ILO駐日事務所、100周年記念式典を開催

カテゴリ−:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2023年5月
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ILO駐日事務所は2023年4月25日、創設100周年を記念して『ILO駐日事務所創設100周年記念式典』を開催した。式典には、昨年10月に事務局長に就任した、ジルベール・F・ウングボ氏も来日し、基調講演を行った。以下で主な内容を紹介する。

今後100年も政労使の役に立つ組織として

開会挨拶では、高﨑真一ILO駐日代表が、「20世紀後半から高い収益力を持つ多国籍企業が出現するなど、企業の力が強くなっている。今後の100年は、ILOの使命実現のために政府と労働者の皆様はもちろん、企業にとっても役に立つILOになるよう努めたい」と述べた。

新しいグローバル連合体における日本の活躍に期待

続いて、2022年10月にILO新事務局長に就任したばかりのジルベール・F・ウングボ氏が基調講演を行った。

ウングボ事務局長はまず、日本とILOの関係について、日本は1919年のILO創設時から原加盟国(注1)として参加しており、多くの国で開発協力に取り組み、日本国内でもILO理念(注2)を推進し、実績を上げてきたと語り、「日本なしでは社会正義とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現をここまで達成できなかった」と日本への謝意を表明した。

そして、現在、社会はILO設立時の100年前と同様に困難に直面しており、政治、経済、社会の不安定さ、グローバル化、気候変動、AI、人口動態の変化といった課題が山積し、これらの大きな変化は大きな不確実性と人間の安全保障へのリスクをつくりだしていると語った。その上で、ウングボ氏は「私たちはこれらの課題を克服し、公平性・安定性・社会正義を実現するために、未来を形づくることができる」と述べた。

その後、社会正義実現のための「新しいグローバル連合体」の構想についても言及した。ウングボ事務局長は、この連合は国際機関や各国のステークホルダーと協働しつつ、「企業・経済の発展」、「環境の保全」、「社会正義の実現」を同じレベルでの優先事項として、実現に向けて活動していく予定であると説明し、連合における日本の活躍を期待すると話した。

この式典には、会場とオンライン合わせて230人が参加した。

ウングボ事務局長は昨年10月にILO事務局長に就任し、ILO事務局長としては今回が初来日であった。

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