上げ  
メーン 14.65 15.10 3.1% 0.45 物価連動 北東部 CPI-W(2025年8月値の前年同月比)
ミシガン 12.48 13.73 10.0% 1.25 段階的引き上げ  
ミネソタ 11.13 11.41 2.5% 0.28 物価連動 全米 PCE(2025年8月値の前年同月比)
ミズーリ 13.75 15.00 9.1% 1.25 段階的引き上げ  
モンタナ 10.55 10.85 2.8% 0.30 物価連動 全米都市平均 CPI-U(2025年8月値の前年同月比)
ネブラスカ 13.50 15.00 11.1% 1.50 段階的引き上げ  
ニュージャージー※ 15.49 15.92 2.8% 0.43 物価連動 全米都市平均 CPI-W(2025年8月値の前年同月比)
ニューヨーク※ 16.50 17.00 3.0% 0.50 段階的引き上げ  
オハイオ 10.70 11.00 2.8% 0.30 物価連動 全米都市平均 CPI-W(2025年8月値の前年同月比)
ロードアイランド 15.00 16.00 6.7% 1.00 段階的引き上げ  
サウスダコタ 11.50 11.85 3.0% 0.35 物価連動 全米都市平均 CPI-U(2025年8月値の前年同月比)
バーモント 14.01 14.42 2.9% 0.41 物価連動 全米都市平均 CPI-U(2025年8月値の前年同月比)
バージニア 12.41 12.77 2.9% 0.36 物価連動 全米都市平均 CPI-U(2024年12月値の前年同月比)
ワシントン(州) 16.66 17.13 2.8% 0.47 物価連動 全米都市平均 CPI-W(2025年8月値の前年同月比)

※CPI-U(Consumer Price Index for all Urban Consumer、都市部の消費者世帯を対象とする消費者物価指数)、CPI-W(Consumer Price Index for all Urban Wage Earners and Clerical Workers、都市部の賃金労働者世帯を対象とする消費者物価指数)、ECI(Employment Cost Index、雇用コスト指数)、PCE(Personal Consumption Expenditures、個人消費支出)。同じ物価指標を用いる州でも、算出時期や最賃算出方法の違い(算出額を5セント単位で四捨五入するなど)により引き上げ率が異なる場合がある。

※ニュージャージー州は6人以上規模、ニューヨーク州はニューヨーク市とその近郊の郡における改定前後の金額を記載。

出所:Economic Policy Instituteウェブサイト などをもとに作成

全米規模の物価指標に連動する方式で最賃を改定した州(オハイオ州、ワシントン州など)は、2.8~3.1%程度の引き上げ率となっている。

ハワイ州では、2018年1月に最賃時給を10.10ドルとした後、2022年の改正州法に基づき、同年10月に12ドル、24年1月に14ドル、26年1月に16ドル、28年1月に18ドルへと段階的に引き上げることとした。このため、今回の改定率は14.3%と高率になっている。

ミシガン州は2025年2月に州法を改正し、時給10.56ドルだった最賃を2025年2月21日から12.48ドルに、今回の改定で13.73ドルにそれぞれ引き上げたうえで、2027年1月に15ドルにすることを定めた。2028年以降は物価に連動して引き上げる。

なお、デラウェア、イリノイの両州は昨年1月の改定で、段階的引き上げの到達点である時給15ドルとなっており、今回の引き上げは見送られている。

適用労働者数で「時給15ドル以上」の州が「連邦最賃適用州」を上回る

リベラル系シンクタンク・経済政策研究所(EPI)の推計によると、今回の最賃引き上げにより全米で約830万人以上の労働者の賃金が上がり、総額約50億ドルの収入増が想定される(注1)

また、今回の改定によって、アリゾナ、コロラド、ハワイ、メーン、ミズーリ、ネブラスカの各州の最賃が時給15ドルを超えた。すでに15ドルを突破している10州(注2)及びコロンビア特別区(ワシントンD.C.)を合わせると、合計17の州及び特別区で時給15ドル以上の最賃が実現した。

EPIの推計によると、上述17の州・特別区に居住する労働者数は6,640万6,100人で、連邦最賃(時給7.25ドル)適用州の労働者数6,024万9,900人を初めて上回った(このほか、連邦最賃より高く、時給15ドル未満の州の労働者数は3,468万9,500人)(注3)

なお、EPIのまとめによると、2026年1月1日には、州のほかにも47の市や郡が最賃を引き上げた。ワシントン州シアトル市ではそれまでの時給20.76ドルを時給21.30ドルに改定。このほか、同州のタクウィラ(時給21.10ドル→時給21.65ドル)、レントン(時給20.90ドル→時給21.57ドル)、エバレット(時給20.24ドル→時給20.77ドル)、カリフォルニア州ウエストハリウッド(時給19.65ドル→時給20.25ドル)の各市などで時給20ドルを超えている。

今後は2026年7月1日にアラスカ州(段階的引き上げ方式、現在の時給13ドルを時給14ドルに)、オレゴン州(物価連動方式)、コロンビア特別区(ワシントンD.C.、物価連動方式)、9月30日にフロリダ州(段階的引き上げ、現在の時給14ドルを時給15ドルに)などで引き上げを予定している。

参考資料

  • 各州政府、経済政策研究所(EPI)、CNBC 各ウェブサイト

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