雇用労働部、延長労働違反の行政解釈を変更

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雇用労働部は2024年1月、昨年末の大法院(韓国最高裁)の判決にもとづき、延長労働違反を判断する際の解釈を変更することを明らかにした。雇用労働部は延長労働の上限について、従来の1日8時間を超過した分を延長労働とし、その1週間の合計が12時間以上であれば違反とする解釈から、1日8時間を超過するかどうかを問わず、週12時間を超過した場合のみを違反とするよう解釈を変更した。

以下で主な内容を説明する。

大法院は週単位が妥当と判断

労働基準法では法定労働時間と延長労働について以下のとおり定められている。

1週間あたりの労働時間の上限は52時間(法定労働時間40時間+延長労働12時間)である。法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められており、法定労働時間を超過した分は延長労働となる。延長労働は1週12時間を超過してはならない。

労働基準法

第50条(労働時間)

  • ① 1週間の労働時間は、休憩時間を除いて、40時間を超過できない。
  • ② 1日の労働時間は、休憩時間を除いて8時間を超過できない。

第53条(延長労働の制限)

  • ① 当事者間で合意したときは、1週間に12時間を限度として、第50条の労働時間を延長することができる。

大法院は航空機の座席シートの洗濯等を行う会社の運営者が、労働者に1週間に12時間を超過して延長労働をさせ(3年間で130週)、労働基準法違反で起訴された事案において、1週間の延長労働が12時間を超過するかどうかは、法定労働時間40時間を超過するかどうかを基準として判断することが妥当であり、労働時間が1日8時間を超過するかは考慮しない、と示した。

この理由について大法院は、労働基準法第53条では、「労使間が合意すれば第50条1項の労働時間を変更できる」と規定されており、第2項(1日8時間超過)について別途規定されていないことや、弾力的労働時間制や選択的労働時間制等についての規定でも1日8時間を超過する延長労働の1週間の合計に関する規定がなかったと説明している。

雇用労働部も週単位に変更

大法院の判決後、雇用労働部も行政解釈を変更した()。

図:行政解釈の変更点
画像:図

出所:雇用労働部報道資料

雇用労働部の従来の解釈では、1週間の労働時間が52時間以内であったとしても、1日の法定労働時間を超えた分は延長労働であり、週の延長労働が12時間を超えると法違反に該当する、と解釈していた。

これを大法院の判決に従って変更し、1週のうち所定労働時間40時間を超過した労働時間が延長労働であり、この延長労働が週で12時間を超えた場合には違反に該当する、と変更した。

変更後の解釈によれば、延長労働が週12時間の範囲内の場合、1日単位で労働時間が8時間を上回った分については延長労働に含まれない。①変更前(1日8時間を超過した延長労働を1週間単位で合算する)、及び②変更後(1週間で40時間を超過した労働時間を基準とする)、を比較すると、例えば、週3日間のみ1日15時間ずつ働く労働者の場合、①の場合は1日8時間を上回る日が3日間あるため、計21時間が延長勤労とみなされ、上限違反と判断された。しかし、②の方法では、週40時間を上回る場合のみ延長勤労とするため、この労働者の労働時間は週45時間のうち5時間のみが延長労働とみなされ、労働法違反ではなくなる。

ただし、延長労働時に支払われる延長労働手当については、大法院と雇用労働部いずれも既存の解釈を維持する。1週40時間を超過した場合に加えて、1日8時間を超過した分を延長労働として、通常賃金の50%以上を加算した額を支給するよう定めている。

長時間労働への懸念

今回の行政解釈の変更は、労働部が調査・監督中の事件に直ちに適用される。

イ・ジョンシク雇用労働部長官は、「労使政の社会的対話を通じて労働者の健康権を保護しながら労働時間の柔軟性を高める方向に制度改善が実現することを期待する」と述べた。

今回の変更について、労働界からは長時間労働につながるとして批判の声が上がっている。韓国労組は時代的な労働時間短縮の流れに逆行していると批判した。

参考資料

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