政府が2021年度外国人労働者導入・運用計画を議決

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政府は2020年12月23日、雇用許可制度に基づく「2021年度外国人労働者導入・運用計画」を議決した。経済や雇用の見通し、外国人労働者の受け入れ申請が減少していることなどを考慮し、一般雇用許可制に基づく2021年度の外国人労働者の導入規模を2020年より4,000人少ない5万2,000人に設定した。

外国人労働者政策委員会による審議

韓国は、国内労働市場で必要な労働力を調達できない企業が合法的に外国人非専門職人材を雇用することができるよう、「外国人労働者の雇用等に関する法律」(外国人雇用法)に基づく「雇用許可制度」を運用している。雇用許可制度には、「一般雇用許可制」(E-9査証)と韓国系外国人(在外同胞)を対象とする「特例雇用許可制」(H-2査証)の2種類がある。

外国人雇用法に基づき、外国人労働者の雇用管理および保護に関する主要事項を審議するため、国務総理の下に「外国人労働者政策委員会」が設置されている。雇用労働部長官は、外国人労働者政策委員会の審議・議決を経て、外国人労働者導入計画を策定・公表することとされている。

2021年度外国人労働者導入計画の策定

政府は2020年12月23日、外国人労働者政策委員会(現在は国務調整室長および12省庁の次官で構成)を開催し、「2021年度外国人労働者導入・運用計画」を議決した。2021年の経済・雇用見通し、外国人労働者の受け入れ申請数の減少傾向を考慮し、2021年の一般雇用許可制に基づく外国人労働者の導入規模は、前年より4,000人少ない5万2,000人に決定された(表1)。ここ最近の導入規模は、2016年が5万8,000人、2017年から2020年までが5万6,000人であった(表2)。

2021年度の業種別導入規模は前年と比べて、製造業が3,000人減、建設業が500人減、農畜産業、漁業、サービス業は同数となっている。企業の需要などを勘案し業種間で弾力的に割り当てられる「弾力配分」は、前年比500人減の3,000人に設定された。

表1:2021年度外国人労働者導入規模
画像1:表1

  • 出所:韓国政府報道資料(2020年12月23日付)

表2:一般雇用許可制に基づく外国人労働者受入割当数の推移
画像2:表2
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  • 出所:雇用許可制ウェブサイトのデータに基づき作成

新型コロナウイルスを考慮した弾力的運用

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年に雇用許可書の発給を受けた外国人労働者のうち、2020年12月現在、入国できていない外国人労働者が約3万人もいた。2021年度は、上半期に2万2,000人分の雇用許可書を優先的に発給し、残りの3万人については、新型コロナウイルスの感染状況と外国人労働者受け入れ数の推移、下半期の景気・雇用状況等を考慮しつつ、雇用許可書発給の適否を検討する計画である。

新型コロナウイルスの感染拡大が持続して外国人労働者の導入が円滑にいかず、産業現場の人材需給が逼迫する事態が想定される。政府は外国人雇用法を改正して、2021年4月13日から12月31日の期間内に最長5年以内(基本3年+再入国時2年)の就業活動期間が満了する外国人労働者の就業活動期間を1年間延長することとした。対象は、雇用許可制に基づき、非専門就業(E-9)および訪問就業(H-2)の在留資格で働く外国人労働者である。

雇用許可書の発給後、新型コロナの影響で外国人労働者の受け入れができず、1年以上待機している事業主が他の国籍の外国人労働者に代替申請するための手続きを簡素化する。現行は、既存の雇用許可を取り消した後、内国人の求人を一定期間行っても労働力が確保できなかった場合にはじめて雇用許可書の発給を申請できる。この手続きを、待期期間経過後に即再発給を申請できるよう改める。

外国人労働者の活用度の向上および保護の強化

人材不足に直面している業種に対しては、外国人労働者の活用度を高めるための方策を推進する。内国人の就業希望が少ない金属および非金属鉱物・鉱業等を特例雇用許可制度の対象業種に追加する。また、近海漁業における外国人の乗船比率制限を上方修正(40%→50%)するとともに、沿岸漁業および沿岸刺網漁業における雇用許可人員を拡大する(1船当たり2人→4人)。

国内理工系学部(4年制)を卒業した外国人留学生を一般雇用許可制の外国人労働者として活用する方策を整備する。

外国人労働者の人権保護のため、外国人雇用法を改正して、最初に外国人労働者を雇用した事業所を対象に、労働関係法および人権教育の履修を義務化する。

新型コロナウイルスに対応する雇用許可制度の運用策

外国人労働者の導入は、二国間協定を締結している16の送り出し国のうち、新型コロナウイルスの感染状況が比較的落ち着いている国を中心に進める予定である。入国時にPCR検査の陰性確認書の提出を義務づけるとともに、自己隔離期間中に1日のモニタリングおよびオンライン就業教育を実施するなど、入国前後の防疫管理を強化する。外国人労働者を対象に非対面実態調査を実施し、防疫管理が脆弱であると疑われる事業所を指導・点検する。

雇用許可制度と労働監督制度の連携を通じて、労働関係法違反の事例をリアルタイムで確認することにより、事業所管理の実効性を高める。

農漁業に従事する外国人労働者の保護を強化するため、雇用許可時の寮施設確認手続きを強化する。島嶼地域の場合、関連機関(雇用労働部、海洋水産部、法務部、会場警察等)の協議体を構築・運用するとともに、漁業特化外国人労働者支援センターを拡大するなど、在留支援を強化する。また、5人未満の農家、漁家、個人事業主も労災保険または農漁業者安全保険への加入を義務化する。

参考

  • 関係省庁合同報道資料(2020年12月24日付)
  • 関係省庁合同報道資料(2021年4月13日付)

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