宿泊業等で外国技術人材の受入れを開始
少子化・高齢化の進展による労働力構造の変化や労働力不足に対応するため、台湾労働部は「外国人労働力促進施策」(注1)を公布し、2026年1月から施行した。本施策では、台湾人労働者の賃上げを実施した製造企業に対し、外国人労働者の追加雇用枠を付与する。また、外国技術人材(旧称:中級熟練人材(中階技術工作人力))は、継続雇用の上限を緩和するとともに、海外からの受入れ拡大や転換・継続雇用をするための条件(留用要件)の見直しを行う。さらに、宿泊業や商業港湾埠頭業における外国技術人材の新たな受入れを可能とし、海外の台湾政府の拠点を整備して政府間(GtoG)による直接雇用の仕組みを推進する。
製造業における外国人労働者受入れ枠の拡大
製造業における労働力不足の解消と、台湾人労働者の賃金改善を両立させるため、労働部は製造業外国人労働者の「受入れ枠」を条件付きで拡大する。条件は、製造業の雇用主が、台湾人のフルタイム労働者の月額賃金を2,000新台湾ドル引き上げた場合、賃上げを行った台湾人労働者1人につき、既存の「3K5級制」(10%~35%)およびExtra制度(就業安定費の追加負担により5%~20%を上乗せし、上限40%)の規定の範囲内で、外国人労働者1人分の追加雇用が認められる(注2)。
追加枠は労働保険加入者数全体の10%を上限とするが、本施策を利用する場合、外国人労働者雇用の上限が従来の40%から45%へ引き上げられる。また本施策の効果を持続させるため、増員した外国人労働者を3年の就労期間満了後に再雇用する場合、雇用主は改めて台湾人労働者の賃金引き上げを行う必要がある。
外国技術人材の継続雇用上限の緩和
台湾では、外国人労働者の受け入れ開始以降、2025年11月末時点で、その数は86万5,811人に達している。しかし、就労年限の上限により、産業分野では12年、社会福祉分野では14年に達すると帰国しなければならない。こうした中、育成した熟練技能を有する外国人労働者の定着を図るため、2022年4月30日に「外国人労働者定着プログラム(移工留才久用方案)」が策定された。本制度は、台湾に在留する熟練外国人労働者が、一定の賃金水準および技術能力の要件を満たした場合に、外国技術人材(旧称:中級熟練人材(中階技術工作人力))へ転換することを可能とするものである。
労働部の統計(注3)によると、2020年4月から2025年12月末時点で、認可された外国技術人材は計6万2,949人に上る。その内訳は、産業分野が2万5,200人、社会福祉分野が3万7,749人となっている。国別に見ると、インドネシアが3万3,800人、フィリピンが1万2,465人、ベトナムが1万2,310人、タイが4,318人、その他の国が56人となっている。
今回の施策により、外国技術人材への転換要件を満たす外国人労働者は、雇用主が全員の継続雇用を申請できるよう、制度が緩和された。これにより、製造業における外国技術人材の「受入れ枠」の上限は、従来の25%から100%へと大幅に引き上げられ、技能や賃金水準等で所定の要件を満たした外国人労働者を、外国技術人材として登用しやすくなる。ただし、外国人労働者・外国技術人材・外国専門人材の合計人数は、企業全体の従業員数の50%を超えてはならない(注4)。
また、外国技術人材に関する規定は、従来、外国人労働者と同一の法規に基づいて運用されてきたが、就業資格や就労年限等の点で相違があることから、これを独立させ、「外国技術人材の就業資格および許可管理に関する規則(注5)」を新設し、2025年12月30日より施行した。健康診断、生活管理、宿舎に関する規制を緩和し、外国技術人材の生活や自主性を高め、労働権益の向上と多様で包摂的な社会の実現を図る。
宿泊業や商業港湾埠頭業における外国技術人材の受入れ
今回の施策は、「宿泊サービス業務」(客室清掃、清掃業務、予約対応および宿泊施設における旅客接遇業務等)並びに、「商業港湾埠頭における貨物の荷役・集散業務」(商業港湾の埠頭又はコンテナターミナル等の区域内における設備の制御、施設の組立・解体、地上作業の配車・調整、クレーン操作及び機械の保守・修理等)における外国技術人材の雇用を新たに認め、海外からの直接採用も可能とした。
労働部労働力発展署・外国人労働力管理部門の責任者である蘇氏によると、宿泊業における雇用主の資格要件は「観光ホテルおよび旅館業(民宿は対象外)」で、商業港湾埠頭における貨物荷役業の雇用主の同資格は「商港埠頭業」となっており、いずれも資本金に関する制限は設けられていない。
また、外国人の賃金および能力要件については、一定の技術を有することを前提に、宿泊業の外国技術人材の初任給は月額3万2,000新台湾ドル、商業港湾埠頭における貨物の荷役・集散業務は月額3万9,000新台湾ドルとされている。言語要件については、中国語または英語でA2(基礎レベル)(注6)以上の能力を求めている。
労働部は、外国人労働者の誘致を担う海外拠点「国際労働力誘致センター(跨国労働力延攬中心)」を順次設置し、外国技術人材の募集拡大や試験業務を一元的に担い、技能評価等を専任させることで、政府間(GtoG)の直接雇用を具体的に推進していく方針である。また、人材の統合的な活用を通じて、外国人労働者が雇用主を変更する際の支援も強化し、公共サービスの質の向上を図る。
まずフィリピンで「国際労働力誘致センター」が新設され、正式に発足した。今後、同センターを通じて、フィリピン人の外国技術人材を優先的に受け入れていく。センターは、高度外国人材の募集、専門技能のマッチングおよび認証を担い、仲介会社を利用しないため、海外仲介費の負担が不要となる。ただし、航空券や健康診断、ビザ取得に係る費用は、原則として台湾人雇用主が負担する。2026年1月1日以降、企業は所定の手続きに従って申請を行うことが可能となるが、申請後、直ちに人材を確保できるとは限らない。
注
- 「外国人労働力促進施策(跨國勞動力精進方案)」については、労働部「跨國勞動力精進方案」(行政院第3976次會議)(42CCB8B0131D6B65.pdf (PDF:426KB)
)、「跨國勞動力精進方案115年上路 勞動部四大方案協助產業改善缺工及低薪現象
」、「跨國勞動力精進方案115年元旦上路 優化外國技術人力制度 製造業加薪本勞增給移工名額
」を参考にした。(本文へ) - 製造業のうち、非自動化工程を含むなど「3K」業種の要件を満たす分野については、「3K5級制」と呼ばれるA+、A、B、C、Dの5段階に区分し、それぞれの区分ごとに外国人労働者の雇用率の上限を定めている。(本文へ)
- 関連統計最新データ 相關統計 - 移工留才久用服務中心
(本文へ) - 台湾では、外国人労働者の受入れについて、技能水準に応じて外国人労働者(移工)、外国技術人材(旧称:中級熟練人材(中階技術工作人力))、外国専門人材(外国専業人材)などに区分し、それぞれに応じた制度および規定を設けている。(本文へ)
- 外國技術人力工作資格及許可管理辦法
。(本文へ) - CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)(ブリティッシュ・カウンシル)では、CEFR A2レベルについて、「身近な話題について基本的な表現を理解し、簡単な情報交換が可能な水準」とされている。(本文へ)
参考文献
- 台湾労働部労働力発展署、中央社、移工留材久用サービスセンター。
- 労働政策研究・研修機構(2024)『韓国・台湾の外国人労働者受入制度と実態―非熟練を中心に―』JILPT 資料シリーズNo.281。
参考レート
- 1台湾ドル(TWD)=5.03円(2026年1月14日現在 みずほ銀行ウェブサイト
)
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